中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

  さて、今日はお話しようと思ってたテーマが別にあったのですが、やはり今話題の家具屋姫についてお話しようと思います。
大塚家具と似たような話は周りの中小、零細企業にも沢山あってその中の一つに、私の知り合いの会社なのですが、息子を自分の会社に入れたのですが親子喧嘩が絶えなくて、ついに社長があいつ(息子)がいる限りは会社へ行かないと出社拒否して、その結果息子さんが辞めました。ここまではよくある話でこれにはさらに後日談があって、何年かしてやはり後継ぎがその息子さんしかいないので何と再度呼び寄せたのです。それも最初から社長として。この若社長張り切って社長業に邁進しました。しかし、古参社員のリストラ問題でまた大きく揉めました。そして株主総会の結果、またもや息子さんが辞めました。こうなると、もう悲劇というより惨劇と呼ばざるを得ません。一体どうしてこんな事になるのか、こうならない為にどうしたらいいのでしょうか。


 以前日経の調査がどこかに載っていて、企業の寿命は30年だそうです。資産の増加状況について上場企業の100年を調査したところ「企業の寿命は30年」と結果が出たそうです。これは30年で潰れてしまうと言う事ではなく、あくまでバランスシートを分析して資産を増やした期間を調べた結果だそうです。一口に100年と言っても長いですね~、同族会社であれば一人30年社長をやって3代続くという計算になります。100年の間に時代が大きく変わるのは当たり前ですが、今では30年でもとても大きく変わります。今から30年前ですと1985年、バブルが始まった頃ですかね。株が上がり、土地が上がり、世の中に物やお金が溢れ、銀行はどんどんお金を貸してくれる(要らないと言っても貸してくれましたっけね)、夜11時過ぎるとタクシーは拾えない、etc。それがバブルが弾けてその後はどうなりました?あれもこれも駄目になり、反面あれやこれやが流行し逆転してしまいました。そうそう、その頃はパソコンだってまだオフコンの時代で、一人1台と言ってもホストにつなげないといけないし、経理ソフトだって今は数万円で買えますが当時は100万位しましたよね。30年で時代は変わるということです。時代に対応出来る人を育てなければなりません。同族会社であれば、この間に子供を経営者として育てなければなりません。社長になったその時から次の社長を育てる。同族会社の社長の責任です。


 一口に育てると言っても一体どうしたらいいのでしょうね。一つは経験させる事です。生活面ではお金持ちの経験と貧乏を両方経験した方がいいですね。一流ホテルへ行っても物おじしない、金が無い時でも場末の居酒屋でちびちび飲んで自分で何とか凌げる。
仕事面では他人の飯を食う事もとてもいいと思います。3年とか5年とか他の会社で経験を積ませてから呼び寄せる。呼び寄せてもすぐには自分の会社へ入れないで、別の会社を作ってやらせて見る。飲食店なら自分が50坪のお店をやっていたとすれば、その近くに10坪位の小さなお店をやらせる。やらせたらそこを何とか成功させる。お客さんを自分のお店から送りこんででも成功させる。成功体験をさせると言う事も重要です。いやいや、家にはそんな余裕ないよ。そうしたら、今成功している自分のお店を全部息子に任せて、自分が独立すればいいのです。お父さん一から出直し、何十年か前の気持ちを思い出してそれも楽しいかも知れませんよ。とにかくその位しないと上手く行かない親子があります。子供は親を超えようとする。親から見れば息子はまだまだ。この感覚のずれが争いの元になります。
 もう一つ大切な事はほめる事です。人はほめられて大きくなるのです。ほめながら育てる。そうすると、その子は得意な事をさらに伸ばしながら成長します。そして、その子を後継ぎにしようと思ったら信ずる事です。やはりこの子ではなく、弟にやらせようとか気移りしない。親が気移りしたと感じたらその子は急に力を失い、別の事を考え始めます。さらに心理面から見ると一般に成人の心理的な発達(大人になる)の過程で、力を必要としたり他人をコントロールしようと思う時期があります。それは大人になる過程で大人の世界に自分の居場所を確保するのにある意味必要な事で、この居場所がなかなか見つからないとグレたりもしますし、アウトローの世界に行ったり、もっと危なくなって犯罪者になったりもします。子供の時は親がこの居場所を確保してくれるのでいいのですが、大人になるにはこの居場所を自分で確保する必要があります。また、他人に勝ちたい、大将になりたいと強く思うのがこの時期で、人からの指図をいやがるのもこの時期なのです。親子の争いはここで良くおこります。大塚家具の姫はこの時期かも知れませんね。親子で別にやるのが一番いい方法に思えますが、、、。一般的にこの「大将になりたい期」を過ぎますと他者への気配りとか出来るようになりますので人間関係も円滑になって行きます。
 親として、経営者として、子供を教育する。簡単なのか、難しいのか、でもやらねばならない事で、中小企業の社長は自分の子供の子育てを奥さんに任せっぱなしではなく、自分も関わって行く事がとても大切です。


 貴方と貴方の大切な方が、親子仲良く暮らせます様に、息子さんがいい跡取りになりますようにお祈りしています。
に…。


 


 

平成27年 卯月

 

  
 
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