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中央区のお医者さん

2006.10月号
 

覚えておいて、子どもの心肺蘇生のABC

 

 

 

Q. 子どもの死因の一位は、事故というのは、本当ですか?

 

A. はい、残念ながら、子どもの死亡原因の第一位は、交通事故、溺水、窒息などの不慮の事故となっています。
 事故の問題は、子どものもっとも重要な健康問題なのです。
例えば、日本で年間約250人の子ども(15歳以下)が水の事故で死亡します。1歳台までの溺水事故の80%以上が、お風呂で発生しています。子どもは10cmの深さでも溺れます。
  事故は、周囲の大人が気をつけることで予防できますし、また、大人には予防する義務があります。

  Q. 子どもの事故には、まず、大人が気をつけて、予防することが大切なのですね。でも、事故が万が一、わが子に発生した場合、どのように対処するとよいですか?
  A. 万が一発生した場合、我が子の事故に、気が動転していると思いますが、パニックになることなく、落ち着ついて行動して下さい。
 特に溺水事故で、呼吸が出来ていない場合、119番通報の前にまず、水を吐かせて、心肺蘇生のABCの要領で、1〜2分は人工呼吸をして下さい。その後、119番通報します。体の保温をしつつ救急受診してください。

  Q. 周りに人がいなければ、119番通報の前に、心肺蘇生をするのですか?
 

A. はい、まずは、心肺蘇生することが大切です。
それ程に呼吸停止への対処を早くする必要があるのです。
子どもは、呼吸が停止し、引き続いて心臓が停止してしまうことがほとんどであり、子どもの心肺蘇生では、呼吸の確保が重要な位置を占めます。逆にいうと、気道確保や、人工呼吸を行うことにより、蘇生に成功、回復する可能性が高いのです。
 心肺蘇生は、数分以内に行うことが大切です。血流が数分途絶えると、脳の神経細胞は、不可逆性の障害を残してしまいます。呼吸を停止した状態が、数分続くだけで、神経細胞の障害が進み、ほとんど回復の可能性はなくなり、死に至ります。

 

Q. では、心肺蘇生について、教えてください。ABCとは、その手順の順番ですか?

 

A. はい、心肺蘇生は、ABCの順で行います。ABCは、アルファベットの頭文字をとっており、それぞれ、AはAirway(気道)、BはBreathing(呼吸)、Cは、Circulation(循環)です。

次にその一つ一つのステップを順を追って、解説いたします。

(A)Airway 気道確保のために
 舌が、空気の通り道(気道)をふさいでしまいます。頭を後屈させ、あご先を挙げることで、気道を確保できます。
 気道を確保した状態で呼吸をチェックします。胸や腹の上下運動を見て、鼻や口から息を吐く音を聞いて、そして自分の頬にあたる息を感じて、10を数える位の短時間で判断します。
  ・呼吸をしていれば、体を横向き(回復体位)にして119番通報します。
  ・呼吸をしていないのであれば、Bの人工呼吸を行います。

(B)Breathing呼吸のために人工呼吸
 赤ちゃんでは、口と鼻を両方から息を吹き込みます。幼児以降の子どもは鼻をつまんで、空気の漏れを防ぎつつ口から息を吹き込みます。ひと呼吸は1〜1.5秒で行い、胸が上がるように、まず2回行います。(胸の上がりがない場合、何らかの異物が気道を塞いでいることを考え処置をします。)
 その後、循環のサインをチェックします。『息、咳、動き』が有れば、循環があります。医療者は、ここで脈拍を見ますが、一般の人は、『息、咳、動き』をチェックし、10を数える位の短時間で判断します。
  ・循環のサインがあるのであれば、気道確保、人工呼吸を続行します。
  ・循環のサインがなければ、Cの心臓マッサージを行います。

(C)Circulation 循環のために心臓マッサージ
 心臓マッサージの位置圧迫の程度回数が大事です。位置は、胸の骨の下半分で、圧迫の程度は、大人の場合、約4〜5cmを両手で圧迫しますが、子どもの場合、胸郭の前後径の1/3〜1/2程度で大体約2.5〜4cmを片手で圧迫、赤ちゃんでは、約1.5〜2.5cmを指2本で圧迫します。回数は、子どもは毎分100回(赤ちゃんは毎分100回以上)です。心臓マッサージと人工呼吸を1サイクル5:1の割合でつづけ、20サイクル(約1分)ごとに再評価します。(注、大人の場合、心臓マッサージと人工呼吸の割合は、1サイクル 30:2 です。5サイクルごとに再評価します。)
 大人の場合、この次のステップでAED(自動体外式除細動器)装着の手順がありますが、子どもの場合、8歳以上(25kg以上)の適応となりますので、ここでは、割愛いたします。


 
小坂先生
小坂 和輝
(こさかかずき)
智弁学園和歌山高校・広島大学を卒業し、聖路加国際病院小児科、東京女子医大循環器小児科学教室を経て、現在中央区月島で小児科専門クリニック(病児・病後児保育室を併設)を開業。中央区医師会理事。抗生物質の適正使用、児童虐待、ドメスティック・バイオレンス、少年犯罪、メディア・リテラシーについてNPOと連携して取り組む。本人は社会企業家でありたいと望む。小一と3歳の2児の父。趣味は株・飲むこと・走ること。

小坂こども元気クリニックホームページ


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2006年10月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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