Q1.色々な種類の野菜を摂るように意識しています。東京でも色々な野菜が手に入るようになってきましたが、情報があり過ぎて、どの野菜のどんな栄養素が大事なのか分かりづらいので教えてください。他に健康面で良いという理由を知りたいのですが。

A.最近は健康志向のタレントや著名人の影響もあり「グリーンスムージー」が流行りましたが、その材料となる野菜の選択肢も豊富で、私たちもそのバリエーションに驚かされます。
 しかし、まず野菜を摂るときに最も意識していただきたいことは「旬」の野菜を食べることです。最近はどんな野菜でも一年中、スーパーなどで見かけますが、旬のものは美味しいだけでなく、栄養価が断然高いということに注目してみましょう。
例えば、ほうれん草の旬は冬場です。旬のほうれん草について言えば、100gの中に含まれるビタミンCの量は73mgあります。ところが、旬ではない時期のほうれん草は、たった9mgしかありません。同じように、トマトも旬とそうでない時期のビタミンCの含有量は約2倍も違います。栄養面以外でも、野菜は旬の時期の方が美味しいですし、なにせ値段も安いですね。 
質問者の方を含めて、皆さんは今の季節では、旬の食べ物が何かご存じでしょうか。季節感を大切にする心がけは、栄養面にも良いという事も覚えていただければ、と思います。
 また、「有機栽培」や「オーガニック」というたぐいの言葉に関心が集まるようになってきましたが、こだわりすぎないことも大事です(※以前使われていた「無農薬」という表示は、現行の農林水産省のガイドラインでは表示禁止となっています)。
「オーガニック」などという表示や言葉の響きに、なんとなく私たちは安心感を覚えます。しかし、添加物が全くないということは、カビが生えるなど細菌感染を生じる可能性があることも頭に入れておかなければいけません。日本の食品添加物の量は、厳しい基準で使用されていますから、なんでもかんでも「有機栽培」や「オーガニック」などに飛びつく必要はないと思います。一概に添加物といっても、その目的や害の度合いはさまざまです。それを見分けていく賢さも必要になります。

  

Q2.野菜は、からだに良いビタミンが沢山含まれ、便通が良くなるなど、野菜の効能について色々と聞きます。それは、きちんと摂っていれば病気にもならないということでしょうか?

A.野菜の効能でよく知られるのは、ビタミン・ミネラルの栄養素が摂れることで身体の代謝を活性化すること、あるいは食物繊維を含むことで大腸の中での有害物質や老廃物を吸収して排泄、そして腸の動きを活性化して便秘を解消する効果(デトックス効果)などが知られています。
 さて、その他で注目されてきたことと言えば、野菜の「がん予防効果」についてです。野菜を多く摂ることで、未然にがんを防ぐことができるかどうか、ということについては、今まで多くの研究がなされてきました。
 有名な研究として例を挙げますと、約10万人の日本人の食生活と病気の発生について十年に亘り追跡した研究として知られる「食生活とがんの予防(国立がんセンターの津金昌一郎先生らの研究グループ)」のデータがあります。そのなかで、野菜をまったく摂らないグループに比べて、週に1日以上食べているグループのほうが、明らかに「胃がん」の発病が防げていたという研究結果がでています。さらに、2007年には野菜を摂ることが、がんの発症リスクを低下させる事を裏付ける論文をまとめた、総説も発表されています。一方で、意外なことに最近の大規模な研究データでも「大腸がん」については、野菜を摂ることと「関連性なし」という結果がおおかたで、野菜の摂取不足と大腸がんの発症には、関連性がないという報告が多いのが現状です。とはいえ、野菜を摂ることは健康に良いということはまぎれもない事実ですから、健康維持のための食生活の原則として、積極的に摂ることを心がけましょう。


※参考文献
1) 辻村 卓、荒井 京子、小松原 晴美、他(1997) 冷凍あるいは凍結乾燥処理した野菜・果実中の
 ビタミン含有量に及ぼす通年貯蔵の影響、日本食品保蔵科学会誌 23(1) ,35-40
2) Kobayashi M, Tsubono Y, Sasazuki S, Sasaki S, Tsugane S; JPHC Study Group. (2002)
 Vegetables, fruit and risk of gastric cancer in Japan: a 10-year follow-up of the JPHC
 Study Cohort I. Int J Cancer. 102: 39-44.

  
  

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