伸びゆく八重洲街の展望
東京駅八重洲口の南北に超高層ビルを計画
北棟低層に大丸 6年でオープン


 東京駅八重洲口で大規模な開発事業が計画されている。東日本旅客鉄道など6社が参画する事業で、5月末の都市計画審議会で決定し、アセスの手続きも進められる。現在の八重洲口の中央に立つ大丸百貨店などの入っているビル、南は旧ガソリンスタンド、北はホテルなどの入っている国際会館など全長300メートルの細長い敷地。大半は千代田区。北と南に高さ215メートルのビルが建ち、中央部分は低層の構造となる。北のビル低層に大丸デパートが入る予定。平成20年には南ビルと北ビル低層階がオープン。全体の完成は平成23年を予定。来年から駅前広場仮設切り回しなどの工事が始まる。中央区は東京駅前開発にとりくんでいるが、駅本体の開発が先行することになった。地元の対応が注目される。計画の概要をまとめた。

計画敷地の現況
 計画地は千代田区丸の内1丁目1番3号地にあり、JR東京駅の八重洲口に位置している。計画地の西側はJR東京駅に面し、東側は外堀通り北側は永代通りが通るとともに、さらに東側および北側には事務所ビルが建ちならぶ地域となっている。
 南側はパシフィック・センチュリー・プレイス丸の内ビル(地上31階)が昨年11月に竣工した。また、計画地と東側の外堀通りとに挟まれた場所は、八重洲口駅前広場であり、本事業とあわせて整備改善される。
 計画地の中央部には、鉄道会館があり1階部分は主に駅施設として、上階は大丸百貨店として利用されている。
 その北側には、商業・業務・ホテルの用途をもつ国際観光会館がある。
 計画地の南側は事務所ビルおよびガソリンスタンド跡地である。
事業内容の概略
 敷地面積は約19.660平方メートル、計画建物の延床面積は約350.000平方メートル、計画建物の最高高さは約215メートルであり、駐車台数は約850台の計画である。建物の用途は主に、事務所、店舗、駐車場、駅施設。
事業者の名称
 東日本旅客鉄道(株)(大塚陸毅社長)▽三井不動産(株)(岩沙弘道社長)▽(株)国際観光会館(石津司郎社長)▽鹿島八重洲開発(株)(杉本雄次社長)▽日石三菱(株)(渡文明社長)▽八重洲オートサービス(株)(掛札勲社長)<代表者は東日本旅客鉄道>

事業への整備方針

シンボル性の創出>
 丸の内側の赤レンガ駅舎が「歴史」を象徴する玄関口であるのに対して、八重洲側はこれまでの東京駅周辺の歴史をふまえながらも、21世紀の首都東京の新しい顔となることが求められており、21世紀の首都東京、ひいては22世紀への掛け橋となる「先進性・先端性」を象徴するシンボル性の獲得を目指す。
業務、商業集積の拠点
 国際都市東京における主要課題の一つとして、牽引役となる国際ビジネスセンターの形成が掲げられており、本事業については、国際ビジネスセンターにふさわしい業務・商業の核となる「拠点性」の創出を図る。
 業務施設に関しては、国際業務の機能の受け皿に最先端機能を持ったオフィスビルであることは当然として、その位置づけに相応しい「拠点性」あふれるデザインとする。
 商業施設に関しても、東京駅とのリンケージを重視した大型百貨店の展開により、八重洲・日本橋につながる商業軸の拠点を形成すると共に、その位置づけにふさわしいデザインとする。
周辺景観との調和
 計画地周辺は、丸の内・日本橋の業務集積、八重洲地区の界隈性あふれる商業施設、皇居、内堀、日本橋川等の水緑の空間など、豊かな都市資源・景観に恵まれている。本事業では、これら周辺の都市資源・景観との調和への配慮が求められている。
 ただし、単なる消極的な調和を求めるのではなく、積極的に活用することも視野に入れ、これらと市場資源・景観とし協働した新しい都市イメージの形成を目指す。
環境・省エネに配慮
 建物全体としては、地域の良好な景観形成に寄与し、環境共生・省エネルギーにも配慮した建築計画とする。
 エネルギーの有効活用や資源の再利用の促進、廃棄物の削減等に努め、環境負荷の軽減に配慮するとともに、計画地に緑を導入するなど、環境との共生に配慮する。
八重洲口との一体整備
 本事業とあわせて整備される八重洲口駅前広場と一体的に整備を行い、首都の中央駅にふさわしいシンボル性をもったネットワーク・コアとしてのまちづくりを行う。


建物等の配置内容

低層部
 駅前広場を取り囲む南北約300メートルの低層部の意匠により、「先進性」と「先駆性」を象徴する駅前広場としての構えを作りあげる
南北高層オフィスビル
 南北に高さ約215メートルの高層棟を配置し、国際ビジネスセンターにふさわしいシンボルを形成する。
北側への主要商業施設
 商業施設は北側低層部に大型百貨店を設置し、外堀通りに対して商業拠点としての構えをつくりあげる。
周辺景観との調和
 計画地中央部を低層とし、南北を高層とする「すり鉢状」のスカイラインを形成することで皇居・丸の内側からの都市景観に配慮する。
 南北高層棟をデッキレベルで結び、円滑な街区内歩行者ネットワークを形成し、周辺街区とのネットワークを形成する。

駐車場の有効利用

 ◇駐車場については地下部分に駐車場を設置する計画である。駐車台数は約850台である。また、都市計画駐車場とのネットワーク化により駐車場の有効利用をはかる。地下駐車場の換気施設(機械類)については地下の機械室に設置し、防振対策を施す予定であるが、具体的な配置、仕様等については、こんご検討する。
 ◇車両動線は計画地東側の外堀通りと北側の永代通りを経由する計画であるが、駐車場の出入口位置などの詳細については、こんご具体的に検討する。