Q)38歳女性です。足は冷えるのですが、頭や首が急にカーッとほてり汗が出ます。感情が不安定になり動悸も自覚するようになりました。月経不順もあります。どんなことが考えられますか。


A)うつ病や甲状腺疾患の可能性もありますが、更年期障害(更年期症候群)を疑います。更年期障害は主に40代以降の女性に多くみられますが個人差が非常に大きく、症状の幅も複雑多岐に渡ります。過度の身体的・精神的ストレスにより、30代で発症する方もいます。
症状は大きく三つに分類できます。

●血管系の症状
顔のほてり(ホットフラッシュ)、のぼせ、冷え性、多汗、めまい、動悸など
●精神神経症状
不安感、睡眠障害、イライラ、うつ症状、情緒不安定
●その他
免疫系異常(風邪をひきやすくなる等)、アレルギー症状(皮膚の強いかゆみ・外陰部などの粘膜萎縮)、消化器症状(下痢や便秘)、乾燥肌 など


  

Q)どうして起きるのですか?


A)卵巣から分泌されるエストロゲンというホルモンが減少し始めます。それにより間脳・下垂体が刺激され、自律神経系が不安定になり、一般的に「不定愁訴」と呼ばれる症状が出やすくなります。


  
  

Q)どんな治療がありますか?


A)日本産婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン」(2014年)には3つの治療法が紹介されています。すなわちホルモン補充療法(HRT)、カウンセリングや向精神薬、漢方療法です。
HRTは血栓症などの副作用があります。また、ホルモン補充により乳がんなど癌を誘発する場合があるので、使用の際は婦人科専門医により慎重に検討していただく必要があります。精神症状が強い場合、心療内科・精神科受診が必要になるケースもあります。
私の専門である漢方療法が大きな強みを発揮するのは
・なかなか症状が定まらない方
・症状の数が多くてお悩みの方 です。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、加味逍遥散(カミショウヨウサン)の有効性が、日本産科婦人科学会のガイドラインにも掲載されています。もし、これらの漢方薬で症状の改善を認めなくとも、他の漢方薬でも有効性が高いものがあります。八味地黄丸(ハチミジオウガン)、女神散(ニョシンサン)、柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ) 、柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)など、漢方の知識が乏しければ出しにくい処方も日本東洋医学会専門医であれば、処方候補に挙げてくれるでしょう。

更年期障害はホルモンの障害のみならず、神経・免疫にまたがって複雑化した症状が起こります。原因や症状がひとつではない病態にアプローチをすることを得意とするのは漢方薬や鍼灸です。保険診療で用いられる漢方薬(エキス剤)意外にも、煎じ漢方(刻み生薬)や鍼灸も有効な治療手段です。


  
  
  

堀田先生がお勤めの病院をご紹介します

※平成31年3月29日に閉院しました。

病院名 医療法人社団福和会 八重洲地下街クリニック
診療科 内科 漢方内科 小児漢方 (鍼灸応需)
診療時間 9:30~14:00 / 16:00~20:00(受付は終了30分前まで)
休診日 土・日・祝日
住所 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号 地下2階
電話番号 03-6262-7867
ホームページアドレス https://yaechika-clinic.jp/
  
 
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