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■ 4月26日発行  このページの先頭へ
常盤小学校隣にホテル計画 地元は「ホテル問題対策協議会」設立

 日本橋本石町の常盤小学校に隣接するビルの跡地にビジネスホテルが計画され、地元ではこれに反発し、地域こぞって「ホテル建設問題対策協議会」を設置、会長に地元連合町会長の湧井恭行氏が就任し、校友会、PTA、町会など役員が名をつらねた。建設予定地は、協栄生命保険の本社社屋のあった所。金融再編でジブラルタ生命保険株式会社の所有地となり、同社は教職員団体や商工会と連携している。また数学オリンピック財団を支援している。この地をホテルにして京王電鉄の「京王プレッソイン」がビジネスホテルとして運営するという計画。場所が常盤小学校の角地にあたり、地元の関係者は「ホテル」そのものに反発を強め、とくに転用への危険を心配している。130年の歴史を誇り、明治の代から地元が資材を投げうって育んできた「心の拠点」だけに地元の思いはふかい。区が制定した「教育環境条例」に頼みの綱を求めるものの、これには罰則規定もなく、今後の対応が注目されている。

教育環境条例に期待感

PTAと話し合い

 今回のホテル計画は3月末に解体工事が行われている建設予定地に「お知らせ」が貼り出されて明るみに出た。
 その前に昨年11月、業者はホテル建設の許可申請について保健所へ打診している。そのとき保健所は「学校のことなので」教育委員会に相談するようにと言われ、その後は教育委員会との話し合いに入った。その上でPTAとの対話も行われる。
 その後、3月末には地元の町会長に計画の説明がもちこまれるが、「役員に相談しなければならない。本石町だけの問題ではないし、他の町会長にも連絡しなくては」と、明言されたという。
 業者の計画がまとまったのは2月。「内容がきちんとまとまってからの思いがあった」という。
 しかし地元には、看板を見て知ったという声が大きく、同時に区が当初「なぜ問題があると言ってくれなかったのか」の思いも強い。

従前ビルと同じ高さ
 ホテルを建てる場所は、幼稚園舎の隣で、裏側にプールと小学校校舎が続く。外堀通りと江戸通りが交差する角地にあたる。
 敷地は929.33平方メートルで従前ビルと同じ高さで12階建てになる。ホテルの客室はシングル397室、福祉室1室の内容。駐車場は1階に243、2階に330、計573平方メートルを確保。客室は2階から12階まで。
 工事の着工を7月16日に予定、来年8月中には竣工という見通し。工事の進め方について児童園児に配慮した図面もできている。
  指定団体は社会福祉法人東京都知的障害者育成会。

区長、教育長に要望
 地元の常盤学校校友会、同みどり会(PTA)と町会の関係者は、こぞって反対を確認したうえで、「ホテル建設問題対策協議会」を設置するとともに、業者には「用途変更のお願い」と「ホテル計画中止のお願い」を提出した。
 同時に矢田区長と教育委員会の平野教育長には4月12日に要望書を渡した=別項。
 この要望書では、常盤小学校が130年の長きにわたり地域の人たちの心の拠り所になっており、「不特定多数を対象とする宿泊施設の営業は好ましくない」と主張。また旅館業法で「100メートル以内に学校環境を害するときは許可を与えない」条文も紹介。そのうえで平成11年に制定された「中央区の教育環境に関する基本条例」をふまえて、特段の慎重な対応を区と教育委員会に求めている。
 一方、区議会に対して地元からの具体的な対応は行われていない。

「環境の悪化なし」
 ジブラルタ生命保険会社と京王プレッソインは20日、常盤小学校で対策協議会の湧井恭行会長に「お願い」に対する回答を文書で渡した。
 回答は「今一度、会社並に関係会社一同、慎重に協議を致しました結果、残念ながら『計画用途の変更は困難』との判断に致りました」というもの。さらに次のようにも説明している「宿泊特化型ホテル計画は、客層も商用によるビジネスマンが主でありホテル内での滞在時間も夕方から朝にかけて中心となることが想定され、学校・幼稚園の開校時間帯とは重なり難い前提がございます。また、風紀を乱すような宴会場施設等の予定もございません」
 回答文書では、計画地が協栄生命保険の本社屋であったことから「教育環境を悪化せしめる事態とならぬよう努力と配慮を図ることこそ当初から最重要課題でありました」とも説明している。

ホテル転用を心配
 対策協議会は他に多く見られるホテルの転用を問題にしている。繁華街ではビジネスホテルがいつの間にかラブホテルに化けた例が多い。
 区内でホテルに隣接した学校に有馬小学校がある。こちらは公園が間になっていて、問題になったことはない。
 常盤小学校の場合は2面が学校に隣接していて、角地のためホテルが学校に立ちふさがる格好になる。
 業者はまだ建築確認申請をしていないが、申請は区ではなく民間会社に提出の意向という。そうなると区の関わりはホテル業認可の保健所だけとなる。対策協議会は隣接連合町会への働きかけを始めており、今後、区がどう仲立ちしていくか注目される。

区と教育委に要望書
 今般、ジブラルタ生命保険株式会社が、「日本橋プロジェクト」として、日本橋本石町の地、常盤小学校に隣接してホテルを建設、運営する計画が進められています。この件に関して、常盤学校PTAみどり会、校友会、常盤学校周辺地域の関係者で慎重に協議いたしました。
 常盤学校は、明治の初めに開校されて130年の歴史を持ち、今も江戸の香りを残す常盤橋のたもとで、品位と風格を保つ環境の中で初等教育が行われています。地域では3世代から4世代にわたって常盤学校に学んでいる地域住民も多くおります。また、災害時の避難場所にも指定されており、まさに地域の拠り所となっています。
 このような教育環境として極めて優れた地区に、不特定多数を対象とする宿泊施設が営業されることは、21世紀を担う児童の教育的見地からも、好ましくないとの結論に達しました。
 また、旅館業法第3条3項において「学校の敷地の周辺おおむね100メートルの区域内にある場合において、その設置によって当該施設(学校)の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められるとき、許可を与えないことができる」との条文があります。今般のホテル計画は、周囲100メートルではなく、全く隣接しての建設です。日本橋地区は歴史的にも商業の中心であり、ホテル計画がなされること自体は理解できますが、それが学校の隣接地であるということは到底受け入れることはできません。
 私どもは、この優れた教育環境と歴史的地域を子供たちのために守ることが、私たち地域住民の使命であると考えております。また、学校を核として形成され幾多の先人が遺してきた有形無形の教育文化遺産の継承は、地域にとって欠くことのできないものです。
 このような状況を何卒ご理解の上、現在計画中のジブラルタ生命保険の「日本橋プロジェクト」計画について「中央区の教育環境に関する基本条例(平成11年4月)をも踏まえて、特段の慎重なるご対処をいただきますよう、関係者の総意を持ってお願い申し上げます。
 (4月12日に矢田区長と平野教育長に提出した)

 
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