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健康情報8月号 胃腸と乳酸菌−

 今年の夏は例年と比べ激しい暑さでしたね。すっかり夏バテで胃腸の調子を悪くした人も多いのでは。
 そこで今回は胃腸と乳酸菌の関係についてお話します。
 近年、乳酸菌がガンの予防や抑制、さまざまな感染症を防ぐ抵抗力を高めると大きな注目を集めています。
 実は、日本人に大腸ガンが急増しているのです。大腸ガンの新規患者数の推移を見てみるとここ25年で約8倍にも増えています。今年は6万人になると予測されています。近い将来、ガンの中で大腸ガンが一番多くなるとも言われています。そもそも、その急増の原因は食習慣の変化にあると言われています。食生活の急激な欧米化、特に動物性脂肪、たんぱく質のとり過ぎ、食物繊維の摂取量減少が原因であると考えられています。消化のために分泌される胆汁酸や肉食によって増える悪玉菌により、腸内で発ガン物質が多くつくられるためです。食物繊維を食べる量の減少も、便の排泄の悪化を招き、大腸ガンの発症に拍車をかけているのです。
 いっぽう、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎の原因といわれるピロリ菌。このピロリ菌は胃にだけ特異的に定着する菌で、日本人の50から80%の人が感染しているといわれています。胃に住みつくピロリ菌がだす毒素やアンモニアで、胃の粘膜が傷つけられ潰瘍や胃炎ができるといわれています。
 乳酸菌には腸の免疫力を強くして大腸ガンを抑制する効果があり、また、ピロリ菌に対する除菌効果があるといわれ注目されています。
林 剛一(はやし ごういち)
 銀座胃腸クリニック院長。順天堂大学医学部卒業。ニューヨーク留学中に内視鏡の世界第一人者である新谷弘実先生から新谷式大腸内視鏡挿入法を伝授される。以来年間、約2千件以上の大腸内視鏡をこなし、早期の胃癌および大腸癌の治療を数多く執刀。
でも、休日はねこといっしょにお昼寝するのが趣味という動物好き。


胃腸の調子を悪くした人へ
   −胃腸と乳酸菌の関係−
Q.乳酸菌にはどんな種類があるのですか?
   生まれたての赤ちゃんの腸内は無菌状態だそうですが、生後数日で安定した腸内細菌叢となり、一定のバランスを保ちます。成人になってもそのバランスは変わらないとされていますが、抗生物質を飲んだときや食中毒を起こしたとき、この腸内細菌叢は極端にバランスをくずし下痢や便秘を引き起こします。腸内細菌の働きは非常に多様、かつ複雑なため、現在はまだその一部しか分かっていません。
 その腸内細菌のなかで、とりわけ健康にとって重要な働きをしているのが乳酸菌なのです。乳酸菌とは、一般的に乳やその他に働きかけ糖類を発酵させ乳酸を作る菌の総称です。腸内にいる乳酸菌には大きく2種類に分けられます。
 一つは丸い形をした球菌(エンテロコッカスとストレプトコッカス)、もう一つは棒の形をした桿菌(ビフィドバクテリウムとラクトバチルス)の2種類があります。
Q.乳酸菌にはどんな働きがあるのですか?
   近年、乳酸菌がガンの予防や抑制、さまざまな感染症を防ぐ抵抗力を高めると大きな注目を集めています。ビフィズス菌はヨーグルトのなかに生息する乳酸菌で、健康効果を高めるものと注目を集めてきました。いっぽう、ここ7〜8年の間、エンテロコッカス菌の健康効果について、多くの研究施設で注目されています。エンテロコッカス菌には、フェカリス菌、フェシウム菌、エピウム菌などに分類され、これらには免疫力を高める強い効果のあることがわかっています。
 乳酸菌には次の働きがあります。1. 腸内細菌叢のバランスを維持、正常化する。病原菌が侵入したら、腸内感染や食中毒から身体を守る。2.腸内で食物の消化、吸収、代謝を助け、コントロールして健康な身体を保つ。3.腸内のアルカリ、酸性度を一定に保つ。4.腸内でビタミンやホルモンの合成を助ける。5.免疫系統を活性化する。インターフェロンを作る働きを高めたり、がんやポリープなどの細胞が増えないように働きかける。
Q.便秘には効果がありますか?
   乳酸菌が作り出す乳酸や酢酸は腸に刺激を与えて動きを活発にし、便秘の解消になります。腸がスムーズに動くことにより、悪玉菌が作り出す有害物質を早く体外へ出すことができ、腸から吸収されて血液を介して体中にまわる有害物質を少なくすることができます。これにより、便秘だけではなく、有害物質が原因である肌荒れ、ニキビ、吹き出物を解消すると言われています。
Q.腸の中の善玉菌と悪玉菌ってなんですか?
   腸の中には100種類100兆個ともいわれる腸内細菌が存在します。身体に良い働きをするのが善玉菌で、その中には乳酸菌、腸球菌、ユウバクテリウムなどがあります。逆に、悪玉菌には大腸菌、ウェルシ菌、ブドウ球菌、クロストリジウムなどがあり、これらは食物中のたんぱく質を分解して、インドール、フェノール、アンモニアなどの有害物質を産生します。善玉菌である乳酸菌は、腸内を酸性にし、体外からの菌の侵入を防御してくれたり、免疫力を高めてくれたり、悪玉菌の働きを抑えているのです。
Q.ピロリ菌がいたらどうすればいいのですか?
   ラクトバチルス属の乳酸菌にはピロリ菌を減少させる効果があると言われています。すでに潰瘍と診断されている方は潰瘍の治療を医療機関で治療を受けることをおすすめします。まだ潰瘍になっていない方は、ピロリ菌を減少させることにより潰瘍などの病気の発症を抑える目的で、予防的に乳酸菌を摂取するのが効果的でしょう。
Q.摂取した乳酸菌はどのくらい腸の中で生きているのですか?
   実はヨーグルトなどに含まれている乳酸菌の多くは、食べた後胃の中でほとんど死んでしまうのです。しかし、乳酸菌の分泌物や乳糖が腸内の乳酸菌を増やすように促して、善玉菌が増えることにより腸内環境を改善することができるのです。エンテロコッカス菌の中には生菌よりも死菌のほうが効果が高いとされているものもあります。ですから、生きた乳酸菌でなければ効果がないというわけではありません。乳酸菌飲料、ヨーグルト、乳酸菌製剤、乳酸菌エキスなど毎日の健康維持のために摂取するのは決して無駄ではないようですね。


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2002年8月掲載記事  
※内容は、掲載当時のものとなります  
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