季刊紙「日本橋美人新聞」の巻頭インタビューより、各界の著名人と山田晃子氏の対談を掲載しています。

山田 本日は、長きにわたり中央区の発展と安定に力を注がれ、人口増加の実現をはじめ、多大な功績を残された矢田美英区長にお話を伺います。
 区長は共同通信社の記者を経て政界に転身し、現職の市区長の中では全国で最多選を果たされ、1987年(昭和62年)の初当選から8期、32年におよび行政手腕を振るわれました。
 ただ今は4月の任期満了を迎えるにあたり、感慨もひとしおのことと拝察いたします。

矢田 私が前区長のご勇退で後継者となり就任させていただいた頃は、バブル景気の影響で地価が高騰していた時代でした。本区では人口の流出が続き定住人口がピーク時の半分の8万4789人に減少するなど、地域社会全体が活気を失いつつありました。「人集まらずして繁栄なし」をスローガンに、住環境の整備を中心に総合的な取り組みを行い、人口回復に全力を注いでまいりました。
 その結果、1998年(平成10年)には45年ぶりに定住人口が上昇に転じて以降、2018年(平成30年)5月に16万人に達し、現在は「20万都市」も見込まれております。国の推計では2045年までの人口増加率が全国一の自治体とされています。
 人は、まちの根幹であり活力の源ですから、本区に集うすべての方々が「快適な都心生活」を謳歌し、職住近接の安心して暮らし続けられる基盤を築いてまいったと自負しております。

 

山田 昨今の中央区では各所で再開発が活発になるとともに、首都高速道路の地下化、新道路の開通や地下鉄新線構想など多数のインフラ整備も展開されています。自治体の力量も問われ、その担うべき役割も大きいかと存じます。

 

矢田 本区では商業機能を発展させ、にぎわいの継続を図る目的で都心にふさわしい基盤整備の施策を着実に進めており、現在は28の再開発プロジェクトが進行中です。皆さまがご存知の築地市場跡地の再開発も大きな課題ですが、日本橋地域で申し上げれば、先般、計画概要を発表した「日本橋一丁目中地区市街地再開発」をはじめ、5つのまちづくり計画があります。日本橋はさらに魅力あふれる地区に変貌を遂げ、東京の将来につながるまちづくりとなるでしょう。
 そして、忘れてならないのが名橋「日本橋」上空に青空を取り戻すことです。検討会も設置され、大きな一歩を踏み出したところですので、今後も地元の皆さまと力を合わせてまいりたいと考えています。


山田 2018(平成30年)にインバウンド数が過去最高の3000万人を超え、私たちの日常生活の中にも訪日外国人旅行者の増加が実感できるようになってきました。政府は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会という)」に向けて4000万人を目標に掲げており、中央区内には晴海の選手村をはじめ関連施設が置かれます。
 東京2020大会の成果もさることながら、その後のレガシーの創出が重要と言われています。

矢田 そのとおりです。世界最大・最高の「スポーツと平和の祭典」である東京2020大会の中心となる区ですから、大会の成功を支援し、訪れた大会関係者や国内外の観光客に「おもてなし(ホスピタリティ)」の心をもってお迎えしなければなりません。
 晴海の選手村は東京2020大会を契機に、その後は1万2000人が住む新たなシティとして誕生しますので、将来を見据えた良好なまちづくりを目指し準備を進めています。
 また、本区の魅力を世界に発信する絶好の好機ですので、区民協議会を設立し地域との連携強化を図っています。貴団体が主催する事業も、大会の気運を盛り上げていただいていますね。


山田 ありがとうございます。「第12回EDO ART EXPO/第8回東京都の児童・生徒による“江戸”書道展」は、本年は2019年9月20日~10月8日の開催が決まっております。この催しは中央・千代田・港・墨田区の名店、企業、ホテルや文化・観光施設など約60カ所の建物がパビリオン(会場)となり協働し、多種多様な展開で回遊性を高め、地域の活性化に寄与しています。
 「江戸の美意識」をテーマに展示を行うEDO ART EXPOでは、来訪の方々が江戸の伝統や文化、芸術の魅力を身近に親しむ機会をご提供することで、それらを継承し発信する一助になればと思っております。江戸書道展は、東京2020大会を見据え子供たちが世界の国々を知る契機になるよう、2015年に従来の題材「江戸から連想する言葉」に加え「世界の国々を漢字で書く」を新たなテーマに作品を募集しています。
 区長にはこれらの取り組みに、当初からご支援をいただき感謝しております。また、江戸書道展には「中央区長賞」も授与してくださり、子供たちの励みになっています。

矢田 江戸を語るには欠かせない本区はもとより、近隣の3区のご協力のおかげで、今やEDO ART EXPOは都心を代表する秋の風物詩として定着した感がありますし、江戸書道展は子供たちの豊かな発想と未来を感じられる、素晴らしい取り組みであると思っております。
 今後とも、より魅力あるイベントとなるよう磨きをかけてくださることを願っています。


山田 私は、(公社)東京青年会議所中央区委員会で初の女性委員長を務めさせていただき、区長から「男女共同参画社会」の形成について意見を求められたのがきっかけとなり、その後、区内のさまざまな活動に従事する中で、親しくお話しさせていただける機会が増えました。いつもトレードマークの赤いネクタイを締められ、颯爽と活躍していらっしゃる姿に、安岡正篤の著書の中での、呂坤の呻吟語から引用した「精神爽奮なれば則ち百廃倶に興る」の一言を思い起しておりました。
 今後は日本橋で過ごされる時間も増えると存じますが、「日本橋の魅力」はどのようなところでしょうか?

矢田 連綿と続く歴史と最先端の創造性が調和し活気に満ちあふれた日本橋は、未来に向けてさらに進化を続けていく、まさに生きているまちであり、今後も賑わいが続くものと確信しております。
 そのような日本橋を支えているのは、伝統の中で磨き抜かれた独特の雰囲気を醸し出していらっしゃる方々です。きっぷがよく姿形も格好の良い「日本橋人」や生き生きとして品位のある「日本橋美人」たちでしょう。
 私が区政万般の職責を全うできましたのも、日本橋をはじめ本区の皆さまの温かいご支援、ご協力のおかげであり、この場をお借りして深甚なる感謝と御礼を申し上げます。



■撮影:小澤正朗  ■撮影協力:ロイヤルパークホテル
■ヘアアレンジ・着付:林さやか  ■衣裳協力:きもの工房まつや コレド日本橋店

  ※本記事は2019年3月15日時点の内容です。
 
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