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略歴
昭和17年5月27日 愛知県生まれ
昭和 40 年 3 月 慶應義塾大学法学部 卒業
昭和 42 年 3 月 慶應義塾大学大学院法学研究科 修了
昭和 42 年 4 月 三井不動産株式会社 入社
平成 8 年 4 月 常務取締役 プロジェクト企画本部長
 兼 プロジェクト企画本部プロジェクト第一企画部長
 兼 プロジェクト企画本部建設企画部長
平成 9 年 4 月 常務取締役 プロジェクト企画本部長
 兼 プロジェクト企画本部建設企画部長
平成 9 年 6 月 代表取締役専務取締役 プロジェクト企画本部長
 兼 プロジェクト企画本部建設企画部長
平成 10 年 4 月 代表取締役専務取締役 資産マネジメント本部長
平成 10 年 6 月 代表取締役社長
平成 13 年 4 月 代表取締役社長 社長執行役員(現任)
現在 名橋「日本橋」保存会 副会長
日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会 副会長
東京日本橋ロータリークラブ 会員
不動産シンジケーション協議会 理事長
社団法人不動産協会 運営委員長
社団法人経済同友会 幹事
社団法人計座同友会 環境委員会 副委員長
社団法人都市計画協会 副会長
趣味はハイキングを兼ねた歴史ウォ−キングと歌舞伎鑑賞
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 今回の「今月の顔」は、1673年以来日本橋の地に本拠を構えてこられた三井グループの中心的存在である、三井不動産株式会社の岩沙弘道社長です。平成10年、社長に就任以来、従来の住宅事業に加えて、職・遊・住の理想に基づいた、21世紀に求められる新しい町づくり構想を実現するために「日本橋一丁目計画」「室町三井新館計画」など、中央区の活性化・再開発事業に力を注いでおられます。これからの中央区の目指すべき方向性・将来への抱負についてお話を伺いました。

中央区日本橋との関わりについて教えてください。
 三井不動産は、昭和16年に株式会社としてスタートしましたが、元々は江戸時代から三井家・三井本社の資産を運用していたセクションを母胎にしておりますので、1673年以来、この地に本拠を構えた伝統を今日に受け継いでいます。 私自身は、名古屋の出身ですので、若い時は東京の繁華街の一つとして遊びに来ていた程度です。その頃は日本の経済成長とともに発展している雰囲気が漂よっていました。また、入社した昭和42年当時の日本橋は、今の姿に近いと思いますが、今よりももっと賑わい・活力があったように思います。大阪万博がある等日本全体に勢いがあり、高度成長期で前向きな活力があふれていて楽しかったですね。日本橋室町の周辺にも三井グループ各社があり、商業ビジネスの活気あふれる街として賑わいを感じておりました。若い頃は、仕事もハードで日本橋に朝から夜までいる生活でしたので、個人的にも故郷のような気がします。
 
日本橋が三井グループの発祥の地ですが、お力を入れておられる二つの再開発事業についてお聞かせください。
 私どもは常に、職・住・遊を合わせた複合化された都市造りを目指しております。それに沿って現在進めているのが、「日本橋一丁目計画」と「室町三井新館計画」です。 「日本橋一丁目計画」については、東急百貨店がお店を閉められた跡の土地利用について当時非常に注目されました。私は、98年に社長になりましたが、都市の再開発、街づくりの仕事を担当しておりました。日本がバブル崩壊後、東京の都市としての魅力がなくなってきていると感じていました。ニューヨークやロンドンでは、一時期の衰退を乗り越えて都市に活気がありそこに優秀な人材、企業、情報が集まり都市が一国の経済を活性化していると感じました。 東京が世界都市として魅力ある都市になるには、都心部を活性化・再生し、人が住み、働き、集い、世界からもいろいろな人や情報が集まる魅力ある都市としなくてはならない。その起爆として銀座から中央通りをニューヨークの5番街のように再生をしようと協議していたところ、ちょうど日本橋一丁目の話がでました。ぜひ、東急電鉄、東急不動産などの東急グループさんと一緒に共同事業として、日本橋の再生に力を注ぎ、都市再生のモデルになるような開発をしようということになりました。

 2004年1月の竣工予定のこのビルは、地下1階から地上5階までは新しい日本橋の魅力をもった商業施設とし、6階から19階まではオフィス、という複合的なものです。オフィスは金融証券の街という歴史も考慮しメリルリンチ・グループにメインテナントになっていただきました。日本橋がFinancial Centerとして世界へ情報発信するという機能を持つことを期待しております。建物のデザインも新しい日本橋の象徴になるようにし、世界からテクニカルツアーの見学に来ていただけるようなものにできると思っています。

