中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 先日、私の知り合いが銀行融資を乗り換える事に成功しました。今までL銀行だったのですが、利息の引き下げ交渉や借入期間の延長交渉に全くのってくれず、Z信金が相談に乗ってくれて全額借り換えました。期間も長くなり、利率も下がりいいことずくめでしたが、あまりの嬉しさに余剰資金をZ信金で定期預金にしてしまったのです。もちろんZ信金は大喜びです。大喜びの訳はいくつかあります。固定預金が増えました。担保が増えました。(実際は担保にしていませんが)もう一つはこれにより借入金の金利が上がったのです。賢明な読者はピンときたと思うのですが。仮に借入金が1000万円あります。借入利息が5%だとすると、年間に支払う利息は50万円です。ここに定期預金を300万したとします。利息が1%、年間の利息受取額が3万円です。借入の実質額は借入1000万から定期300万を引いて700万円になります。実質支払利息は支払利息50万円から受取利息3万円を引いて47万円ですよね。実質借入額が700万円、実質支払利息が47万円、さてこの利率は?47万÷700万で…。6.7%になりませんか。5%で借りる事ができて良かったはずなのにいつの間に金利が6.7%になっています。表にするとこうなります。

 これが銀行の借入金利息が高くなる裏ワザです。(笑)

 


  商売を長くやっているといい時も悪い時もあります。上り調子になれば設備投資が必要になり、下り調子になれば運転資金が心配になります。全てを自己資金で賄えればいいのですが、そんな会社はなかなかありません。いい時も悪い時も銀行とはお付き合いしていかなければなりません。ただ、ちょっとした知識で交渉がスムーズに運ぶ場合もあるのでいつの時代でも勉強は必要です。
さてもう一点、最近銀行から経営計画を求められる場合が多くあります。この経営計画を「私は数字に弱いから」と税理士さんやコンサルタントに丸投げする社長がいますがどうなんでしょう。銀行は融資の審査をする場合、定量部分と定性部分を勘案して決定します。定量とは数字の部分で損益計算書や貸借対照表に出てくる数字を分析します。定性とは数字に出てこない部分、その会社の持つ固有の技術だったり、人材だったり、将来性や社長の人間性ややる気、実行力等を検討材料にします。その際丸投げの計画書で正しい評価が得られるでしょうか。プレゼンをするにしても他人のつくったものでは説得力に欠け、銀行も株主も納得しないのではないかと思います。会社経営で使う数字は難しい算式はまずありません。加減乗除、+、-、×、÷、小学校で習ったこの4つだけです。理念やヴィジョンは日頃社員に言っている事を言葉にすればいいだけです。中小企業の社長は鉛筆舐め舐め自分で書いてみましょうね。税理士さんやコンサルタントはあくまでお手伝いに。


 この原稿を書いている日はあいにくの雨模様です。ラジオから流れてきた懐かしい歌、「雨に濡れてた黄昏の街。あなたと会った初めての夜。二人の肩に銀色の雨。あなたの唇濡れていたっけ。」永六輔、中村八大の名曲の一つ。そんな歌に誘われてぶらぶらと銀座まで行ってみると紫陽花がとても綺麗でした。雨に映える紫陽花。花言葉は「移り気」。大人の女性がとても良く似合います。

 

 このコラムを読んでくれた貴方と貴方の大切な方にお金が程良く一杯回ってきますように。

 


  
 
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