東京中央ネットロゴ NPO(特定非営利活動)法人東京中央ネット 東京中央ネットは中央区のポータルサイトです。
東京中央ビジネスナビ参加企業について
検索する
サイトマップ お問い合わせ
HOME > 今月の特集 > 伝統技術【工芸編-8】
Special Issueバックナンバーはこちら
伝統技術[工芸編G]
銀座「渡邊木版美術画舗」
「渡邊木版美術画舗」3代目店主渡邊章一郎さん
インタビュー映像がご覧いただけます。
 銀座並木通りは海外の一流ブランド店、高級レストランや画廊が立ち並び、美とアートの通りとしてその名が知られています。渡邊木版美術画舗は、この並木通りにお店を構え、江戸時代に栄えた浮世絵から「新版画」などの木版画を扱い、海外からのお客様も多く訪れます。今月の「伝統技術ー工芸編ー」は、同店の3代目店主・渡邊章一郎(わたなべ・しょういちろう)さんにお話を伺いました。

版

木版画とは
 
 天然の木を版として使い、彫刻刀で色をつけたい部分以外を彫り、その色の数だけ版を作り、色を摺り重ねていくのが木版画です。江戸時代には浮世絵が盛え、葛飾北斎、歌川広重など国際的に高く評価される芸術家を輩出しました。明治以降も川瀬巴水・棟方志功をはじめ数々の作家が木版画家として活躍し、日本が誇る芸術として海外でも大変人気があります。
 
 
3代目を継ぐまで
 創業は明治39(1906)年、海外に浮世絵を輸出していた祖父、渡邊庄三郎(しょうざぶろう)が京橋に店を構えたことが始まりです。その後、大正時代(1912〜1925年)になると、祖父は当時の画家に「浮世絵版画の手法をもとに新しい版画をつくろう」と呼びかけ、美人画の伊東深水(いとう・しんすい)や風景画の川瀬巴水(かわせ・はすい)に代表される、より芸術性の高い木版画を目指す「新版画」というジャンルを築きました。このような経緯から、当店は新版画の中心的な版元としても知られています。もちろん、浮世絵のオリジナル版、復刻版や現代版画も販売しています。その後、2代目・父も版画制作のプロデューサーとして店を盛り立て、3代目の私に至ります。

木版画の版元として
 私自身は銀座で生まれ育ち、ずっと銀座で暮らしていますし、一人っ子のため、ゆくゆくはこの店を継ぐことになると自覚しておりました。良いものに触れる機会に恵まれてきたことにより、自然と審美眼が育まれ、作品の良し悪しが分かるようになりました。幼い頃より、そのような環境で育ち、大学卒業後は、銀座の百貨店に勤務し、その後、この店を継ぎました。現在は現代作家による作品のプロデュースをはじめ、木版画の海外への普及活動、さらにはテレビの「開運!なんでも鑑定団」で浮世絵の鑑定なども行っております。特に、お得意様の要望通りの木版画をご提供できた時などは、版元冥利に尽きます。

家族写真
体で覚える職人の技
 当店では、2名の摺り職人を抱えており、摺師(すりし)が一色ずつ手で摺り上げます。職人の渡辺英次(わたなべえいじ)が擦っている様子をご紹介しましょう。

    職人技
 はじめに、ニカワと水で顔料を溶きます。色味を調整した後に、版木を湿らせて顔料の吸収をよくしてから顔料をつけ、和紙をのせてバレンで摺ります。この行程を、色の薄い順から一色ずつ手がけます。版木や和紙、顔料、バレンなどの材料や道具は天然素材のため、その時の温度、湿度や天候などで微妙に状態が異なります。全体の色バランスを保つのが難しく、職人が経験を積みながら勘を磨き、体で覚えるしかありません。また、それが木版画ならではの風情あふれる味わいとなります。

手順1手順2手順3
1.ニカワと水で顔料を溶き、色味を調整。   2.版木を湿らせてから顔料をつける。  

3.和紙をのせてバレンで
一色ずつ手で摺る。

   

銀座並木通りと、将来への展望
 銀座の並木通りには、海外の一流ブランド店、呉服屋や画廊などが立ち並び、銀座のなかでもとりわけ文化的な通りだといえます。私ども店主は、この通りにお店を構えているという誇りを持ち、常に、お客様へ良い意味での刺激を発信できるよう努力しています。当店も、並木通りの老舗として、また、日本が誇る浮世絵の発信元であり「新版画」というジャンルを築いた版元としての自負を誇りに、今後も木版画の良さを国内外のお客様にお伝えしたいと思います。
 2006年には創業100周年を、2007年には川瀬巴水の没後50周年を迎えます。さまざまな企画も考えており、今後もお客様に愛される木版画店として、努力して参ります。
銀座

 
DATA  
店内
渡邊木版美術画舗
浮世絵オリジナル(数千円〜)、浮世絵復刻版(8,000円〜10,000円)、川瀬巴水の後摺り(21,000円〜)などの新版画、現代創作版画(2,000円〜)、杉山元次(すぎやま・もとつぐ:3万円〜)など、版画ファン垂涎ものの味わい深い作品が、多数揃っている。
またX'masなどに活用できるグリーティングカード(525円〜)や現代作家物のカレンダー、画集などもあり、プレゼントに最適。
さらに、浮世絵の鑑定士として知られる店主による無料鑑定や、浮世絵の買い付けなども行っており、気軽に訪れたい店である。
店舗住所:中央区銀座8-6-19
電話:03-3571-4684(代)
FAX:03-3572-8887
URLhttp://www.hangasw.com
営業時間:月〜土:9:30〜20:00、祝祭日:9:30〜17:00、日休
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」、JR山手線・京浜東北線・横須賀線・東海道線、東京メトロ銀座線、都営地下鉄浅草線、ゆりかもめ線「新橋駅」
 


2004年11月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
copyright2004 Tokyochuo.net All Rights Reserved.
東京中央ネットについて 東京中央ビジネスナビについて このサイトについて プライバシーポリシー