食べる量を制限しなくてよいので、午後8時までに夕食を済ませて、それ以降は食べない、お水以外は口にしない。というのを試してみてください。これを守るだけで、体重を落とせる方が結構いると思います。
ではなぜ、寝る前に食べると太るのでしょうか。単純に考えて分かることといえば…そう、食べた後に寝るだけでは、摂ったエネルギーが消費されないからです。寝ている間でも胃腸は働くので、消化したり吸収することができます。しかし寝ていれば体を動かさないので、使われるエネルギーも少量です。余ったエネルギーは、脂肪として蓄えられてしまいます。
最近の研究によるとBMAL1(ビーマルワン)と呼ばれるたんぱく質が脂肪の蓄積と関係していることが分かりました。このたんぱく質は、脂肪細胞に脂肪をためこむ働きがあります。BMAL1が最も増えるのは、午後10時から午前2時の時間帯といわれます。この時に余ったエネルギーは、せっせと脂肪細胞に運ばれるという結果になります。したがって、夜9時以降に何かを食べるのは、いけません。
Q2.早食いはダメとよく言われますが、その理由を教えてください。
食べてから20~30分程度たちますと、体の脂肪組織から、「レプチン」というホルモンの分泌がはじまります。血液のなかにレプチンが流れ出すと、それが脳に伝わり「もうたくさん。お腹いっぱい」という満腹シグナルを出して食欲を低下させます。
一方でレプチンは脂肪組織に働きかけて、エネルギーをたくさん使うようにさせます。お腹いっぱいになったのでカロリーをエネルギーとして燃やしましょう、という指令を出すということです。昔から、早食いは駄目で、ゆっくり味わいながら食べるようにと言われるのは、この満腹信号ホルモン、レプチンをうまく使うためだったのですね。レプチンが分泌される前に食事を平らげてしまうような「早食い」は、肥満のもとです。満腹信号が出る前に、どんどん食べてしまうわけですから、食べ過ぎにつながります。ゆっくりと食べて、レプチンが出てくるのを待ちながら食事をすることが大切です。
Q3.いちど太ってしまうと、なかなかヤセません。どうしてでしょうか?
この原因にも、「レプチン」が関わっています。
太って脂肪が増えていくと、その分レプチンの分泌量はどんどん増えていきます。でも脳の大きさは変わらないのですから、こうなるとレプチンが飽和状態(あふれてしまうほどたくさん)になり、もう『効かない』状態になります。すると満腹信号が出ませんからいくらでも食べ続けることになりますし、レプチンが無いのと同じ状態となっているので、からだに脂肪を蓄えようとする方向に向かうのです。これではヤセませんね。
現代では、肥満の約95%の人が、この「レプチンが過剰で効かなくなっている状態」になっていると言われています。増えすぎたレプチンも困りものなのです。
Q4.ヤセても、またすぐリバウンドしてしまうのは、なぜでしょうか?
病的な肥満にまで陥ってしまっている人には、ここでも満腹信号ホルモン「レプチン」の悪い部分が目立ってきます。
たとえば今、太っている人がダイエットを始めたとします。最初は真剣に頑張って脂肪が2~3%減ると、レプチンの量は約20%減ります。今まで太っていましたから、脳にとっては、レプチンがたくさんある状態に慣れていたところから、急激にレプチンが減ってしまうために禁断症状が出てしまい、ひどく空腹を感じるのです。
そしてもう1つ。レプチン濃度が高い(太っている人)は、舌が感じる味覚も鈍感になっています。特に甘味の感受性が低下し、甘味を感じにくくなります。そのため正常ならば少量の甘味でも満足していたのに、さらに甘いものでも感じなくなり、もっともっと甘いものや刺激の強いものを求めてしまうのです。ですから、ダイエットをして脂肪が減りレプチンが急激に減ると、今度は味覚に対する敏感さが戻ってきます。すると以前よりも甘さや美味しさを感じやすくなっているので、ごちそうを前にして我慢することがとっても苦痛になってしまうというわけです。それで、つい余計に食べてしまう。これがリバウンドの仕組みです。このようなレプチンの動きを知っておくことは大切です。
ダイエットが上手くいかないのは、ただ自分の精神力が弱いからでなくて、レプチンの生理機能のせいなのだ、と理解して自暴自棄にならないようにしましょう。
菅井先生がお勤めの病院をご紹介します
病院名 | 医療法人社団 東京シナジークリニック |
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診療科 | 一般内科診療(保険診療)・自由診療(保険外、アンチエイジング診療) |
診療時間 | 午前9:30~13:00 / 午後15:00~18:30 |
定休日 | 水曜日・土曜日午後、日曜日・祝日は休診(※予約制のアンチエイジング診療は水曜も診療日です) |
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