 「室町三井新館計画」は、江戸時代からの当グループの本拠地である日本橋室町の再生を目的とした2005年9月竣工予定、地上38階、地下5階の計画です。三井本館は昭和4年に建てられましたが、平成に入りオフィスの代表的な建築として保存するために文化庁から重要文化財として認定をいただきました。この本館をさらにこの街のアメニティとして愛され親しまれるように、中央通り沿いの中央三井信託さんと千疋屋さんのご理解を頂いて開発しようとしています。重要文化財建築物「三井本館」の保存・活用と最先端の超高層複合ビルの建設を同時に実現させるものであり、都市再生における「保存と開発の両立」の実現に先鞭をつける事業でもあります。街並みのもっている落ち着いた雰囲気、魅力を受け止めて、21世紀の街として洗練されたデザインにすると共に、アトリウムも大きくとり、地域の皆様に開放する予定です。また、街の発展を考えた場合、この地域に欠けているのはホテルです。地域の人が集えるコミュニティセンターとして使え、世界の人が来てくださる施設として、ラグジュアリーホテルを誘致しようということになりました。世界各地にネットワークを持ち、ハイグレードなサービスに代表される高いホスピタリティをもつマンダリン・オリエンタル・ホテルに進出していただくことになっています。
 
街づくりに関わっているお立場として中央区に住むことの良さ・改善点をどのようにお考えでしょうか。
 都市の発展には、そこに住人がいることがポイントだと思います。 都心部にはいろいろな年齢層、立場、職業、ライフスタイルを持った人たちが 住める場が必要だと思います。中央区は人口が増加し ていますが、それに最も適している街が中央区だとも思います。欧米の例を見ると、街の発展形態は、最初は高感度な人たちがダウンタウンに やってきて住み始め、次に小売店が来て街が整理されて賑わいが生まれ、ソー ホーやベンチャーのような方が来るというパターンが多いように感じます。例えば、ここ日本橋の場合は、最初から商人がいて独特の魅力を持った商業的な 街です。また、地元の町会の方々がいらっしゃり、街にあたたかい雰囲気がある と思います。中央区には、伝統的な店からスーパーのような店、ブランド店などいろいろあり何でも揃ってしまう。娯楽も、明治座、歌舞伎座、演舞場もあり、 映画館もたくさんあります。鉄道交通道路もよく、都心で自分のライフスタイル を生かすことができる。しかも歴史的背景からみても外から来る人に対して開放 的な土地柄です。
 
社長になられてから特に力を入れておられるのはどういうことでしょうか。
 三井不動産のメインは住宅事業とビル事業ですが、私が社長に就任してから特に力を入れているのが、商業、エンターテインメントを本業として大きな柱にすることです。多様な機能を持つことが不動産の価値を高めます。日本橋でいえば、三越さん、高島屋さんなど、この地域に古くからあるお店と共生して、お互いに刺激しあって発展していけるようになりたいですね。また、本館の建物自体も重要文化財ですが、内部も美術館・博物館のようにして、訪れた人に日本橋の文化としての魅力を感じていただけるようにと考えています。そして、商業施設事業者として街の発展に寄与したいと思います。
 
街の発展に寄与されている立場から、地域の活性化のお手伝いについてお聞かせ下さい
 日本橋全体が魅力ある街だということを国内・世界に向けて発信していくと同時に、地域の人たちが21世紀の自分たちの街をどうしようか、と考え活動しているのが「名橋日本橋保存会」、「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」であり、私は双方の副会長をお手伝いしております。2001年の幕開けに地域の人たちと一緒になり、世紀越えイベント「日本橋フェスティナレンテ」(2000年12/14〜2001年2/18)を開催しました。「フェスティナレンテ」とはラテン語で「悠々と急げ」を意味し、伝統を生かしながら、新しい街へ再生していく日本橋のキーワードとしました。東急百貨店跡地のグリーンアート「ホンバ」が大いに話題を呼びました。こういう運動を継続していくことが大切だと考えています。この様に、地域のみなさんと街づくりをいろいろやらせていただいているのは仕事の冥利だと思います。生き甲斐や使命を思い起こすことが出来、日々前向きに生きて行かれるのだと思います。 また、日本橋という街に親しんでいただく為に、電気自動車をこの街とその周辺に巡回してもらおうという構想もあります。これは、ニュージーランドで開発されたバリアフリーのバスで、環境にも優しく、窓が大きくて見晴らしが良く、64 人くらい乗れます。バス自体が街の風物になるといいなぁと考えています。
 
中央区の21世紀を担う若い人たちへのお言葉はございますか。
 最近の若い方は、自分の人生をしっかり考えていると思います。こういう風潮の中で、ややもすると経済的なものを柱にしがちな人もおられます。しかし、一番大事なのは、志です。自分のこれからの人生を社会人としてどう力を発揮できるか、生き甲斐、やりがいを感じられるか、自己実現をどのようにするか志を軸に判断し研鑚をつんでいただきたいと思います。ロマンをもち失敗をおそれず、大胆にチャレンジして欲しいと思います。
 

※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。  
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