区議選、地域別の戦況
京橋地域

 今回、京橋地域を拠点に立候補する人は8人。現職は大塚、押田、今野の3氏だけで他は新人。
 礒野氏に続いて小林氏も引退するとあって築地は無風かと思われたが、6丁目の目抜き通りに自民党新人の小川雅幸氏が事務所をかまえ、風向きが変わった。小林氏を支えてきた鳩山票を掘りおこす狙いで、本人も住居を日本橋富沢町から築地に移す肚を固めているともいう。音羽会や鳩山青年会も動いている。このため礒野陣営は当初よりも固まってきているといわれ、高崎元議員の地盤の掘りおこしをふくめて注目される。
 大塚氏と今野氏は新人との確執もないため陣営の引き締めにやっきとなっている。マンションが建つとは別に若い人は結婚して区外に住むため、実質支援者は目減りしているのが実情だ。
 築地には公明党新人の田中広一氏が出馬。鈴木幸子氏が日本橋に移り、新人として票固めに動いている。
 共産党は木藤、森山両氏の大物が引退。新人の志村孝美氏と藤田正五氏がそれぞれの地盤を継ぐ。引退両氏は地域に根ざした議員だけに新人にそのままバトンタッチすることは難しいともみられる。
 むしろ新川の押田氏は闘いやすくなる条件におかれ、選挙の注目の的。さらに森山氏の拠点でもある湊・入船も流動的だ。この土地で生まれ育った守本利雄氏が祭りなどで独自の地盤を引き継いでいて、闘いやすい条件になってきたわけで動向が注目される。
 築地市場の移転はすでに既成事実化していることと、現区政も共産党も移転反対のため、選挙の争点になりにくくなっている。むしろ今回の選挙での関心事は新住民。4年間で1万2000人も有権者が増えている。しかも新しいマンションはセキュリティがきちんとしていて簡単に中に入れない構造となっている。知り合いを通してビラなど入れると、ただちに管理組合から抗議を受けるという。
 そこで注目されている新人が田村宏氏。福祉介護士の資格を有していて福祉などで独自の政策を打ち出し、それを街頭でPRしてきた。こうした実績がどのように票と結びつくか、他陣営からも注目を集めている。
 築地1丁目(区役所裏)に事務所を設けるNPOから藤川幸治氏が出馬。工事現場の廃材運搬に白ナンバーを認めないようにと、独自の主張を展開している。


月島地域
 四年間で有権者が6000人も増えている月島地域。このためこの地域を拠点とする候補者は16人に及んで他の地域を圧倒している。有権者が多いということは、他の京橋、日本橋からも攻められる情勢にあり厳しい戦況を強いられる実情だ。
 中央区では初めての10期目に挑む矢吹氏。かつて社会党の小泉氏、自民党の登内氏も10期達成が期待されたが、目前にして惜しまれ、機を失った。70歳をこえたばかりで今時からすれば現役で充分の年で、支援者の期待も大きい。
 相変わらず激戦地は勝どきで、自民の鈴木、中嶋両氏に無所属新人の飯塚氏が挑戦。ミニバスケットの指導員で魚河岸にも関りをもち、PTAを通して鈴木氏とも攻防。ただし勝どきは住民の多い地区だけにお互いに切磋琢磨することで得票を増やせる状況にある。また公明の植原恭子氏は2期目の難関に挑み、新たな地平をどこまで切り開けるか注目される。
 2期目に挑戦する自民党の原田、二瓶両氏は4年間の実績が問われる。原田氏は2代目ながらPTAなど独自に新しい分野も開拓。二瓶氏は佃2丁目の商店街に事務所を設けて前回票の上積みを狙う。
 公明党の田畑氏は6期の立場から1期2期生の会派をたばねる責任ある地位につくわけで今回の選挙が正念場。新人の中島賢治氏は晴海に居住し、地盤票に加えて新住民をどこまで開拓できるか。
 リバーシティでは8期を狙うベテラン守本氏と返り咲きに挑む鷲頭氏の2人が出馬。今回は安氏が立候補しないが公団は住民の出入りが激しく票の読みにくい所。
 12年ぶりの返り咲きをと元気をキャッチフレーズに登場したのが阿部利之氏。再開発で借家人のリーダーとして活躍した。自分でしたためた随想文を10冊以上も配布して知名度をあげている。今回、月島地域で台風の目とも言われ、動きが注目される。
 晴海で5期目に挑むわたなべ博年氏は再開発の実績で独自の地平を切り開いている。月島の青木幸子氏は、実質は2期目の挑戦となる。
 共産党の田辺氏は8期、鞠子は6期に向かう。


