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2013年03月19日

Vol.13 隅田川ぶらりぶらり

 白木蓮が咲き、靖国神社の桜の開花宣言もあり、ようやく春のきざしが見えはじめました。身の回りがひと段落したので、散歩に出掛け、勝どき橋から隅田川の方を眺めたら、巨大な建造物が出来つつありました。「環状第2号線隅田川橋梁(仮称)工事」という呼び名の開発工事だそうです。築地市場の方から勝どき5丁目に向かう様に形をとり、両方の岸壁から工事は進められています。臨港消防署が4年前に取り壊され、朝のラジオ体操とマラソンの訓練風景が見えなくなりました。川べりにあった家やマンションが解体され、橋が架けられる準備が進められているのは知っていたのですが、こんなに幅の広い橋だとは夢にも思いませんでした。間近で見るとさながら大きな建造物です。

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 隅田川には18の橋が架けられ、この橋が完成すると19番目になります。東京に上京してきてから50年以上になりましたが、新しい橋の工事に遭遇できたのは初めてです。10年程前に、完成した橋の設計図を見る機会があったので驚きませんでしたが、実際に見ると本当に大きいです。

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 映画館全盛時の昭和30年代には、鹿児島の田舎にも「ニュース専門の映画館」があり、その映画のオープニングは、跳開橋である勝どき橋が上げられたシーンで始まるものでした。かつて20代に勝どき橋を渡った時は、海の香りと小さい頃の思い出で胸がいっぱいになりました。その勝どき橋より東京湾に近いこの橋は、晴海に造られるであろう選手村まで一直線ですから、2020年のオリンピックが実現した暁には、大活躍するのだと思います。今から、出来上がった橋を渡れる日を楽しみに待っています。

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2012年12月21日

Vol.12 白玉の歯に染み透る「どぶろく祭」

 11月28日に、日本橋小網町にある小網神社に参拝してきました。ビル街の中にひっそりと佇んでいる感があります。昨年はじめてお参りしたきっかけは、中央区観光祭りで催された「宝探しゲーム」に参加したことが御縁でした。日々、お宝に巡り逢いたいと思いながら日常を過ごしているので、何かに駆り立てられるように出かけましたが、このあたりにあまり土地勘がないので探すのに苦労しました。
 そして、ビルの谷間に御姿を垣間見たときは、なぜか心が和みました。社殿の屋根の色合いなど何十年もの年月を経た建築物の醸し出す、得も言われぬ存在感に圧倒されました。伺うところによると、第二次世界大戦でも戦火をまぬがれたとのこと。

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 「どぶろく祭り」は別名「新嘗祭」。新米の収穫をお祝いするために催されます。様々な神社で行っていますが、今年は是非、小網神社で拝みたいと思い出かけました。300人近い人で溢れていたので、吃驚としてしまいました。片手にカメラを持ったり、どぶろくをいただくために並んでいる人々。昼過ぎに始まる「里神楽舞」を見ようと待ち構えている人たちなどで大賑わい。強運厄除けの「みみずく」はすでに完売。

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 私も小雨の中で1時間以上待ち、寒かった。境内が狭いため中に入れず、里神楽舞は遠くから、かすかに見られたような状態でした。が、どぶろくはしっかりいただきました。かわいいまゆ玉のおみくじを小枝にぶら下げる、若い女性の可愛げな風情も堪能しました。 
 境内は6人ぐらいで満杯になるような広さなのに、これだけ入るのかというぐらい人で溢れ、中には外国人の方たちも大勢いらっしゃいました。近くの会社にお勤めの方が「こんなに大勢の人ははじめてだ」と話していらしたので、今回は特別だったのだと思います。今、パワースポットとして注目されている神社だからでしょうか?

