Q)52歳男性です。長年、糖尿病を患っていますが最近、むくむようになりました。通院が滞りがちなのですが、どんな病気が考えられますか?
A)糖尿病の3大合併症の1つ、腎障害を疑います。浮腫は手足や顔のむくみで気づかれる患者さんがほとんどですが、指輪や靴の窮屈さが気になり「太った」と来院される方もいらっしゃいます。
軽く捉えがちな症状ですが、心臓・肝臓・腎臓の病気が隠れている浮腫もあるため注意が必要です(心不全、肝硬変、腎不全など)。また、足の重だるさ、冷え、しびれや痛みを伴う場合は早めの受診をおすすめします。
他にはホルモン系の病気、月経関連、薬性(ステロイドや降圧剤など)、特発性浮腫(原因不明の浮腫)があります。左右差がある浮腫の場合、ピル使用後に起きる下半身の静脈閉塞、リンパ管トラブルなどがあります。
Q)どんな検査をしますか?
A)浮腫はその原因が多種多様です。生活習慣病の有無など詳細な問診後、血液検査・尿検査・レントゲン・心電図などの検査をします。
Q)どんな治療がありますか?
A)基礎疾患の診断に応じた治療が必要となります。心不全の場合は利尿剤を、糖尿病の腎臓合併症がある場合、人工透析を必要とする場合もあります。また静脈閉塞がある場合、外科的な対応が必要となります。特発性浮腫や沈下性浮腫といった原因不明のものについては、西洋医学的に治療法が確立されておらず東洋医学的な漢方や針灸が選択肢の一つとして有効です。
東洋医学には「気」「血」「水」という考え方がありますが、浮腫に関しては「水毒(水滞)」と捉えることが多いです。具体的には、五苓散(ゴレイサン)・柴苓湯(サイレイトウ)などの漢方が主体となります。西洋医学にはない治療法である、身体を温めて浮腫を取る附子(ブシ)という生薬もあります。保険診療による粉薬(エキス剤)での治療は、腎不全など難治性の浮腫については役不足のことがあります。自由診療ではさまざまな生薬を細かに匙加減で調整が可能です。針灸に関しては、いわゆる美容針灸でもよく言われるように短時間でフェイスラインなどのむくみが取れるなど、即効性が期待できます。