区議選30の定員に最小の35人が立候補
80%以上の得票率めざす矢田陣営

 四年に一回実施される統一地方選挙の第2弾、区長・区議選は20日の日曜日に告示され、中央区では区長選に2名、区議選に35名が立候補した。27日(日)の投票日をめざして各地でしのぎを削る闘いが展開されている。区議選は30の定員に35人という、中央区では今迄で最低の立候補者数になった。有権者が4年間で1万2千人も多くなっていることとは対照的に前回より2名も少なかった。当初は38人とも言われたが無名の新人は相次いで出馬を断念した。一方の区長選は過去3回と同じく現職と共産党の対決となった。矢田区長は5期に挑戦。一般的には多選批判が多いものの、年は60歳をこえたばかりの働き盛りで、しかも人口増にともなう行政課題にとりくむ都心再生プログラムの具体化という使命も負わされているところから、矢田区政の第2幕という把え方が多い。これに対して共産党は「多選批判」の方向に向かわずに、明らかにされた「再生プログラム」を批判し、対決する姿勢を明確にしている。4年前に共産党は6千票台に票を伸ばしているところから、さらに矢田区政への批判票を上積みさせたい意向だ。すでに石原都知事は300万票の大台で2期目への信任を得ている。そして当選しての第一声は「国と過激に対決していく」であった。東京都の改革路線はさらに具体的に展開されていくものとみられ、石原知事の構想の一つといわれる「合区問題」に何らかの方向が示されるのでないかと見られている。区の存在自体が問われる時代となり、その意味でも今回の選挙のもつ意味は重い。


「中央区再生」の手法めぐり論議
有権者1万2千人増

 中央区の人口は増えつづけているが、4年前と比べると有権者は1万2千人も多くなっている。京橋と日本橋地域は各3千人の増で、月島地域は6千人も増えた。大半がマンションなどの新住民。
 こうした新住民の動向が区長・区議選でいちばん気になるところだ。党派に関係なくセキュリティの徹底しているマンションには入ることもできないし、ビラ一枚もまくことを拒否される。
 時代の流れもあり区議でホームページを開いて、自らの主張や区の動きを伝えている例が増えている。
 新聞をとらずニュースはパソコンでという若者が多い。このあたりがどのように展開していくか注目される。
 知事選の投票率を見ると、中央区はトップクラスで、投票所別では晴海など新住民の多い所でも高率だった。石原票なのか不明ながら、今回も6割近くまで行く可能性はあるとみられる。


再生の進め方論議
 人口は増えたものの、次々と建つマンションは且つて底地買いされた空地だったものが、最近は商売が続けられず閉鎖したビルの跡地という所が増えていて、その周辺の住民にとっては誠に複雑な感慨があるという。
 長引く不況とデフレ経済は商業の中心であり続けた中央区に疲弊をもたらしている。そこで中央区は都心再生会議を設けて各地の新しい町おこしへの指針をまとめた「再生プログラム」を発表した。
 にぎわいを原点に街に活力を戻す手だてを示すと共に、福祉など公共施策についても具体的方針を定めた。これはいうなれば矢田区政5期目の屋台骨となるもの。
 これに対して対立候補を推す共産党は「バブルを再現するもの」と批判。そして「地方自治体の第一の仕事は、くらしと福祉を守ること」として「区民が主人公」の区政に切りかえるようにと主張。
 さらに玉川候補は、名橋日本橋の上を通る高速道路について「今すぐ撤去する必要はない。莫大な金がかかるのだから、負の文化として、しばらくあのままにしておくべきだ」と主張している。言うまでもなく地元では「架橋100周年の8年後にはメドをたてたい」と意気ごんでいる。


石原都政との関わり
 300万票をこえる圧倒的支持を得た石原都政。新しい銀行の設立など改革路線を二期目も突き進もうとしている。
 築地市場の移転は石原都政になって急転回したが、中央区は「絶対反対」のこぶしをおろしてはいない。2003年問題で揺れる築地では場外市場を中心にした再生への意気ごみが高まって、これへの都の対応が注目される。
 さらに1期目には出し切れなかった合区問題。すでに中央区は日本橋・京橋の合併で苦い思いをしている。その中央区がこの合区で、どこの区と合併するかという論議に身をゆだねるのか、商業文化情報の中心として独自の主張をできるか。それもひとえに、再生プログラムの実現にかかっている。区長・区議選でこういう論議も望まれる。


再び即日開票に
 300万票をこえる圧倒的支持を得た石原都政。新しい銀行の設立など改革路線を二期目も突き進もうとしている。
 築地市 28日の投票は午後八時まで。前回は現職区議らの注文があって翌日開票になったが、開票に時間がかかりすぎるというので即日開票に戻ることになった。
 午後9時からの開票で35人の候補の最終結果が1時までにできるか否か…。


石原都政との関わり
 300万票をこえる圧倒的支持を得た石原都政。新しい銀行の設立など改革路線を二期目も突き進もうとしている。
 築地市場の移転は石原都政になって急転回したが、中央区は「絶対反対」のこぶしをおろしてはいない。2003年問題で揺れる築地では場外市場を中心にした再生への意気ごみが高まって、これへの都の対応が注目される。
 さらに1期目には出し切れなかった合区問題。すでに中央区は日本橋・京橋の合併で苦い思いをしている。その中央区がこの合区で、どこの区と合併するかという論議に身をゆだねるのか、商業文化情報の中心として独自の主張をできるか。それもひとえに、再生プログラムの実現にかかっている。区長・区議選でこういう論議も望まれる。


