中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 11月になりました。皆さんお元気でお過ごしですか。これを書いている時に日銀の黒田総裁が更なる金融緩和のバズーカ砲を撃ちました。途端に株価がすごい勢いで跳ね上がったようです。株価が上がって困る人はあまりいないのでいい事だとは思いますが、実体経済が追い付いてこないとまた下がるかも知れません。アベノミクス第3の矢がどんどん飛んできて民間の我々が反応出来るといいのですが。


景気の情勢はさておき、足元をしっかりさせる為にはやはり環境整備が必要です。現在貴方の会社が赤字だったり、赤字ではないけど今一つ抜け出せない、閉塞感がある、今黒字が出ている内に会社の素(スピリット)を作りたい、そう感じているのなら「環境整備」をして見てはどうでしょうか。環境整備と言うとすぐ「掃除」を思い浮かべる人が多いのですが、実は違います。環境整備という括りの中の一つに掃除があるので、掃除イコール環境整備ではありません。環境整備とは「環境」を「整」えて、次に「備」える事です。もう一度言いますね。「環境を整えて次に備える」のです。もちろん、掃除もその中の一つです。中身は大きく3つに分かれています。
「整理」「整頓」「清掃」
の三つです。整理とは不要な物を捨てる事、整頓とは片づける事、掃除はきれいにする事です。何だ、そんな事ならもうやってるよ!とお思いの貴方。どの程度をやってるというのか、どうやっているのかが問題です。この3つを徹底的にやる訳ですが一つずつ見ていきましょうね。


「整理」とは
不要な物を捨てる事です。どの程度捨てるかというと、捨てて捨てて捨てまくるのです!(笑)例えば倉庫の中を整理するとします。50%以上、時には70%位の物が「どうするか迷う物」です。同僚同士で「これどうする?」または上司に「課長これどうしますか?」と聞くものばかりです。「ああ、この大感謝祭の幟ね。またやるかも知れないからとっとこう。」これでは何も整理出来ません。いつか使うかも知れない物は全て捨てます。例えば前述の幟だって、今の時代、年月が経てば幟の色や形、デザインが変わります。そのイベントが具体化した時に改めて購入すべきです。家庭に例えるとよく膨大な量の手提げ紙袋を取っとく奥様がいますが、一度に持てる紙袋は両手を使って頑張って4枚。それにまた買い物に行けば紙袋がついて来ますから。会社の話に戻りますが、「使うかも」物、かも物は全て捨てます。本当に必要な時にまた買えばいいのです。机の中もキャビネットの中もです。どうですか。すっきりしませんか。これだけでも相当のスペースが空く筈です。これをやって空きスペースを賃貸した人もいます。


次に「整頓」です。
整頓とは辞書ではきちんと片づける事となっていますが、環境整備では物の置き場所を決める事です。どういう状態にするのがいいかというと、例えば倉庫の整頓には4つの原則があります。踏まず、跨がず、探さず、どかさず、です。貴方の会社の倉庫に必要なものを取りに行った時に、倉庫内のどこにあるのか判らない、通路にも物があってややもすると踏んでしまう、踏まない為には跨がないといけない、物をどかさないと奥に何が入っているか判らない。そんな状態になっていませんか。ここにこれを置く、あそこにこれを置くと決めるのです。決めたら誰にも判るように表示します。倉庫だけではなくキャビネットの中や机の中も置き場所を決めます。文具置き場だったら、ここに消しゴム、ここに鉛筆とか決めておくのです。書類のファイルも全て置き場所を細かく決めて必ず場所を表示します。机の上に置くものも決めておきます。机の引き出しで身体の正面に薄い引出ありますよね。あそこにも色々な物を入れておく人がいますが、あの引出は普段空けておきます。出かける時とか帰る時に処理中の書類関係をあそこに入れるようになっているのです。帰る時には机の上は電話以外置いてはいけないというのも有りです。


最後に「掃除」です。
掃除をどの位やるかと言うと、トイレ掃除だったら便器に素手で触っても大丈夫な位にします。道具類もぴかぴかにします。壊れている物や場所は必ず修理します。壊れっぱなしとか、消えっぱなしは駄目です。スーツで床に転がっても大丈夫な位やります。私の知り合いの会社ですが、お父上の会社にその方が入社して会社の将来に大変な危機感を抱きました。しかし、実権はお父上が握っていますので、本人はなかなか思うように出来ません。でも何かしなくてはという事で「環境整備」をやってみようという事になりました。社長であるお父上を説得して全社をあげてスタートしました。考え方が少しずつ広まっていきスペースも空いてきたので有効に活用しようと前向きな議論も出て来ました。今日は定期清掃日と言う事で全員でぴかぴかにトイレ清掃していた所に社長が通りかかり全員で挨拶。そこで社長一言。「君達、いつまで掃除ばかりやってるんだ。仕事しなさい!」チーンです。この一言でこの会社の環境整備は終了しました。息子さん頑張ったのですが、社長の理解が足りなかったのですね。この事でも判るように環境整備は社長の仕事です。社長自身がこれをやり遂げるという強い意思がないと完成しません。工程表を作って、点検する日を設けて、こつこつとやるのです。会社の中が見違えるようになります。残業も減り社員の態度も変わります。スペースが大きく空けば引越をして賃貸料を下げる事も出来ます。もし、貴方が息子さんに会社を継がせようと思っていたら、先程の例とは逆に息子さんに環境整備をやらせて見てはどうでしょう。上手く行ったら実績として認めて上げる、くじけそうなら助けてあげる。そうすれば環境整備を通じて親子の絆が深まるかも知れません。そうすれば正に一石二鳥です。貴方も環境を整えて次に備えましょう。

そう言えば先程来年のカレンダーが取引先から届きました。第一弾です。時の経つのは早いものですね。一日が長く、一年が短く感じると歳を取った証拠だそうです。私は一日が短く感じられますのでまだ若いです。(笑)これから本格的に寒くなります。どうぞお身体に気を付けて元気に年末商戦をお過ごしください。貴方と貴方の大切な方がいつまでもぴかぴかでいられますように…。

 

平成26年霜月

 

  
 
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