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2012年11月20日

Vol.11 築地でかっこめ「酉の市」

 平成24年の「酉の市」は、11月8日(木曜日)と20日(火曜日)にあたる。
 月島に越してきてから浅草の鷲神社の「酉の市」に出かけたことがあるが、行くたびに人混みでもみくちゃにされた。商売繁盛と開運を求める老若男女で溢れかえり、神社からどうやって帰ったのか今でも記憶にない。

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 築地市場にある、波除神社の「酉の市」に行くようになってからは静かさを感じる。築地場内の関係者や近隣の人たちが縁起物の熊手を買い求め、購入時の手締めが神社内に響き渡る。新しいデザインの熊手が毎年お目見えし、見るたびに新しい年に向かう高揚感が溢れてくる。今年は金の小判のついた「かっこめ」で、「ちりめん細工の実りのコンコン守」も新嘗祭限定版でいただいた。社務所で「かっこめ」をもらうと開運くじが引け、当たりが出ると金箔付きの鯛金がいただけるという嬉しいおまけも付いてくる。

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 3月11日以降 景気の低迷感は何処もおなじ。
 古事記に登場する日本武尊(やまとたけるのみこと)が東夷征伐の際に戦勝を祈願し、志を遂げての帰り道に使用した武具の一つと言われている熊手は、福を呼び込むための御分霊の役割をもつ。熊手のなかに小判が並び、大黒様の顔が見えるものもある。おかめの顔や米俵、鯛とおめでたいものが目白押し。年々、大きな熊手に変えていくのが商売繁盛につながるというのだが、財布が膨れていないとなかなか増大していかない。頑張って購入したいのはやまやまなのだが、ここのところ大きさに変化が見られないのは我が家だけだろうか。侘しい話である。

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2012年10月19日

Vol.10 盛大だった「魚(とと)の日まつり」

 10月7日の日曜日に降りしきる雨にもめげず、東京魚市場卸協同組合の方々が主催して開催された「魚の日まつり」を覗いてきました。2006年に制定されてから丸6年になるという「魚の日」には、大勢の方が参加されていました。とりわけ子供たちに人気だったのはお魚プールで、鯛やヒラメや鰻、蟹が泳いでいました。高級魚のオンパレードに、誰もいないのならそのまま持ち帰りたい衝動にかられます。

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マグロの解体ショーあり、イカやたこ、アワビが競りにかけられるかと思えば、ふぐのセットが半値以下で売買され胸が痛み、こんなに安売りして大丈夫ですかとおもわず言いそうになりました。キリンからビールの協賛もあり、お父さんたちは飲みながらたべながら嬉しそうでした。

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 普段はターレーが走り回る場内にテーブルと椅子が並べられ、ここのところ勢いがない場内には人があふれ、お正月前の築地をほうふつとさせました。消防車のはしご車が思いっきり梯子を伸ばし、特別に設置されたふぐの形をした大き風船状の遊び場では、こどもたちが大はしゃぎで順番待ち状態。また、生産地の人たちがブースを構え、各県の特産品を宣伝し、日本橋中学校の吹奏楽部の演奏が行われるなど盛沢山の内容でした。以前に比べると、人も増え内容も豊富で楽しいひと時を過ごせました。築地場内の飲食店、とりわけお寿司屋さんは、行列の長さではどこにも負けません。

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 9時から13時という短い時間では物足りないのでは心配しましたが、なかなかの盛況ぶりでした。ぜひ来年は、大勢の方々のお力添えでもっともっと盛大になることを期待したい。

2012年09月20日

Vol.9 “あいおい古本まつり”を知っていますか

 今年で第4回を迎える「あいおい古本まつり」が8月25、26日に開催された。中央区佃の「相生橋」のたもとの高齢者福祉施設「相生の里」で、昨年から始められた古本市である。中央区社会福祉協議会が毎月発行している「月刊キャッチボール」というボランテイア・区民活動センターだよりに掲載され、私は昨年の第一回目から参加している。

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 昨年の3月26、27日におこなわれた第一回目は、当初は施設と地域の人たちとの交流の場として企画していたのだが、3月11日の震災があり「東北地方太平洋沖地震チャリティーイベント」として催されることになった。直木賞作家、出久根達郎氏の講演「本の数だけ学校がある」や新米古本屋トーク「古本屋、はじめちゃいました」もあった。本であふれかえっている我が家では、古本屋さんに興味をひかれ参加させていただいた。神田に行かなくても専門書が並び、子供たちが参加する「子ども一箱古本市」など家族参加型で楽しいひと時を過ごすことができた。本好きの一人として、中央区に文化の香りが満ちてきたうれしさで一杯になったので、次の企画を心待ちにしていた。

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 今年は「わがままに食う!」というタイトルのイベントに参加し、久住昌之氏と遠藤哲夫氏の繰り広げるトークの心地よさにのせられた。久住氏は食をめぐる観察眼が鋭く、また他方面にわたる才能豊かな方で「孤独のグルメ」のテーマソングまで披露された。学生時代から活躍し「タモリ倶楽部」にも出演され、トーク後のサイン会には多くの方が並び、もちろん私も喜んでCDにサインしていただいた。久しぶりに知的好奇心をくすぐられたひと時だった。

