季刊紙「日本橋美人新聞」の巻頭インタビューより、各界の著名人と山田晃子氏の対談を掲載しています。

山田 「第9回EDO ART EXPO」の開催を記念して、衆議院議員の辻清人さんと、日本の歴史、伝統や文化の魅力などについてお話をさせて戴きます。それでは、ご経歴についてお聞かせください。

辻 私は台東区の出身で4歳の頃に家族でカナダのバンクーバーに移住し、14年間にわたり暮らしていたので語学は自然に習得できました。エレメンタリー・スクールの授業で「日本への原爆投下の是非」をテーマにしたディベートが行われた折に、クラスメート全員が正しかったとする中で、異を唱えた私の意見は最後まで賛同を得られませんでした。「歴史を正し、人々を説得するには何が必要なのか」と担当教師に詰め寄った私に「政治家になり日本のために懸命に働けば、過去だけでなく未来も変えられる」と応えてくれました。振り返ってみると「日本に戻り政治家になるのだ」と自分の中で明確な思いを抱いた出来事だったといえます。17歳で帰国して京都大学を卒業後は、(株)リクルートを経てコロンビア大学大学院に留学しました。その後、ワシントン D.C.に本部を置く民間のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)に入り、当時の同僚であった小泉進次郎衆議院議員と共に外交や経済政策の研究に従事し、5年後に帰国しました。2012(平成24)年12月の第46回衆議院議員総選挙で元通産商業大臣の深谷隆司先生の後継者として出馬させて戴き、現在は2期目を務めております。

山田 多民族国家、カナダは世界で初めて「多文化主義政策」を導入した国として知られていますが、そこで成長されたのは早い時期に日本人としてのアイデンティティーを意識することに繋がったのですね。国際社会の枠組みにおいて日本がいかにプレゼンスを高めていくかが重要といわれる中で、「自民党の若きホープ」といわれる辻さんが海外生活で得た、経験や語学力に期待する声が多くあります。我々とは異なった視点で日本を見つめていらっしゃるのではないでしょうか。

辻 海外で生活している時には母国を常に意識し、長い歴史や純日本的な文化に憧れを抱いていました。そして、生活しているだけでは気付かない伝統的な価値観、企業が持つ技術力や細部にまで行き届いた仕事ぶりなど日本には世界と比べても高い潜在能力があります。
 国民が政治に求めるニーズは千差万別ですが、私は21世紀の国際社会の中で強く豊かな日本の再生に力を注ぎたいと考えています。その為にもこの能力を活用し経済の活性化に尽くしてまいります。

山田 インバウンド(訪日外国人旅行者)の数字が2015(平成27)年に当初目標だった2,000万人にほぼ達し、2016(平成 28)年1月~7月まで昨年の同時期を 19.7%も上回り、約229万 7千人になりました。2020(平成32)年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、観光地としても日本の注目は更に高まるでしょう。日本人が日本文化を見直す良い機会でもあり、文化や風習の異なるインバウンドに向けた観光ニーズの在り方や、それに伴う経済効果などさまざまな視点からのイノベーションが起きていますね。

辻 ご存知のように我が国は2003(平成15)年に観光立国宣言をし、民間の積極的な事業を後押しする補助制度を整備して下支えする仕組みを推進しています。インバウンドに向けて多方面の方々が努力されている中で、私は日本人の根底にある「もてなし」に裏打ちされた文化には相手に合わせて丁寧に「もてなす」だけでなく、行う側と受ける側の両面があり相対的なバランスが重要だと申し上げたい。外国人の信条や宗教の違いについてはアレンジする必要がありますが、日本の伝統や文化を理解し尊重して戴く工夫も大切だということです。シンプルに分かり易く例えれば、老舗に行って日本料理でフォークとナイフを使うのは…(笑)。
 地域が協力して取り組まれている「EDO ART EXPO」は、経済産業省や観光庁が進めている「日本の魅力」を海外に発信する「クールジャパン」の理念にも一致しているでしょう。連綿と続く江戸文化を培ったこの地は、昔も今も多くの人が流入しダイナミックな化学反応を起こしている都市です。過去と現在を融合しながら、皆様が中心となって展開している「EDO ART EXPO」は、日本文化の魅力の発信に確実に貢献している事業だと思います。

山田 「EDO ART EXPO」は都心4区の名店、企業、ホテル、神社仏閣や文化・観光施設、教育機関など、既存の60カ所以上の施設が連携して毎秋に開催しています。前回の第8回では国内外から約40万人もの方々が各パビリオン(会場)を訪れ、回を重ねるごとに本事業へのご賛同やお力添えが増え、心強く感じております。また一部の会場で同時期に催す「東京都の児童・生徒による“江戸” 書道展」は、今年で5回を迎えました。この書道展はお手本がなく、子どもが自分たちでタイトルを考えるところに自主性があり、情操教育に繋がると考えています。また、書を書くという所作が成せる日本の精神文化を学ぶ機会になればと願っております。

辻 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて 「世界の国々を漢字で書く」という新たな題材を追加されましたが、子ども達にはショートステイでも構わないのでチャンスがあれば、是非、海外に行って欲しいと思います。 外から見ることで日本の素晴らしさを知り、日本人としての誇りを持てるでしょう。

山田 辻さんには私ども特定非営利法人東京中央ネットの特別顧問として、ご尽力戴いています。我々は今後も歴史や伝統、文化の意義、価値観などの受け継がれた「江戸のDNA」を次世代に継承するとともに、その魅力を世界に向けて発信する活動に努めてまいる所存です。

辻 皆様がこれからも地域の潜在力を十分に発揮できる様にサポートし、着実に政策の実現にむけて注力してまいりたいと思います。


■撮影:小澤正朗  ■撮影協力:ロイヤルパークホテル
■ヘアアレンジ・着付:林さやか  ■ヘアアレンジ・着付:衣裳らくや

  ※本記事は2016年9月23日時点の内容です。
 
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