Q)25歳女性です。夏はクーラー、冬は気温低下のせいか体に冷えを感じ、何もしたくなくなることがあります。ドクターに「冷えに効く薬はない」と言われてしまいました。どうしたら良いでしょうか。


A)西洋医学の場合、冷え症そのものに対しては根本的な治療手段を持ちません。例外的に甲状腺機能低下症など便秘、徐脈など一連の症状のひとつとして冷えがある場合、治療薬が存在することもある程度です。

一方、東洋医学には冷え症への対処法が豊富にあります。紀元前の中国の医学書『黄帝内経』の中ですでに「寒熱」という言葉があり(寒熱とは「冷え性」と「暑がり」を表す言葉)、2000年以上に渡って冷え症は病気のカテゴリーとして存在しています。「冷えは万病のもと」であり、冷えを改善すると他の愁訴が同時に緩和することがあります


Q)なにが原因なのでしょうか?


A)筋肉はその量が多ければ多いほど熱を産生します。筋肉量が少ないことが冷え症の原因のひとつですが、男性よりも女性に冷え症が多いのもそのためです。

シソの葉やミカンの皮など、アロマの考え方に近い香りの高い生薬を用いるとすーっと気が楽になって冷えが治ることもあります。それは冷えがリラクゼーションとも密接な関係を持っているからです。緊張している人の顔色が悪いのは末梢血管が閉まっている状態であり、その原因のひとつに気滞(見えないエネルギーである「気」が全身くまなく巡らない状態)があります。リラクゼーション・マインドフルネス・瞑想・温泉・アロマといった対処法は世界の東西問わず冷えに用いられてきました。冷えと慢性の緊張などの自律神経異常とは深い関わりがあります。

また夏場のクーラーだけ苦手という人は俗に言う「かくれ冷え症」の可能性があります。運動不足や睡眠不足など、冷えを招く要因が複雑に絡み合っている状態です。最近は男性にも多く認められるようになってきました。運動不足、緊張を強いられる仕事、動脈硬化などが関与しているのでしょう。つまり手先、足先の血管を閉めるべきときに脳からの指令が十分に行われなかったり、そもそも末梢血管の柔軟性が損なわれていたり、熱を産み出す筋肉量が減っていると手足の先からの放熱が持続して強い冷えを感じることになります。


Q)冷え症が慢性化すると何か問題がありますか?


A)あくまで一般論ですが、風邪をひきやすくなる、癌の発症率が上がる、痛み・しびれの慢性化に関わることが知られています。

風邪で高熱が出た際、ブルブルと身震いをするような強い悪寒を感じた経験はありませんか?あれは筋肉を震わせることで身体が熱を産生しているのです。なぜ自ら熱を生み出す必要があるかというと、ウイルスを体内でこれ以上増殖させないためです。ウイルスにとっては体温が下がっている状態は増殖に好都合の環境。これ以上の重症化を防ぐためにも、筋肉を震わせて熱を産出しようと身体が試みているわけなのです。と言うことは、冷え症であるということはそもそも風邪を引きやすい土壌を作っているということです。

体温が0.5度~1度下がるごとに癌の発症率が上がるという研究データがあります。脳腫瘍や肝臓腫瘍などの治療に温熱療法という熱を加える治療法があるように、冷えそのものが癌の発症や転移にも深く関与している可能性が考えられています。

また、冷えは腰痛や関節痛など痛みやしびれを悪化させます。外傷を負った際、身体は傷の修復のため血管を閉める物質を放出します。血管を閉めると冷えが伴います。冷えが起きることでその部分の循環が悪くなり凝り固まった状態になります。固くなることで血流もさらに滞るというこの悪循環を繰り返すことにより、慢性的な痛みやしびれが継続します。

  

Q)どんな治療法があるの?


A)上半身はのぼせて下半身は冷えている「冷えのぼせ」という症状には桂皮(シナモン)を用い、手足の末端が冷えるという症状には呉茱萸(ゴシュユ)という生薬を用いるなど、東洋医学においては長い歴史の中で培われた漢方、鍼や灸などの対処法があります。
爪や髪の毛・皮膚・腸の粘膜といった新陳代謝が盛んな組織に必要なものが「血」と東洋医学はとらえますが、それが滞ると「オ血(オケツ)」と呼ばれます。それが原因で冷えを生じることがあります。末梢血管拡張作用をもつ生薬、桂皮(シナモン)、当帰(トウキ)などの生薬を用いて血の巡り・冷えを改善します。また、身体の中に余分な水分が溜まってむくむことで身体が冷えることがあります。東洋医学では水毒といいます。余分な水分を尿や汗として排出する茯苓(ブクリョウ)などの生薬を用います。

針を刺すことで自律神経系に作用し「気」の巡りをスピーディーに改善するという点では、針灸は大きな効果が期待できます。当然ながら、お灸は身体を温めることに適します。慢性的な冷えがある方は2~3か月、継続した治療をお勧めします。

  
  
  

堀田先生がお勤めの病院をご紹介します

※平成31年3月29日に閉院しました。

病院名 医療法人社団福和会 八重洲地下街クリニック
診療科 内科 漢方内科 小児漢方 (鍼灸応需)
診療時間 9:30~14:00 / 16:00~20:00(受付は終了30分前まで)
休診日 土・日・祝日
住所 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号 地下2階
電話番号 03-6262-7867
ホームページアドレス https://yaechika-clinic.jp/
  
 
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