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 相生の里はフリーマーケットなど様々なイベントも積極的に行っているので、また次回を楽しみにした。

2012年08月20日

Vol.8 祭りだ!ワッショイ

 8月4日から6日までは佃島の「住吉神社大祭」。4年に1度、執り行われる祭りは2011年3月11日の東日本大震災の影響から自粛することになり、1年遅れのお祭りになった。

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 江戸時代に徳川家康によって大阪から江戸に迎え入れられたのが、そもそもの佃島の人々だ。住吉神社は、摂津の住吉大社の分社であるだけに、お祭りも時代の趣が漂う、神事の進め方は江戸の雰囲気を伝えていて、厳かな部分がおおいにある。私が初めて見たのはいまから40年前の学生時代。羽織・袴・菅笠・馬・白装束の宮司と宮元たちの粋な揃いの浴衣姿。各町内の揃い踏みもあり、それぞれに浴衣の柄も違う申し分のない設定で、感激のあまり一日中興奮していた。時が流れてもわくわくしながら、お祭りが近付くのを心待ちにしている自分がいる。

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 5日の日曜日に行われた船渡御では、新しくなった八角神輿がお目見えした。晴海の沖合で海上祭を行うために、八角神輿を乗せた船が移動するのだが、朝日のなかで光を浴びていた。見物客も多く、カメラを持った人たちが早朝の6時前にも関わらず大勢集まっていた。
 ただ、例年に比べて人の出が少なく、ややおとなしいように見受けられた。いまひとつ 盛り上がらないようにも感じられたのは、私だけだろうか。ロンドンオリンピックの賑やかさに引き込まれ、なおかつ猛暑の中で出歩くのも憚れるのか、初めてざわめきが少ないように思えた。

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 日本中がもっと輝かないと神様も浮かない気分ではないかと勝手に想像している。

2012年07月20日

Vol.7 月島 草市

 月島の草市は、平成24年は7月14と15日。土、日曜日の2日間かけて行われる、お盆の行事である。月島西仲通り商店街が中心になって行われる年中行事はいくつかあるがこれもそのひとつ。平成23年は、東日本大震災により中止になった。例年だと梅雨寒で、肌にひんやり感じられる時期だが今年は暑い。夜中に雨が集中して降り、明け方からお天気になるという珍しい空模様。

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 私が月島にきて初めてこの行事を見たときは、昭和の色が濃い風景だと思った。各家の軒先で迎え火が焚かれるのだが、その前日からは町内の定められた場所に、月島観音の分院という形で迎え火をもらう所が設営される。新盆の人は、真っ白な提灯を下げているのですぐにわかる。行司は町会の方たちで運営され 後片付けも同様である。私も何回かお手伝いをしたが、お盆の行事を裏方から見るとゴミが多いということに尽きる。
 故郷の鹿児島のお盆はご先祖様の霊を、お墓にお迎えにいく。ここの都会のお盆は水辺の近くに設営されたお迎え所にお迎えにいき、そこからまたお送りするという目新しい光景だった。

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 当初の草市は、鉢植えの販売所が多かった。緑が少なく、路地裏で花を栽培するのを楽しみにしている月島の人たちは、結構な数を購入していた。最近は町内の商店街が運営し、子供たちが喜ぶような屋台が並ぶ。大勢の人たちが参加するが、お盆というより夏の夜のそぞろ歩きを楽しむ風景に変貌しつつある。

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 また、7月13~15日まで佃では東京都無形文化財「佃の盆踊」が行われた。

2012年06月20日

Vol.6 雨に煙る獅子頭

 6月9日から東京は梅雨入り。夜半から雨が止まない。シトシトと降るかと思えば、結構雨脚が強い。築地の波除稲荷神社は6月7日から夏祭り。去年は東日本大震災の影響で中止になったため、二年越しの本祭り。昨日は夏の日差しで暑かったのに、今日は生憎の雨模様。けれど、睦の人たちは朝から生き生きと大忙し。法被(はっぴ)を着た人たちの嬉しい笑顔に囲まれて、祭りは始まった。

