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略歴
昭和10年 東京・浅草の生まれ
昭和36年3月 福島大学経済学部卒業
同年4月 大日本インキ製造株式会社(現大日本インキ化学工業株式会社)入社
昭和52年2月 同社 石油化学事業部石油化学営業一部長
昭和58年9月 同社 石油化学事業部業務部長
昭和62年4月 同社 石油化学事業部長
平成3年6月 同社 取締役就任
平成7年6月 同社 常務取締役就任
平成10年6月 同社 代表取締役社長就任、現在に至る。
趣味は、釣り、囲碁、ゴルフ、絵画鑑賞など
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 今回の「今月の顔」は、大日本インキ化学工業株式会社社長の奥村晃三さんです。一滴の印刷インキからスタートした会社の原点を大切にし、「色彩・color」の観点で社会に役立つ企業を目指す奥村社長。DIC COLOR SQUARE、ストリートアート「よみがえる大江戸パノラマ」や地域活性化活動に対する企業の姿勢など、穏やかな表情の中に、熱い「挑戦」の心意気をうかがいました。
明治41 (1908) 年東京の本所で創業と伺いましたが、中央区、日本橋との関わりについてお聞かせ下さい。
 95年前、印刷インキの製造所として創業し、昭和12 (1937) 年に大日本インキ製造株式会社を設立しました。より積極的な事業展開をする上で、東京のへそとも言える日本橋に拠点を作りたいというのが初代社長(川村喜十郎)の夢だったそうで、昭和24(1949)年、現在の地に東京営業所を開設しました。さらに昭和42(1967)年には創業60周年記念事業の一環として、現在の社屋ビルを建設し、本社機能を集結しました。総合化学メーカーとして国内はもとより海外にも積極的に進出し、現在では印刷インキ、有機顔料、不飽和ポリエステルなどで、世界のリーディングポジションを持っています。
 
社長ご自身、中央区・日本橋との関わり、その頃の町の印象はいかがでしたか?
 私は生まれが浅草で、小学校の2年生まで東京で暮らしていました。兄は日本橋商業に通っていましたし、家業が洋品店でしたので、幼い頃は仕入れで親に連れられて、横山町の問屋街にもよく来ており、中央区はなじみの深い地域です。その当時の繊維問屋街は、広い通りに荷物が溢れかえり、人の往来も多く賑やかな街並みだったと記憶しています。戦時疎開で福島に移り、大学卒業後昭和36(1961)年に入社して東京に戻ってきました。
 入社当初は板橋の工場に勤務し、その後本社の仮事務所(神田)を経て、日本橋ビルの完成と同時にこちらに移りました。地上18階、地下5階の新社屋は霞ヶ関ビルが出来るまでは日本一の高層ビルで、珍しかったようで、ラジオ放送のアナウンサーが窓拭き用のクレーンに乗り、東京の展望を実況紹介していたことを良く覚えています。18階にはフランス料理のレストランがあり、夜景を楽しみながら食事が出来るので、「はとバス」のコースにも選ばれていたようです。
 当時はまだ古い町並みの雰囲気が残っており、高層ビルは当社以外にはなく、小さなビル、平屋の一般住宅や店舗が混在している町でした。銭湯もありましたし、居酒屋が多く、会社帰りにはあちこち寄り道が楽しみでした。
 
会社として受け継がれている精神、お仕事をされている上での信条についてお聞かせ下さい。
 当社には「進取 誠実 勤勉」という社是があり、これが原点です。そして、この社是にも通じますが私が今、大切に思っているのは「挑戦、チャレンジ」という精神です。また、企業は社会ひいては地域の一員であり、社会の中での存在価値いわゆる企業の社会的責任を果たすことが大事だと思っています。よく社会貢献という言葉で表現されますが、単に寄付をするなどではなく、企業活動自体が、結果として社会の役に立つということが大前提であり、それが事業の柱になってこそ、会社の発展に繋がることだと思っています。
 
平成10(1998)年に社長就任され、お仕事の上でとくに力を注いでこられたことはどのようなことでしょうか。
 総合化学会社として、日本のみならずグローバルな視点で物事を考えていかなければならないということが第一です。またわが社は印刷インキの製造を出発点として、原料からの一貫生産体制を目指し、有機顔料、合成樹脂へと進出、さらに石油化学、建材、バイオなど多彩な分野に事業領域を広げてきました。しかし、ここで大切なのは周辺事業の拡充と同時に、核(コア)になる事業の発展をしっかり見据えていかなければならないということでした。それは、具体的に言えば「色」というテーマ、色彩に関する多角的な事業展開です。「DIC COLOUR SQUARE」、「街の景観」に関連するカラーコーディネーション、プランニングなどが、その一例としてあげられます。従来はものづくりに偏りがちでしたが、今後はハードとソフトの両面から、当社のコア事業を一層強化して行きたいと思っております。
 
