東洲斎写楽 松本米三郎のけはい坂少将実はしのぶ

東洲斎写楽の作画活動が短期間であった要因の一つは、美化されるべき役者の似顔絵をありのままに描き、顰蹙を買ってしまったからともいわれます。この作品に写されたのは「敵討乗合噺(かたきうちのりあいばなし)」という歌舞伎の演目で父の敵討ちをする、しのぶの役を演じた女形の松本米三郎(まつもとよねさぶろう)です。写楽は島田髷に結い上げた女形を、大胆な顔立ちで描写してしまいました。