中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 

 寒い日が続きますが、土の中から少しずつ春の雄叫びが(どんなやっちゃ?)聞こえてきませんか。今日は廃業のススメパート2、実際に私が会社を譲渡した際の裏話が記事になっていますのでちょっと紹介します。書いたのは仲介会社のコンサルタントですが、関係者の思惑もあるので実名は隠してあります。

 

 

 業績が少し低迷していた老舗を同業の会社が譲り受け、新たな経営手法を導入する事により黒字化を図ったケースです。譲渡対象となった△△△△は高級仕出し弁当を中心に、西京漬やおせち料理の製造販売を営んでいました。その一つ一つ手作りされる仕出し弁当は会議弁当として大手企業や官公庁に固定客をもち高い評価を得ていましたが、近年は不況や社会構造の変化で予算が減る中高級仕出し弁当は苦戦をしいられていました。△△社長としても後継者を考える年になりましたが、お子さんは娘さんしかおらず家業を継ぐ意思はなく「本人にやる気がなければ苦労はさせられない」と考え、第3者へ譲渡する事を決意しました。その時点で△△社長にはいくつかの懸念材料がありましたが、一番大きかったのは「全ての従業員の雇用が守られるか」という点です。当時の業績から考えるとなかなか難しいケースでしたが、高品質で評判の高い商品を提供していたため、営業を強化出来る会社と一緒になれば再生が図れるのでと思われました。

 本件の買い手となったのは同業の仕出し弁当▲▲▲▲でした。同社はインターネットを中心としたマーケティング活動に力を入れ首都圏一帯の大手企業やテレビ局等の新規顧客を次々と獲得し業績を拡大していました。そうしたところ売上拡大に伴い工場のキャパシティーがぎりぎりになってきており弁当工場を持つ会社の買収を希望していました。紹介したところ強い関心を示されました。しかしこの▲▲社長が実際に興味を持ったのは希望していた工場の活用ではなく、△△△△のブランド力でした。配送や営業マーケティングを強化改善すれば十分伸ばせる余地があると▲▲社長は考えたのです。
 △△△△にとっては▲▲▲▲は価格隊が違う為バッティングする顧客はあまりいなかったもののライバル企業とも言えました。しかし、会社の発展を考えた場合業界の事も良く判っていて新しい経営手法を導入してくれる▲▲社長に期待したいという気持ちになり譲渡を決断いたしました。

 ▲▲社長は従業員をそのまま全員引き継ぎ△△△△のブランドも残す事を希望しました。これは双方にメリットがありました。買収後▲▲社長はホームページのリニューアル、インターネットマーケティングの本格的導入、配送地域の大幅な拡大と次々に改革を実施してきました。その結果安定的に業績を拡大しており、▲▲社長は今後も業容を拡大していきたいと意気込んでいます。



 ここに至るまでに他にも何社か候補がありましたが、顧客がバッティングしてシナジー効果に疑問があったり、条件はすごくいいのですが全くの他業種で本気でこの会社を考えてくれるか不安だったりで、なかなか話がまとまらずこの頃は悶々とした日が続きました。約束通り今でも全員の雇用は守られています。もし貴方が行き詰って廃業する気であれば譲渡を検討する事をオススメします。また、実際の契約に至るまでの手順とか法律的な問題のクリアとか、餅は餅やで専門のコンサルタントがついていると心強いですので相談することもオススメします。

 

 貴方と貴方の大切な方に良い事が沢山ありますように…。

 

平成28年 如月

 

  
 
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