東京都が構想 月島−東京駅にLRT
八重洲・晴海通りルートを検証


 新たな公共交通システムとして「LRT」が注目を集めている。超低床車両と日本訳される電車で、公害も少なくて大量輸送ができ、しかも車体が低いために体のハンデのある人や高齢者も利用できると好評の乗りもの。車体のデザインで町にマッチしてヨーロッパの各都市に導入されている。都心からの車の締め出しを提唱している石原都政もLRTの導入に関心をもっている。かねてから導入を唱えている月島再開発協議会ではすでに二回にわたり勉強会を開催している。この席上、東京都は独自に検討した「月島・東京駅間LRT導入構想」案を明示し説明した。都は二つのルートを案として示し、それぞれの課題を整理している。車洪水に押し出された都電が、新しいスタイルで環境問題と抱き合わせで急浮上してくることを期待する声も多い。こんごの動向が注目される。



月島再開発協の勉強会で説明

 東京都は、二つのルートを検討している。
 Aルート(八重洲通りルート)勝どき六丁目―勝どき二丁目―佃二丁目―中央大橋―新川二丁目―八丁堀―京橋一丁目―東京駅八重洲口
 Bルート(晴海通りルート)勝どき六丁目―勝どき二丁目―築地六丁目―銀座四丁目―数奇屋橋―外堀通り―東京駅八重洲口
 距離はAルートが約四キロ、Bルートが約四・五キロとほぼ同じ。ただし東京都は両ルートともに晴海を通過することは可能としている。
 両ルートの整備上の課題として次のことをあげている。
 
 <Aルート>
(1)新島橋の拡張が必要となる。また軌道構造との調整も必要となる。
(2)ゆりかもめ勝どき延伸の導入空間と競合する。
(3)リバーシティ内は道路幅が狭いために、将来にわたり二重線が原則となる。
(4)中央大橋は構造上の詳細検討を要する。
(5)新川二丁目の一部は、交通規制もしくは拡幅が必要になるが、地元と調整し、トラジットモール(乗り継ぎ道路空間)などの整備が必要。
(6)亀島橋は構造上の詳細検討を要する。
(7)京橋一丁目交差点では、鍛冶橋、京橋を周回してきた線路と東京駅方面に西行してきた線路と交差するため、詳細な検討を要する。

 <Bルート>
(1)勝どき橋の幅員が狭く、自動車交通との調整要する。
(2)万年橋(高速道上)は構造上の詳細検討要する。
(3)数奇屋橋から鍛冶橋間は道路幅が狭く、自動車交通との調整を要する。
(4)鍛冶橋交差点では、京橋を周回して来た線路と東京方面に北向してきた線路とが交差するために検討を要する。
 さらに都はLRTを導入するに際して検討すべき事項として次の五点をあげる。
(1)需要の予測、収支、資金計画、事業の採算性、運転計画、経営主体、整備手法などの詳細な検討を要する。
(2)国、道路管理者、交通管理者等の協議を要する。
(3)地元区の主体的な取組みが不可欠。
(4)車両基地(車庫等)の用地の確保。
(5)バス路線網との整合。