「DIC COLOR SQUARE」についてご紹介下さい。
 日本橋という恵まれた立地条件を生かし、本社ビルの1階を、単なるショウウインドウではなく、「色彩」に関するさまざまな情報、あるいは色彩を基軸としたクリエイティブな企画を発信する基地にしようという意向で、多目的展示スペース「DIC COLOUR SQUARE」を2001年の7月にオープンしました。これまで、著名なデザイナーの作品展、美術大学の卒業制作の発表や、当社の企画展など、さまざまな催しが行われています。レンタルスペースとして、当社の考えと合致する企画であれば、どなたでもご利用いただけます。ぜひ活用していただきたいと思います。詳しいことはHPに掲載しておりますので、ご覧ください。
http://www.color-square.com/index.html
 また、中央区とは離れますが、もうひとつお勧めしたいのは、千葉県佐倉市の「川村記念美術館」(1990年開設)です。当社の総合研究所と合わせ約9万坪という広大な敷地内にあり、四季折々の自然を楽しみながら美術鑑賞のできる国内でも有数の美術館です。ロスコやステラなどの現代アメリカ絵画から、モネ、レンブラントなどのヨーロッパ印象派絵画、横山大観などの日本画まで、多彩な作品が所蔵されています。こちらの方にも、ぜひ散策がてらお出かけください。
HPはhttp://www.dic.co.jp/museum/about/about.html
 
街の景観というお話がありましたが、中央区に関連した事業がありますか。
 2003年は江戸開府400年にあたり、その記念事業の一環として「日本橋ストリートアート・よみがえる大江戸パノラマ」が展開されています。これは日本橋地域で現在工事中の室町三井新館(仮称)、日本橋三越新館共同ビル、日本橋一丁目計画(仮称)、第四銀行の四箇所で、工事囲いのフェンスをキャンバスに、江戸の賑わいや華やかさをテーマ別に再現したものです。このフェンスの絵柄は直接ペイントするのではなく、フィルムに印刷されたものを貼っています。このマーキングフィルム(貼る塗料)はわが社の持つプラスチックフィルム、合成樹脂の接着剤、色のもととなる顔料などの技術を総合して開発されたものです。また、東京駅と銀座との間を走るエコバスのボディーの絵柄にもこのマーキングフィルムが使われています。さまざまなアイデアと工夫で、街自体の雰囲気を明るく変え、街を行く人々の目を楽しませることができるわけです。今後の都市の景観は、地域という枠組で空間を構想した上で、造られていくものであり、こうした分野にも力を入れて行きたいと思っています。
 
OL地域活性化の活動にも積極的に参加されていらっしゃいますが。
 社会のためになる、役に立つ企業でありたいという姿勢は一貫しており、できる限り地域にも密着し、お手伝いしていきたいと常々心しています。そのためには、地域活動に取り組みやすい会社の雰囲気を作って行く必要があります。工場などに比べ、本社ではまだまだ十分とは言えませんが、私も率先して、昨年のお祭りでは、日本橋3丁目町会のお神輿をかつぎました。無理をすると、翌日からの仕事にひびくので、ほんの少しだけでしたが・・・。地域活動では、若手の女性社員が活躍してくれているようで、頼もしく思っています。
 中央区の良さは、町自体の雰囲気が庶民的で親しみやすいことではないでしょうか。老舗の方たちとお話する機会も多いのですが、親しみやすいお人柄と常に新しい時代に対応してきた進取の気質に溢れていらっしゃる。東京都心の再開発が急テンポで進む現在、中央区は今後も東京の中心であって欲しいと願っていますし、そのためには、地域活性化の動きをどのように生んでいくのか、今こそわれわれ企業をも含めた中央区の新しい挑戦の時ではないでしょうか。
 
これまでの人生で、とくに印象に残る出来事や、人との出会いがございましたらお聞かせ下さい。
 多くの方たちにお会いし、支えられてきましたが、中でも非常に影響を受けたのは、当社の二代目社長であった川村勝巳氏との出会いです。バイタリティー溢れた方で、あくなき挑戦意欲をお持ちの方でした。様々なことに挑戦し、常に向上していこうという姿勢を身近で学ばせていただきました。
 
最後に、次世代を担う若者たちへのメッセージをひとことお願いいたします。
 一般的に見て、今の若い人たちは利口になりすぎていると言うか、小さくまとまりすぎている感があります。少しはハメをはずしても、間違いや失敗をおそれずに、大いに挑戦をしてください。間違っても、失敗してもまだまだ許されるのが若さの特権です。挑戦する意欲はそれに勝る価値があると思います。

※記事の組織名や肩書は掲載当時のものです。  
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