新年度当初予算
商工融資枠65億から120億円に倍増

 中央区の平成15年度の各会計予算案が決まり、6日、発表された。一般会計は、621億5183万円で前年度に比べ、40億1895万円、6.9%の増となった。その主な理由は、明石町の二中跡地に建てられている建物(介護老人保健施設、知的障害者生活支援施設)の取得費や、市街地再開発事業の助成費アップによる。一方、歳入は、個人所得は減になったものの人口増で区民税が前年度に比べ1.8%の増になった。だが、不況による固定資産税等の減収で都区財調による交付金が13億円、9.1%もの減になっている。今後、団塊世代が退職の時期を迎えると退職金の出費がかさむなど財政見通しは楽観を許されない見通しだ。限られた財源を重点的・効果的に配分し、次の六つの重点施策の推進に努めたという。(1)景気回復に向けた地域経済活性化、(2)江戸開府400年の記念事業で商業・観光・文化の振興、(3)まちぐるみで安全な中央区を維持発展、(5)ISO14001認証取得で一層の環境保全策と推進、(6)「教育を考える懇談会」の提言の具体化。とくに商工融資の枠を65億から120億円とほぼ倍増するなど制度の充実が注目され、地域振興策の具体的な展開が注目される編成となっている。主な事業をまとめた。



地域の振興へ具体策も
融資の充実

<融資枠の拡大>
22億円。中小企業のあっせん融資枠を大幅に拡大する。預託金を13億から15億円に、融資枠を65億から120億円に拡大。

<融資一本化制度>
複数の区商工融資を一本化する制度を創設し、返済の負担を軽減する。280件程度を見込み26億円を計上。

<小規模企業特別緊急運転資金融資>
昨年10月に6か月延長した特別緊急融資あっせん(区が0.1%負担、300万限度)を継続する。

<経営改善資金融資の利子補給>
商工会議所の推せんにより、国民生活金融公庫が無担保・無保証で融資する制度に、区が利子補給(支払利子額の30%補償)する制度を創設する。

<融資制度の改善>
あっせん融資を利用している区民にアンケートを実施して、より利用しやすい制度の改善をはかっていく。



新事業に支援

<中小企業ネットワーク化支援>
中小企業のIT化を促進するため、NTTの地域IP網(光ファイバーを利用し、30企業程度のグループで共同配送・受注などを行う)に加入する経費の一部を区が助成する。

<新規事業カレッジ>
印刷製本の事業者から、経営革新や新事業創出の取り組みの提案を受け、産学連携のもとに具体化をはかり、新たなビジネスモデル(10事業者)を、ハイテクセンターから発進。

<異業種交流>
異なる業種の事業者が特定テーマで発表し議論する機会を設ける。

<問屋街で産学連携>
日本橋の繊維問屋街と専門学校との「産学連携」を区が支援、イベント実施などで地域の活性化をはかる。

<卸流通革新研究>
織物卸商業組合が予定している「中核施設」について区が経費の一部(100万)を助成。

<ディーゼル車対策>
区内に使用の本拠を有し、都の粒子状物質減少装置の装着助成を受けた事業者に、都助成の2分の1の額を区が補助。一台の上限10万円で、200台を予定。3511万円。



商店街活性化

<商店街振興プラン>
商店街の活性化のため、区民の消費活動などを調査、14年度の来街者調査の結果とともに、総合的な振興方策をとりまとめる。1千万円。

<日本橋問屋街再生>
活性化の方策を検討。イベント開催を検討。550万円。

<景気動向調査>
区内事業者の景況実態を把握し、今後の区内産業のあり方、それに対応した産業振興の方向性への参与とするための調査を実施する。407万円。

<共通買物券>
消費を刺激し、商店街活性化や顧客拡大につながるよう、アンケートなどで発行方法や効果を分析して、より効果的な発行とする。3億3千万円。

<特色ある商店街>
銀座ガス燈通り(3・4丁目)の街路灯を建替えて全面をカラー舗装に。6201万円

<銀座地区交通環境改善協議会>
銀座の駐車場対策を総合的にすすめ、観光案内の充実もはかる。571万円。



雇用対策

<雇用確保関連事業>
緊急地域雇用創出特別交付金を活用して次の7事業を実施。(数字人数は雇用のべ人数)
(1)障害者IT講習会=300人=354万円。
(2)高齢者IT講習会=480人▽高齢者団体パソコン講習講師派遣=200人=393万円。
(3)ごみ排出実態調査=542人=1050万円。
(4)歩行喫煙ポイ捨て防止キャンペーン=432人=861万円。
(5)放置自転車対策=294人=115万円。
(6)校庭公園が併設されている小学校の安全管理=412人=411万円。
(7)小中パソコン研修へのサポート派遣=440人=450万円。

<就業相談・支援>
シルバー人材センターに「高齢者就業支援センター」を創設。無料の職業紹介をハローワークと連携して実施、就業や社会参加を希望する高齢者と、それを求める事業者等を結びつける仕組みづくり。595万。



開府記念事業

<実行委員会の記念事業>
(1)江戸東京「華」パレード 歴史絵巻を中心に、日京まつりの東京パレードと銀座アキュイユパレードの合同開催=1億119万円。
(2)江戸・食文化400年祭典 食文化を年間PR、大江戸にぎわい広場を4日間開催する=8040万円。
(3)江戸ルネッサンス会議 総括イベント。549万円。

<観光資源開発>
(1)「観光資源開発研究会」の設置 隅田川の護岸をカフェテラスに活用し水辺の散歩道にする、勝どき橋の開橋、などを研究・推進する。
(2)観光ホームページの充実、画廊や美術館のネットワーク化、宿泊情報など充実。ハングルページを新設する。