動き出した東京駅前の再開発

 東京駅前の再開発が、いよいよ具体化へと動き始めた。まず、昨年7月、日本橋・東京駅前地区をふくむ中央区全域の7割の地域が「都市再生緊急整備地域」に指定された。これは「緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域で、且つ都市全体への波及効果が見込める地域」として国が認めたもので、再開発を促進する様ざまな法的措置がほどこされる。一方、その再開発が先行して具体化するエリアが東京駅八重洲口。北と南に超高層ビルを建てると同時に、駅前(八重洲口と日本橋口)を整備するというもの。アセスの手続きも大詰めの段階で来年八月から工事が始まる。さらに成田と羽田の両空港の新しいアクセスとして期待されている「都営地下鉄浅草線の東京駅接着構想」に一応の結論が出された。3つの案を「有力な案」として抽出したうえで、「再開発一体整備案」が「八重洲地区の都市再生に与えるインパクトが大きい」として「有力な案」となった。この再開発とは区と地元で協議した超高層ビル案だ。都市再生緊急整備地域の指定の中でこの再開発案が再び浮上してくるのか、羽田空港の国際化の条件ともいえる浅草線東京駅接着の整備をめぐる行方が注目を集めることになりそうだ。そこで2つの構想をまとめてみた。

 東京駅八重洲口開発事業とは、駅周辺開発と一体的に広場の再整備をすすめ、21世紀における新たな東京の「顔」の創出を図るという。それは駅前広場の奥行きを広げ、路線・高速バス、タクシー、一般車など自動車機能の再配置をして交通結節の機能を強化するとともに、緑を積極的に配置するなどして、豊かな歩行者空間の創出を図る。
 事業者は次の6者。東日本旅客鉄道、三井不動産、国際観光会館、鹿島八重洲開発、新日本石油、八重洲オートサービス。計画敷地は約1万9660平方メートル。
 来年8月に着工して平成23年3月に終了。一部は平成20年に供用。
 建物の配置は次のとおり。
 業務施設を北棟高層部(高さ205メートル)および南棟(高さ205メートル)に配置し、国際ビジネスセンターにふさわしいシンボルの形成を目指すとともに、商業施設として北棟低層部に大型百貨店(大丸)を配置し、商業拠点としての構えをつくりあげる。
 北棟と南棟とを結ぶ中央部(南北約240メートル)は低層とし、東京駅と八重洲口駅前広場を結ぶ駅施設を配置する。
 中央部については、南棟と北棟をデッキレベルで結ぶことで、円滑な計画地内ネットワークを形成するとともに、大屋根を配置し(最高高さ約30メートル)、東京駅八重洲口の新しい顔づくりを行う。
 駐車場については地下部分に設置し、駐車台数約800台とする計画である。また、既設の都市計画駐車場とのネットワーク化を図る。
 環境影響評価は事業者の説明会(2回)も終り、意見書提出も終了している。