A. 最近はヨガのスタジオが多くみられるようになり、身近にあるスポーツジムなどでも、ちょっとしたヨガや、健康志向の「呼吸法」がプログラムにも組み込まれているようです。
呼吸法が身体に及ぼす影響は、医学的にみて心身両面で大きな意味があります。
同志社大学教授の米井嘉一先生は「呼吸法を学ぶことに4つの効用がある」とおっしゃっています。
それは、
- 1) 呼吸それ自体が重要であることが分かる
- 2) 精神統一をなすための足がかりになる
- 3) 運動になる
- 4) コミュニケーションが大切と分かる
ということです。
次に、この4つに分けて考えます。
- 1) 深くて大きな呼吸そのものが、身体にとって好ましい作用であることです。
深い呼吸をすることで、普段使われていない肺の奥深くまで新鮮な空気を送り込むことができ、肺の血行を良くします。 - 2)インドや中国では、古来より呼吸法によって「息」を整え、瞑想し精神統一を心がけています。
また、古くから知られている丹田呼吸法は「生命のふるさとは海であり、海の波打つリズムに合わせて呼吸するべし」と言っています。 - 3) 腹筋や横隔膜を使っておおきな呼吸を繰り返すことは、筋肉トレーニングになります。
- 4)呼吸法を学ぶクラスに参加することでコミュニケーションの場がつくられます。
同じ志の者が集うところでは、会話もはずみ仕事のストレスから解き放たれるでしょう。
このような呼吸法の基本は「腹式鼻呼吸」になります。鼻から息を吸い、鼻から吐き切る呼吸です。ちょっとした空き時間、仕事の合間などに大きく深く呼吸することは、ストレスやプレッシャーがかかった時に心を整える作用があります。
日常診療では、血圧を測定する時などに、緊張して脈拍や血圧が上がってしまう方には実際に腹式呼吸をしてもらってから、再度測定してお見せしています。脈拍も血圧もグッと下がって安定しますので、呼吸が身体に与える影響を実際に数値で見ていただければ納得ですね。