中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 

 明けましておめでとうございます。お正月は如何お過ごしでしたか。今年は3日間しかなかったせいか、美味しくお酒を頂いて酔っ払っているうちに仕事が始まった、私はそんな感じのお正月でした。本年最初のコラムです。今年もよろしくお願いいたします。
 最近私のところにも「会社を廃業したい。」「会社を誰かに譲りたい。」という相談が来るようになりました。これが一昔、二昔前であれば廃業を勧めるコンサルタントなんか居ませんでした。誰もが何とか再生、再建させる方向へ経営者を奮い立たせて持っていく、それが当り前でした。しかし、昨今は事情が違います。中小企業では経営者も社員にも高齢化の波が押し寄せていて、後継者がいないという企業が多いのです。特に社長の後釜です。社長自身が長年苦労を積み重ねてみると息子にはこんな苦労をさせたくない、会社を継がせたいという気が薄れ、またご子息も大企業に勤めてしまえば親父みたいに苦労しなくてもいいと思う人が増えてきたように思います。

 

 では、今の高齢社長は何を苦労してきたのでしょうか。それは一にも二にも資金繰りだと思います。どうして資金繰りに苦労するかというと、一に銀行の問題、二に税金の問題があります。銀行は相変わらず雨の日には傘を貸さない主義ですし、社長は連帯保証を取られていますから会社を潰して再出発の道を探る事もなかなか出来ません。この連帯保証制度を改めないと、起業する人もなかなか増えないのではないでしょうか。次に税制の問題があります。日本は税金が高いです。というより税金の種類が多く、結果とても負担になっています。仮に貴方が起業したとします。一年、二年と順調に業績が伸び利益が800万を超えると、それまで25%だった法人税が約35%に上がります。そこで、利益が出ているので自分の給料を上げると所得税が累進課税でど~んと上がります。更にこれは税金ではありませんが社会保険料も上がります。忙しいし、利益も出ているから社員の給料を上げると同様に社会保険料の会社負担分が上がります。売上げも伸びそうなので来年は増産しよう、その為に機械を購入します。この機械に固定資産税がかかり、減価償却は何年か掛けて行いますので購入金額はその年の損金では落ちません。ここで勘定合って銭足らずに陥ります。この機械の購入代金を銀行から借りたとしますと、その返済金は利益から税金を払った後のお金で払う事になりますからこれも大変です。どうですか、経験の無い方が考えても大変そうでしょう。そして、こんなに苦労して何とか残した財産を子供に残すと相続税がかかります。社長は死んでも苦労します。(笑)どこかでこの仕組みを変えないと起業しても中小企業は苦労が多く、後継ぎがいなくなってしまうのです。日本ではここ当分は大企業に引っ張ってもらうしかないのかなとさえ思います。



 でもね、じゃあ苦労ばかりかと言うと社長は底知れぬ達成感や、社会貢献に対する満足感や家族を養う自負感や皆に尊敬される満足感等々サラリーマンの何倍もの喜びに浸る時もあるのです。だから私は起業をオススメします。そして日本の税制や銀行を変える位の発信力を持つ企業になって下さい。貴方が起業したなら、そういう心意気を持って経営して下さい。時代が大きく変わり、廃業や譲渡の道を探った方がいい会社もある中でどんどん新しい会社が出来て自分の「思い」を伝えていく、そこで人と人が繋がっていく。そんな会社を作る貴方に期待をしています。

 

 貴方と貴方の大切な方がずっと幸せに過ごせる、そんな社会が実現します様に…。

 

平成28年 睦月

 

  
 
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