Q)34歳男性です。以前から腰にしこりがあったのですが、3日前から腫れて痛くなってきました。早く痛みを取る方法はありませんか?


A) 粉瘤(ふんりゅう)はアテローム(またはアテローマ)とも呼ばれますが、その多くは医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)といい、毛穴の入り口部分が皮膚の下でふくらんで袋状になり、その中に垢(角質)がたまってできたしこり(腫瘍)です。身体のどこにでもできますが、顔、首、耳の後ろ、背中、お尻などにできやすい傾向があります。角質は袋の中に徐々にたまっていくので、時間と共にゆっくりと大きくなり、ドーム状に盛り上がるようになりますが、しばしば中央に小さな穴(へそ)があり、強く押すと臭い内容物が出てくることがあります。粉瘤は良性腫瘍なので、すぐに治療しなくてはならないものではありませんが、放っておくと非常に大きくなったり、炎症を起こしたりするものもあるので、あまり大きくならないうちに治療した方がよいでしょう。
 治療は外科的に切除するしかなく、表面の皮膚はへそを中心にできるだけ小さく紡錘形に切開し、皮膚の下の腫瘍を摘出し、皮膚を縫合して1週間後に抜糸するのが一般的で、巨大なものでなければ局所麻酔の日帰り手術が可能です。また“へそ抜き法“という、直径4mm程度の円筒状のメスでへそをくり抜き、穴から内容物をもみだしてから、しぼんだ袋を取り出す方法もあり、穴がふさがるのに2~3週間かかりますが、傷はニキビ痕の様に小さく目立ちにくくなるのでオススメです。
 細菌に感染したり、角質が袋から真皮内に漏れて異物反応を引き起こすと、赤く腫れて痛みを伴う“炎症(化膿)性粉瘤”となります。化膿しているときは縫合が出来ないため、また傷が大きくなってしまうため、切除術はできません。軽い炎症なら抗生物質の投与で治まることもありますが、ひどく化膿した場合には表面を切開して膿を出したほうがよいことがあります。しかし切開するだけでは袋が残ってしまい、炎症が落ち着いてから再切除する必要があるため、ここでも“へそ抜き法“がオススメです。“へそ抜き法“は膿を出すだけではなく、穴から袋も掻き出すことが出来るため、炎症が速やかに治まり痛みも減る、炎症性粉瘤でも1回の施術で根治を目指せる治療なのです。


 粉瘤はありふれた疾患ですが、鑑別すべき疾患も多く、へそ抜き法の実施には正しい診断とテクニックが必要です。何かありましたら近くの皮膚科専門医にご相談ください。


  
  

谷戸先生がお勤めの病院をご紹介します

病院名 佃リバーシティ皮膚科
診療時間 午前9:00~12:30 / 午後15:00~18:30
休診日 水曜、土曜午後、日祝日
住所 〒104-0051 東京都中央区佃1-11-8 ピアウエストスクエア1F
電話番号 03-3536-5656
ホームページアドレス http://tsukuda-hifuka.com/
  
 
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