Q)28歳女性です。毎年、健診でBMIが25以上で肥満を指摘されます。どうしたら、やせられますか?


A)まずは肥満の原因を知ることが大切です。運動不足、不眠症、生活リズムの乱れ、過剰なストレス、腸内細菌叢の乱れなどが複合的に関係し肥満症となります。意外に思われるかもしれませんが、各自が腸内にもっている細菌の違いによって、太りやすさ・やせやすさが変わることが科学的に分かってきました。「腸活」という言葉を聞いたことはありますか? いろいろなメディアで取り上げられるようになりましたが、腸内の環境を改善し健康を回復する方法です。


Q)腸内細菌は調べることができるのですか? どうすれば、腸内細菌を改善することができるのですか?


A)腸内細菌検査は当院でも行っていますが、便から腸内細菌のDNAを抽出し各菌の割合を検出する検査法です(保険適応なし、自費診療)。

太りやすくさせる代表的なものにフィルミクテス(ファーミキューテス)という細菌群があります。逆に、やせやすくする細菌群はバクテロイデス(バクテロイデーテス)です。食物繊維をあまり摂らず高カロリーな食事に偏りがちな人はフィルミクテスが多くなります。食物繊維が多い食生活を送ることはバクテロイデスを増やすことに繋がり、肥満を改善しやすくなると言えます。

  

Q)薬はありますか?


A)肥満に対して西洋薬の薬はまだ開発途上です。マジンドールという薬もありますが、BMIが35を超える相当な肥満症で、3か月という限定された期間でしか使用できません。

一方、漢方には防風通聖散(ボウフウツウショウサン)という薬があります。日本肥満症治療学会の治療ガイドライン委員会が2013年に出した『肥満症の総合的治療ガイド』の中に、防風通聖散の記載があります。その有効性について白色脂肪組織の脂肪分解作用と褐色脂肪組織の活性化による減量効果、それに加えて交感神経を介したノルアドレナリンの効果増強による減量効果などの論文が紹介されています。

ただし、防風通聖散は約5%の方に下痢が、約1%の頻度で肝障害の副作用があります。漢方の処方は、知識を豊富に持つ東洋医学の専門医に相談をするほうが無難です。

代謝を促進するための麻黄(マオウ)という生薬や、腸内の菌環境を大きく変化させると期待されている大黄(ダイオウ)など漢方生薬には腸内細菌を含めて身体の代謝そのものを変える根源的な治療の可能性が秘められています。防風通聖散のほかにも、大柴胡湯(ダイサイコトウ)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)など伝統的に肥満症に用いられてきた漢方があります。

  
  
  

堀田先生がお勤めの病院をご紹介します

※平成31年3月29日に閉院しました。

病院名 医療法人社団福和会 八重洲地下街クリニック
診療科 内科 漢方内科 小児漢方 (鍼灸応需)
診療時間 9:30~14:00 / 16:00~20:00(受付は終了30分前まで)
休診日 土・日・祝日
住所 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号 地下2階
電話番号 03-6262-7867
ホームページアドレス https://yaechika-clinic.jp/
  
 
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