Q) 65歳、女性です。最近、10分位歩くと右脚全体がしびれて痛むようになりました。立ち止まって休むとしびれは軽くなりますが、また歩くと痛くなります。このまま歩けなくなるのではと不安です。


A. 腰部脊柱管狭窄症による下肢の症状の可能性が高いでしょう。
 脊柱管は、前は背骨・椎間板、後を関節・靭帯に囲まれたトンネルで、中には脊髄や脊髄の先の馬尾と言われる神経が通っています。加齢により背骨が変形やすべりをきたすと、前方からは背骨が尖ったり椎間板が膨らんで、後方からは関節や靭帯がぶ厚くなり、前後に挟み込まれるように脊柱管が狭くなります。その結果、足へ行く神経が圧迫され神経の血行が悪くなって痛みやしびれをきたします。長く歩いたり立ったりすると、大腿から下腿にかけてしびれや痛み(いわゆる坐骨神経痛)が出て歩きづらくなり、前かがみになったり、腰掛けたりすると軽減されるという「間欠跛行(かんけつはこう)」を呈するのが特徴です。腰痛は比較的軽いことが多く、若い人に発症する椎間板ヘルニアに比べて中高年層に発症します。進行すると下肢の筋力が低下したり、頻尿、失禁、便秘等の膀胱や直腸の障害が出る場合もあります。

診断
 身体所見と単純X線検査でおおよその診断は可能です。より詳しく病態を把握する場合にはMRI検査が有用です。動脈硬化が進んだ場合など血管性の病気の場合も似たような症状が出ることがあり、また実際に合併している例も少なくないので整形外科専門医による診断が望まれます。

治療 
 歩行時に杖を使用したり、シルバーカーを押して腰の前屈を保持するようにします。自転車の使用も痛みが起こりにくく、よい運動にもなります。背骨が後に反るのを制限するコルセット療法、運動療法や各種物理療法も軽症例では有効です。薬物療法は、神経の血流を増加させる薬、痛み止め、ビタミン剤、筋弛緩薬、漢方薬等を組み合わせます。痛みが強い場合は、神経の近くに注射で薬をしみこませる硬膜外ブロックなどの注射療法を試します。これらの治療が無効で、歩行が困難となり日常生活に支障がある場合、足が麻痺や膀胱や直腸の障害をきたした場合には、背骨の一部を削って、神経の徐圧をはかる手術の適応となることがあります。
 いずれにしても、正確な診断のもと、適切な治療を受けることが大切です。中高年の方の腰痛や下肢痛には、何か他の病気が隠されている可能性も少なくないので、早めに整形外科専門医に相談しましょう。


  
  

鈴木先生がお勤めの病院をご紹介します

病院名 リバーシティすずき整形外科
診療時間 午前9:00~12:30 / 午後14:30~18:00  土曜日9:00~13:00
定休日 木曜日午後 / 土曜日午後 / 日曜日・祝日
住所 〒104-0051 東京都中央区佃1-11-8 ピアウエストスクエア2F
電話番号 03-3534-5678
ホームページアドレス http://suzuki-seikei.tokyo/
  
 
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