中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 「あの会社、いい会社なんだよ。」このセリフ時折耳にしませんか。このいい会社の中身は大体、対応がいいとか、経営理念が素晴らしいとか、文章に出来る部分の事が多いですよね。でも、いくら素晴らしい経営理念を持っている会社でも潰れてしまう事があります。情の部分ばかりに注力して科学(数字)を忘れてしまうからです。私達は資本主義のど真中にいるので、やはり結果は数字に表れ数字で評価されます。これは個人でも会社でも同じですが、会社の場合は数字の表わし方が統一されています。それが「決算書」です。経営者の方は見慣れていますが、一般の人は見た事がないという方も多いのではないでしょうか。さらに経営者でも「数字に弱い族」の社長さん方はいまだに決算書は税理士まかせで良く判らんという方もいるようです。少し勉強してみましょうね。ただし、税理士になる訳ではないので経営に必要な所だけ。


 決算書は主に「損益計算書(P/L)」と「貸借対照表(B/Sバランスシート)」で成り立っています。損益計算書は営業成績を表し、バランスシートは主に財産状態を表しています。P/Lは意外に単純です。まず、売上があって次に原価(仕入)があります。売上から原価(仕入)を引いたものが粗利(売上総利益)、次にずらっと経費が来ます。広告宣伝費や販売促進費や工場の家賃や人件費(給与)です。粗利から経費を引いたものが営業利益、その下に特別損益があって受取利息や今期だけ特別に発生した収入から借入金の支払利息やらを引いて経常利益が出ます。その経常利益に税金がかかって最後に純利益です。口でいうと難しく聞こえますが現物で見ると割と簡単です。

  1. 売上高

10,000,000

 

  1. 原価(仕入高)

4,000,000

 

  1. 粗利(売上総利益) ①-②

6,000,000

 

  1. 経費(人件費、広告宣伝費等)

3,500,000

 

  1. 営業利益  ③-④

2,500,000

 

  1. 営業外収益(預金の利息や雑収入)

100,000

 

  1. 営業外費用(支払利息等)

400,000

  1. 経常利益  ⑤+⑥-⑦

600,000

  1. 法人税等

360,000

  1. 当期純利益  ⑧-⑨

240,000

 

 次にバランスシートですが、こちらの方が難しく感じる人が多いようです。バランスシートという名の示す通り、左右に資産と負債の金額を置き、バランスをみる表ですが日本語では左側を「借方」右側を「貸方」と言います。この表現がバランスシートを判りにくくしている元です。ここでは左側、右側と呼ぶ事にします。左側は資産、いわゆる財産です。右側は負債です、いわゆる借金です。この財産と借金の差が資本やたまった利益です。

左側(資産)

借方

右側(負債)

貸方

現金、預金

1000000

借入金

1,200,000

売掛金

200,000

買掛金

180,000

土地、建物

3,000,000

負債合計

1,380,000

車両

500,000

資本、剰余金

3,320,000

資産合計

4,700,000

資本合計

4,700,000

 

 この表では資産合計が470万円、この資産合計から負債合計を引いた332万円が純資産です。これは通常右側の一番下にきます。このバランスシートで判る事の一つは耐久力。赤字でも預金や財産が一杯あれば当面やって行けます。その間に事業を再構築する事も可能です。故にコンサルタントの中にはこのバランスシートをとても重要視する人が多いです。先般某予備校が大幅に事業を縮小縮小すると発表しましたが、あまり経営危機とは叫ばれませんでした。通常70%も縮小しなくてはならないなら、潰れてもおかしくないのですが、この予備校は駅前の一等地に自社物件があり、そこを賃貸なり売却すれば利益が出ると見た人が多かったからではないでしょうか。しかも、通常は土地、建物の評価(特に土地)は決算書に載っている数字より実際の方が高いのです。この差を含み益とか含み資産といいます。PL赤字でBS黒字の典型です。もう一つ、決算書に出てこない資産があります。それは「人材」です。社長の貴方を含めて技術者や営業マン、貴方の会社のスピリッツを持った人材、これも大切な財産です。


 どうですか少しはお判りいただけましたでしょうか。この短い紙面では難しいですが、毎年きちんと決算書を見る、判らないところは聞く、繰り返していると判るようになります。だって、税金払うんですよ。納得して払いたいでしょう!
 次に…。まだやるのかって?もう少しお付き合い下さいね。ここからが本番です。来季の事業計画を立てる時に以前は損益計算書を元に、下から行く人が多かったです。まず経費を書き出す。全て書き出す。殆どの経費は予定が立ちますから計上出来ます。そして商品の原価、原価率を決定すると必達の売上が算出出来ます。ここからさらに計画を練り上げていく。利益は十分か、人員はどこが足りないか、重点地区はどこか等々。しかし最近はちょっと違います。損益計算書のスタイルを使うのは同じですが、上から行く人も多いのです。まず、売上目標を立てる。原価並びに原価率、国内生産でも十分に利益が取れるか、取れないとなると必要なら海外生産も検討する。その結果、人員計画や配置計画、リストラをするとかしないとか、、、。こちらでは売価、利益率を元に計画を練り上げていきます。この2つのやり方では出てくる発想が違って来ます。前者のやり方ですとあまりリストラ(人員整理)の発想は出て来ません。出来る方はBSも計画してみるととてもいいですね。このやり方、どちらがいいとかではなく、会社にあったやり方があるのだろうなと思っています。では次に商品の売価をどうやって決めるのかという事ですが、長くなりますのでこれは次回以降にしましょう。さて事業計画、貴方の会社はどちらのやり方で計画しますか。なんですって?行き当たりばったりじゃ駄目かって?まあ、本当に貴方がやり手で、本当に貴方が天才ならそれが一番です!無責任かなあ?

 

 貴方の会社の利益が手に余る位沢山出て、貴方と貴方の大切な方が幸せになりますように…。

 


  
 
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