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 築地市場に通勤をはじめてから9年も経とうとしているのに、波除神社のお祭りをじっくり見たことがなかった。神社から山車が出て市場内の水神社を出立して市場内を巡行し、新大橋通り、晴海通りと続く。着物姿の氏子やお祭りのお囃子が流れると、時間が江戸時代に遡りタイムスリップした気分になる。顔見知りの人たちが袴姿で正装しているのを見るのも新鮮な感じ。

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 祭り大好き人間にとって、これからの時期は浮き立つ気分が続く。私が地方から上京して初めて祭りを見たのが、月島の住吉神社の例大祭。印象が強烈だった。見知らぬ人が気さくに声掛けをしてくれて、飲み物まで勧めてくれた。単純な動機だが、それまでに抱いていた東京のイメージがこれを境に変わった。以来、高揚を皆で共有できる祭りが大好きになった。

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 祭りの最後の日は、真夏を思わせる上天気。祭りで日焼けした顔が、明日の築地の朝とともに日常の顔に舞い戻る。

2012年05月20日

Vol.5 築地の夜明け前

 日本経済新聞の土曜版に入っている「NIKKEYプラスワン」を読んでいたら「外国人に人気の観光スポット」として築地市場が第一位に輝いていた。「東京ディズニーランド」、「浅草寺」を抜いていた。 築地市場内で働く人間としては、ほんの少し嬉しい気分を味わった。

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  市場への一般客の入場を年末年始から禁止していたが、2月6日には入場者数を1日最大120名限定(マグロ卸売り場)にして再開した。写真は午前3時半過ぎの様子である。入場の受付は午前5時から始まるのだが、先着順なので並んで待っている。受付場所が勝どき橋に近い「おさかな普及センター」なので、勝どき橋よりに30名以上の人たちが並んでいる。

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 その人達が興味を示してカメラを向けている方向には、魚を保冷するために氷を砕き販売している、通称「氷屋さん」と呼ばれる「築地市場氷販(株)」。

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 尋ねられるのは「TUNA  AUCTION?」「 SUSHIDAI?」「DAIWASUSHI」といったお寿司屋さんの名前ばかり。最近では野菜の卸売場も聞かれる。また、近頃はロシア系の観光客か中国系の人が多い。
最もアジア的で混とんとしていて夜中から賑やかなこの光景は、外国の人からどのような風景にみえるのか。聞いてみたいのだが私の英会話力では恐ろしくて聞けない。せいぜい道を教えるしかないのが残念である。

2012年04月20日

Vol.4 春のうららの隅田川

 例年になく桜の開花が遅く、新入生の入学式に間に合うように咲き乱れている。思い起せば我が家の娘の12年前に行なわれた小学校の入学式には、桜はすでに散っていた。今年の冬は寒い日が多かったために、ちょうどいい時季に見頃になった感がある。隅田川沿いの桜並木は、どの場面を切り取っても美しい。この1週間は、毎日が幸福感で満たされていた。艶やかで散り際がいさぎよく、これ以上見事な花はないのではないかと思っている。
 5月22日にオープンする東京スカイツリーの様子が、勝どき橋から微かに見える。
縦に長いビルに遮られていて、頭のほうの細長い部分しか見えない。昭和33年から頑張っている芝公園の東京タワーは、橋梁からは下の方までくっきりと見える。
勝どき橋に並ぶ佃大橋や中央大橋から、東京スカイツリーの全景が見える。佃大橋から望むほうが、蛇行する隅田川の曲線と相俟って眺めが素晴らしい。

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<佃大橋からみた東京スカイツリー>

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<中央大橋からみた東京スカイツリー>

 4月7日の土曜日、8日の日曜日はお天気に恵まれ、佃公園から隅田川沿いの河川敷は花見客で混雑していた。外国の方たちも多数参加していて、お開きには来年の花見の約束をしていた。

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<佃公園の桜>

隅田川ではカヌー、カヤックの練習風景もみられ、東京海洋大学のボート部もときどき練習している。川面に浮かぶ屋形舟から桜を愛でている人たちもいて「春のうらら隅田川」とは程遠く、たいそう賑やかな光景で包まれていた。