日本橋地域
 日本橋地域では新人・再挑戦と現職とのせめぎ合い、さらに宮澤、富永両氏の票の行方などが注目をあつめて、京橋地域よりも熱気をおびるとみられる。
 まず、前回は僅差で次点に泣いた増渕氏が今回は深谷系列に入って自民党公認に。箱崎を中心に地盤を固めるとともに、経営している飲食店を選挙事務所にして、宮澤氏の拠点(芳人町会)に枝葉を広げようとしている。前回同様に常山元区議も応援。この影響を受けるのが同じく人形町の石島氏。前回に続いての確執となるわけで日本橋で注目されている攻防戦のひとつ。
 もう1人の新人は浜町の奥村氏。住居は箱崎だが消防団などで浜町との関わりは強い。前回までは高橋伸治氏の選挙を手伝ってきただけに、高橋陣営としても警戒をつよめている。自民党としては浜町に拠点をもつ意味で、奥村氏の進出に期待しており、立石都議の応援の行方に関心が寄せられている。
 励ます会に四百人を動員した神林氏は宮澤氏の引退で日本橋のリーダーの位置に立つことになった。茅場町を拠点に1の部、6の部に手堅い支持者を得ているものの、人口の少ない地区だけに裾野の拡大が注目される。
 喜多川元区議の後継者として当選した石田英朗氏は2期目に挑戦。人形町から問屋街が地盤で人脈をようやくつかんだものの、何せ票の少ない地域だけに人形町周辺での地盤の拡大につとめている。
 4期目に挑む坂戸氏はスポーツ関係で新しい分野を開拓するとともに元教師として手固い支持者も有している。
 公明党の青木氏が引退し、京橋から鈴木幸子氏が移動してその地盤を継ぐ。先輩の青山象氏らと共に独自の闘いを展開している。
 共産党の小栗智恵子氏は4期目に挑む。選挙事務所を新大橋通りに開設して今までにない意気込みを示す。都知事選でふるわなかった分をどこまで回復できるか。
 問屋街を中心に不振の続く日本橋では名橋日本橋や東京駅前、人形町、浜町など拠点開発の行方についても選挙の争点になりそうだ。


前回の区議選結果
(1)石島 ひでき(自民3)1,518
(2)神林 いさお(自民4)1,325
(3)鈴木  久雄(自民4)1,237
(4)高橋 しんじ(無所5)1,197
(5)田畑 いそじ(公明5)1,195
(6)今野  弘美(自民3)1,148
(7)まりこ 勝彦(共産5)4,143
(8)原田けんいち(自民1)1,141
(9)なかじま寛明(自民2)1,118
(10)おおつか忠彦(無所7)1,088
(11)青木かずまさ(公明4)1,057
(12)小林たかみつ(自民3)1,030
(13)佐藤 孝太郎(公明3)1,027
(14)わたなべ博年(無所4)1,019
(15)森山   一(共産6)1,011
(16)いその 義夫(自民5)988
(17)青木  幸子(無所2)959
(18)鈴木  幸子(公明1)955
(19)植原 やす子(公明1)911
(20)おぐり智恵子(共産3)911
(21)守本  利雄(無所7)908
(22)田辺  七郎(共産7)873
(23)木藤 えい子(共産7)863
(24)石田 ひでお(自民1)840
(25)矢吹  和重(無所9)789
(26)坂戸  三郎(無所3)773
(27)押田 まり子(自民5)764
(28)宮澤  一郎(自民7)727
(29)にへい 文隆(無所1)716
(30)富永  克子(無所6)712
次ますぶち一孝(無所新)705
(32)わたべ 良一(自民2)593
(33)わしず 隆史(無所4)578
(34)原田 のりお(無所6)533
(35)あさおか利雄(無所新)459
(36)安 たかひこ(無所新)426
(37)中野 しげき(無所新)393
(合計33、634、無効814)