Q) 55歳女性です。ひざが腫れて痛むので、整形外科を受診したら、変形性ひざ関節症という診断を受けました。ひざに水が溜まっていると言われましたが、何故、水が溜まるのですか?


A) 変形性ひざ関節症の病態に関しては5月号で既に述べました。ひざを構成する3つの骨、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿の骨)はいずれも、表面が軟骨というクッションに覆われています。大腿骨と脛骨の軟骨間には、さらに半月板という軟骨のクッションが挟まれた構造になっています。加齢によって軟骨が変性し、摩耗し始めると、歩き過ぎなど何らかの負担がかかった際に、ささくれだった軟骨が剥がれ落ちます。その破片が刺激となって関節の袋の内側の滑膜(かつまく)という組織が炎症を起こし、滑液(かつえき)が分泌され、関節内に溜まります。これが腫れや痛みなどの症状を引き起こします。


  

Q) 治療として、ヒアルロン酸の注射療法を勧められましたが、水を抜くと癖になると聞いたことがあるので怖くてまだ受けていません。本当に抜くと癖になるのでしょうか?ヒアルロン酸に副作用はありますか?


A) 水を抜くと癖になるというのはただの迷信に過ぎません。滑膜の炎症が続いている間は水が溜まり続けるというだけで、抜くから溜まるわけではありません。
ヒアルロン酸は関節軟骨基質の構成成分で、関節の潤滑性を保つ大切な物質です。変形性関節症のひざの中ではヒアルロン酸の産生が減ってしまっています。水がたまっている時は、水を抜き、その後ヒアルロン酸を注入します。水を抜くだけでも、症状はだいぶ軽くなるはずです。通常、ヒアルロン酸の関節内注射は週1回、5回連続で行い、軽快しなければ、その後は症状に応じて2~4週の間隔で継続します。ヒアルロン酸の注射療法は本来関節内で産生されるべき物質を補っているだけなので、まったく副作用がなく安全です。


  

Q) ヒアルロン酸は、痛み止めではないのに、何故、ひざの痛みに効くのでしょうか? ほかにどんな効果があるのですか?


A) ヒアルロン酸を関節内に注入すると、関節全体に広がり、軟骨と滑膜組織に浸透します。軟骨へ浸透すると、軟骨に栄養を与え、弾力性が増加し、滑膜に浸透すると、直接の抗炎症作用により痛みが抑制されます。また、関節滑液中の低下したヒアルロン酸濃度と粘性・弾性が増加し、関節液の性状が改善されます。その結果、痛みを引き起こす要因となる異常な機械的刺激が低減し、二次的に痛みが抑制されます。軟骨変性を抑制したり、内因性ヒアルロン酸の産生を促すとの報告もあります。

変形性ひざ関節症が軽症なうちほどヒアルロン酸注射療法の効果が高いと言われています。ひざに少しでも異常を感じたら、整形外科専門医に早めに相談し、的確な診断を受けましょう。


  
  

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病院名 リバーシティすずき整形外科
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