2012年03月19日

Vol.3 梅にウグイス

今日は久しぶりの快晴。此の処は傘の出番が多く、うつうつとした日を過ごしていた。
2011年3月11日の東日本大震災の出来事が繰り返しテレビで放送され、気持ちも沈みがち。
気を持ち直そうと、久しぶりに浜離宮恩賜公園(中央区浜離宮庭園1-1)にでかけた。
梅の開花が5年ぶりに例年より2週間も遅れているということを聞き、楽しみに出かけた。
そこでは、最先端のユビキタスID技術を活用した、庭園ガイドの携帯端末(ユビキタス・コミュニケータ)の貸し出しが無料で行われていた。

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27ヶ所の情報が組み込まれ、その場所の近くになると機械が認識し解説する。次代の教科書のように細かく注釈が聴け、時代が着実に進んでいるのを感じる。今までは広い敷地の中を自分の勘だけを頼りに散策していたので、感激することしばし。外国の方たちが芝生で寝ころび観光ガイドを読み、中央区のボランテイアガイドが大勢の人に説明をし、観光ツアー客もいて賑やかさが戻ってきているようだ。大震災以来、2か月近く観光客は激減していたし、銀座の通りを歩く観光客の姿もまばらだった。

梅に鶯が寄ってきて心が和まされた。

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2分咲きの梅の花はまだ硬いまま。それでもカメラを携えた人たちは多く、和装の花嫁の撮影会も開催されていた。今日は国立劇場で追悼式が行われる。我々も東北の人たちが、一日も早く花を愛でる日々が呼び戻せるように祈りたい。

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2012年02月20日

Vol.2 月島開運観世音から春は来る

 2月4日の立春。春一番が吹くかもしれないと期待していたのだが、まだまだ寒い日が続く。
前日の2月3日に、恒例の月島観世音節分会が行われた。季節の変わり目にでてくる邪気を追い払うための豆を、年男たちが一斉に撒く。

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 他の神社の豆まきに参加した経験がないので賑やかさは比較できないのだが、この節分会の豆まきは、楽しげな子供たちの笑い声にあふれ、西仲通り商店街が歓声で包み込まれる。
 参加に持参するアイテムは紙袋。ここに勝利品を納め、みんなで見せあいながらじっくり品定めをする。豆と一緒に入っているものがユニーク。紙に書かれた卵、タオル、ティッシュなどで、極めつけはお金。月島開運観音講の世話人たちと月島西仲共栄会商店街振興組合の協賛なので商品も盛りだくさん。

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 はじまる午後3時過ぎに、どこからこれほどの人数が集まるのかと不思議に思うほど、子供たちのグループや家族ぐるみの人で溢れかえる。場所は3か所で豆まきは、3時20分、40分、4時、4時20分、40分の5回。私も引っ越してから3回ほど参加したが、始まる時のわくわく感は楽しい。やはりお金が入っているので、皆の期待は膨らむようである。

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 私も年の数だけ豆をいただいき、膨れたお腹で観音様にお参りし、今年一年の平穏をお願いした。

2012年01月20日

Vol.1 波除稲荷神社で初詣

 築地市場の朝は早い。前日の夜の午後11時から出勤する方もいれば、午前1時の人もいる。会社の形態によって時間はマチマチだが、大半の人は午前4時からの競り場の時間に合わせて出勤するため、4時前後に通勤時間が集中している。
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 市場の門は、国立がん研究センター向かいの正門、勝鬨門、青果門、海幸橋門、市場橋門と五つある。
門の横にはそれぞれ守衛の控え場所があり、取り立てて違いはないのだが、とりわけ海幸橋門は波除稲荷神社の前を通り抜けて市場内に向かうため、日本人の原風景に出会える。
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 早朝から仕事着姿の人たちが波除稲荷神社前の鳥居の前で、深々と頭を垂れてお祈りをしている姿。それは次から次に続き、何の気なしに見ても不思議な様子だと思う。外国から来た観光客は神社をバックに記念写真を撮っているが、市場関係者は仕事を始める前と帰りに祈りを捧げる。河岸の人たちは本当に信心深いのである。
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お正月明けの仕事始めは通年1月5日からなので、5日の日にはスーツ姿の人たちが門前に集合している。初詣を兼ねて会社ごとに、仕事始めのお祓いを宮司にしてもらうのである。極めつけは生マグロを並べて、社員一同が宮司さんにお祈りをして頂いている場面。江戸時代に、荒れていた海を沈めてくれた波除稲荷神社のご神体に心をよせて祈りを捧げている場面の厳かさは、市場ならでの初詣風景である。但し時間は午前6時。寒い中での1年の祈り始めだ。