区長候補も街頭に出陣
雨の中でスタート

 区長・区議選は20日の日曜日にスタート、霧雨の降る生憎の天候だった。
 5期目をめざす矢田候補の事務所(新富町・平成通り)前には午前9時前から町会長や各種団体の代表ら多数が集まり出発式が行われた。
 晴海の今井今朝良氏が司会をつとめ、選対を代表して宮入本部長代行が4期の実績を以って五期目にのぞむ決意を語った。国会議員では深谷元通産大臣、中山代議士、保坂参院議員、鳩山代議士が相次いで挨拶。自民党の嶋田支部長、連合の田川卓司氏、都心再生会議の中野里氏、工団連の水野会長、月島再開発協の新川代表、月島町連の柴崎会長、日本橋町連の湧井会長らが激励の挨拶。立石都議が選対本部を代表して挨拶したのを矢田候補が「頑張ります」と決意を披露。ひょう太君に必勝のたすき掛けをし、区商連の岩崎会長の発声で乾杯をし街宣に出発した。
 玉川候補は共産党の区議候補とタイアップ。12時には人形町通りで小栗候補と共に街頭に立った。
 玉川候補は、今の中央区は交通が便利だけで住む人ばかりで情ないと断じ、「私が勤めていたころの日本橋には三味の音も聞こえた。子供たちの声がひびく、人間にやさしい区政を実現したい」と主張した。
 また具体的には「助役に女性を起用し教育委員も半分は女性に」「区長の報酬と退職金を引き下げる」「執務は区役所の一階でガラス張りで行う」「土曜日曜は区民の集まりに参加して声を聞き区政に反映させる」などと提案した。また、イラク戦争反対と有事立法は戦争に結びつくと反対を表明した。


区長候補者の略歴
矢田 よしひで氏

 昭15年6月2日、都議会議員、矢田英夫氏の次男として新富町に生まれる。京橋小、明正中から都立江北高校を経て慶応大学法学部卒。米国ミズーリ州大学でジャーナリズムを学んだのち、42年、共同通信社(海外部)に入社。46年から政治部。62年、中央区長に就任、以来4期つとめ平成13年、特別区長会の会長に就任。妻と長女の3人家族で新富町に居住。趣味は囲碁で5段の腕前、好きな言葉は「人生意気に感ず」「真実は自由な話し合いの中から生まれる」「初心忘るべからず」
 選手事務所=新富1―7―8イタクラビル。


玉川 寛治氏
 昭和9年1月8日、長野県松本市生まれ。松本深志高校から東京農工大学繊維学部卒業。蛎殻町の大東紡織会社に繊維技術者として32年から平成6年まで37年間勤務。現在東京国際大学非常勤講師、25年前に設立された産業考古学会の理事、同編集部会長、日本産業技術史学会員、国際産業遺産保存委員会会員、日本国民救援会(人権ボランティア団体)の東京都本部会長。著書に「製糸工女と富国強兵の時代」など。住所は千葉市美浜区で妻と2人。趣味は囲碁・将棋・演歌を聴くこと。
 選挙事務所―入船3―4―2、中央地区委員会。


区長選の公開討論
青年会議所が主催

 青年会議所の主催による区長選挙「公開討論会」が、告示前の15日午後7時から京橋プラザの2階で開かれた。
 2年前の都議選で候補予定者の公開討論を開いている。区長選では初めて。政治や行政をより身近なものにしたいという趣旨で、新聞で折込み広告したものの参加者は60人ほどにとどまった。
 まちづくりなどで両氏の見解の相違が明らかになった。その一方で、中央区の人口を7万人としたり昼間人口が圧倒的に多いなど主催者の現状認識の古さが目立った。


今年の区政モニター
 中央区政に「もの申す」モニター(30%)が決まり、1年間、意見具申や提案を述べ交流をはかる。今年のモニターは次の各氏。
 <再任>濱口佳子(築地、69、主婦)小池優美(人形町、37、会社員)斎藤庄一(蛎殻町、68)佐藤佳子(箱崎町、54)高島成功(浜町、61、学生)横川盛助(中洲、74、自営業)五十幡和江(佃、61、主婦)宮澤和子(佃、51、主婦)高羽徳夫(月島、72)津嶋啓子(勝どき、55、主婦)鳥養幸雄(晴海、71)
 <新任>岡江四郎(築地、86)田中茂(八丁堀、78)大沢寛一(八丁堀、76)岩谷満佐男(八丁堀、65)清水三陽子(新川、60、会社員)井上英之(新川、67、会社員)平野均(新川、71)太田絵美(大伝馬町、30、主婦)小林典子(堀留町、60、主婦)柳田尭(東日本橋、59、自営業)沼澤憲一(浜町、36、会社員)小島東洋(中洲、71、自営業)田中はる(中洲、67)佐藤宣明(佃、61)佃秀敏(佃、65)菅原雅雄(佃、73)熊倉陽子(晴海、33、主婦)村田明禧(晴海、62)高林薫(晴海、35、主婦)