A) “爪水虫”は正式には“爪白癬”といい、主に足白癬(いわゆる水虫)と同じ白癬菌という真菌(カビ)が原因で起こる感染症です。白癬菌は高温で湿ったところが好きなので足に感染することが多く、春から夏に活発に活動しますが、感染する部位によって、頭であれば頭部白癬(しらくも)、体であれば体部白癬(たむし)、股であれば股部白癬(いんきんたむし)と呼び名が変わります。爪白癬は、足や手に感染した白癬菌が爪に広がったもので、痛みや痒みなどの自覚症状がないため放置されがちですが、自分の体の他の部位や家族など周りの人にもうつす可能性がありますので治療をお勧めします。なお国内で爪水虫にかかっている人は約1,200万人、日本人の水虫患者の総数は約2,500万人といわれており、なんと5人に1人が水虫にかかっていることになります。また最近はブーツの流行などによるためか、女性の患者さんも増加しています。
水虫には、足の皮がむけたり指の間が白くふやけたりする“趾間型足白癬”、足の裏に小さな水ぶくれができる“小水疱型足白癬“、足の裏全体が硬くなる”角化型足白癬“の3つのタイプがあります。白癬菌が皮膚に付着した後、皮膚表面の角質層に侵入するのに24時間ほどかかるといわれているので、水虫の予防には毎日石鹸で足は指の間まで洗うことが大切です。
薬は風呂上りなど、皮膚がふやけているときにぬると浸透しやすく効果的なので、洗った後によく乾かして、指の間や足の裏全体など広めに、1日1回、少なくとも3ヶ月、根気よく薬をぬりつづけましょう。角化型足白癬、爪白癬など、ぬり薬だけでは治療が難しい場合には飲み薬を用いることがあります。飲み薬にはテルビナフィンというお薬を1日1錠で6ヶ月飲む方法と、イトラコナゾールというお薬を1日8カプセルを1週間飲んで3週間飲まないサイクルを3回繰り返す方法がありますが、どちらも少数ですが肝臓に影響を認める方がいるので、お薬を安全にお飲みいただくために採血による肝機能検査を行うことがあります。また一緒に飲んではいけない薬もあるので、他の薬を飲んでいる場合には主治医の先生に必ず伝えてください。なお1年ほど前から抗真菌剤が高濃度に配合された爪白癬専用のぬり薬が処方できるようになったので、合併症や副作用のため飲み薬が使えない、あるいは内服を希望されない方にも新しい選択肢が加わりました。
水虫も爪水虫も似た症状が出る病気があり、症状だけで見分けるのは困難です。正確な診断には皮膚や爪の一部をとってカビがいるか確認する検査が必要ですが、水虫薬をぬっているとわからなくなることや、ぬり薬でかぶれを起こすこともありますので、水虫を疑ったときはまずは近くの皮膚科専門医にご相談ください。