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伝統技術【工芸編-4】日本橋浜町「濱甼高虎」「濱甼高虎」看板 映像がご覧いただけます。「濱甼高虎」 二代目店主 高橋欣也さん
 日本橋浜町は、現在の隅田川に臨む「浜辺の町」であったことに、その名が由来します。江戸時代、隅田川沿いには各藩の蔵屋敷が建ち並ぶと共に、職人の町としても知られていました。「濱甼高虎(はまちょう・たかとら)」は昭和23(1948)年に浜町にお店を構える以前から、人形町で「紺屋」という屋号の染元を営んでいました。日本橋に縁の深い、伝統あるお店です。祭り半纏(はんてん)や手拭いなどをはじめ、合財袋(がっさいぶくろ)、掛守り(かけまもり)などに江戸の洒落を効かせた商品を多数制作している「濱甼高虎」の2代目・高橋欣也(きんや)さんにお話を伺いました。

「濱甼高虎」 二代目店主 高橋欣也さん
濱甼高虎の歴史
 「濱甼高虎」は初代・父が昭和23年に浜町で創業しましたが、江戸時代には人形町で「紺屋」という染元を代々営んでいました。父から数えると私は2代目ですが、実際には6代目か7代目にあたります。しかしながら、何代も続いてきた伝統に執着せずに、自分の仕事をしていくことが大切だと思っています。
  昔から「江戸っ子は3代続いたら恥」と言います。家系という血筋の中で仕事を続けていくのは、江戸っ子の信条に反することとされていたためです。ですから私も何代目かということには囚われないようにしていますし、私の跡継ぎは自分の子供ではなく、弟子の中から選ぶことになると思っています。

染元という仕事
 私どもの仕事は、染色に関わる数々の工程を管理し、また、自らも図案や型紙制作、一部の染色などを行い、商品を作り上げることです。専門的な工程は外部の職人に依頼します。以前この浜町周辺には委託できる職人仲間が数多くいましたが、現在は少なくなり、私どもの職人がひとり3役程をこなさないと仕上がらなくなってしまいました。当店では、祭りなどの「半纏(はんてん)」、「手拭い」、一切合財何でも入れる袋の「合財袋(がっさいぶくろ)」・お守りを入れて持ち歩くための「掛守り(かけまもり)」などの商品の制作・販売を行っています。
 
技術の伝承
 昔から続いてきた伝統を守り伝えるのは至難の業です。なぜなら、以前と同じ素材を手に入れることが困難となってしまっているからです。染料は天然のものから化学染料に代わり、型紙も和紙からプラスチック製の丈夫なものに変わりつつあります。素材に変化はありますが、伝承されてきた技と、江戸っ子の心意気や洒落は失わないように、商品に反映させています。江戸の洒落を絵で表した「判じ物」などがそれです。例えば「大」きい「羊」の絵、これは「美しい」を表しています。キセルをふかして一服している骸骨(どくろ)の絵は「骨休め」、「玉」に「下駄」で「たまげた」。これらは、識字率の低かった江戸時代に職人たちが考え出したもので、現在の商品にある洒落には、私のオリジナルも含まれています。

1.くせ直し。髪全体を丁寧にとかし、熱したコテでなでつける2.「襟足(たぼ)」「びん」「前髪」「まげ」の順に結い上げる3.最後に「まげ」を整える
1.図案によって数種類の刃物を使い分ける  

2.型紙を作る

 

3.染め(合財袋)

手ぬぐい



店舗内観


「濱甼高虎」 二代目店主 高橋欣也さん
制作の上での苦労や喜び
 伝統技術を守り伝えていくのは難しいものです。しかし、私は仕事をすることに面白みを感じるようにしています。商品を作る楽しみがあるからこそ、こうして続けていられるのでしょう。何事も苦痛に感じるのでは長続きしません。仕事を楽しむのも嫌々ながらするのも、考え方次第なのではないでしょうか。
  また、祭り半纏を作る際は、その土地特有のしきたりなどがあるので、祭りに参加し、テンポや習慣等を体感してから制作に臨んでいます。合財袋や掛守りも、販売する前に自分で使ってみます。昔からあるものを制作し、それを基本に、自分で使ってみて気付いた点は改良していくのです。「現場第一主義」と言えると思います。

日本橋浜町について
 浜町は、江戸時代には職人の街として有名でしたが、花街が近くにあったことから「粋な街」としても知られていました。ここにいるからこそ江戸の洒落が効いた作品を作ることができるのだと思っています。街の環境や雰囲気が私の発想の源なのです。また、江戸っ子としての心意気も大切に守っていきたいと思っています。日本橋は「江戸下町」、ここで仕事をしていることが私の誇りです。ですから、地域のことでお手伝いできることがあったら積極的に参加しています。
 
日本橋浜町

 
DATA  
濱甼高虎
商品-掛守 商品-合財袋
掛守
合財袋
「手拭い」(800円〜)、「合財袋」(3500円〜)、「掛守り」(2000円)など、全ての商品にエスプリの利いた洒落が描かれているので、あれもこれもと欲しくなってしまうものばかり。半纏制作の相談は、半年前までに。なお、高虎の商品は日本橋高島屋や日光江戸村などでも販売されている。

店舗住所:東京都中央区日本橋浜町2-45-6
電話:03-3666-5562
営業時間:9:00〜18:00 第2・第3土曜・日曜、祝日休み
最寄り駅:都営新宿線浜町駅/東京メトロ日比谷線及び都営地下鉄浅草線人形町駅/東京メトロ半蔵門線水天宮前駅

 


2004年7月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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