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2012年01月20日

Vol.1 波除稲荷神社で初詣

 築地市場の朝は早い。前日の夜の午後11時から出勤する方もいれば、午前1時の人もいる。会社の形態によって時間はマチマチだが、大半の人は午前4時からの競り場の時間に合わせて出勤するため、4時前後に通勤時間が集中している。
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 市場の門は、国立がん研究センター向かいの正門、勝鬨門、青果門、海幸橋門、市場橋門と五つある。
門の横にはそれぞれ守衛の控え場所があり、取り立てて違いはないのだが、とりわけ海幸橋門は波除稲荷神社の前を通り抜けて市場内に向かうため、日本人の原風景に出会える。
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 早朝から仕事着姿の人たちが波除稲荷神社前の鳥居の前で、深々と頭を垂れてお祈りをしている姿。それは次から次に続き、何の気なしに見ても不思議な様子だと思う。外国から来た観光客は神社をバックに記念写真を撮っているが、市場関係者は仕事を始める前と帰りに祈りを捧げる。河岸の人たちは本当に信心深いのである。
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お正月明けの仕事始めは通年1月5日からなので、5日の日にはスーツ姿の人たちが門前に集合している。初詣を兼ねて会社ごとに、仕事始めのお祓いを宮司にしてもらうのである。極めつけは生マグロを並べて、社員一同が宮司さんにお祈りをして頂いている場面。江戸時代に、荒れていた海を沈めてくれた波除稲荷神社のご神体に心をよせて祈りを捧げている場面の厳かさは、市場ならでの初詣風景である。但し時間は午前6時。寒い中での1年の祈り始めだ。