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ブロック処理システムに移行
23区長会は16日、「新たな清掃工場の必要性はない」との考え方を明らかにした。これは具体的に新宿、中野、荒川区の清掃工場について示したものだが、同時に清掃工場を持たない千代田、新宿、文京、台東の各区について清掃工場を今後設けない方針を示したもの。その理由として「ごみ量の減少、危機的な財政状況」などをあげている。そこで浮上してきた新しいシステムが23区をブロックに別けての中間処理体制。このため区長会は「清掃一部事務所組合」に施設整備計画の見直しに取り組むよう求めた。これは、いわば清掃事業の方針転換であり、自区内処理という看板を降ろすことでもある。とくに晴海の清掃工場は自区内処理の原則を大前提にして住民の納得が得られた。「反対し続けていれば工場は作らずに済んだ」という素朴な疑問も生じてくる。行政側の説明責任が問われそうだ。
工場建設のしこり再現?
16日の区長会には助役会がまとめた「清掃地域処理協定の考え方」検討報告が提出された。その中で「特別区の清掃行政は、東京都から引き継いだ理念の追求だけでなく現実の社会状況の変化にも、的確に対応していく責任がある」として、次の「変化」を強調している。
(1)「自区内処理の原則」の議論が最初にされたのは、昭和46年の東京ごみ戦争でありそれから約30年がたっている。この間23区のごみ量は、平成元年度の490トンをピークに12年度(350トン)まで減り続け、その後は横ばい状態となっている。
(2)平成14年度のごみ量は、区民の環境負荷低減への取り組みやリサイクルの推進等により、昨年度より2万トンほど減り350万トンであった。「協議案」策定時の平成6年度と比較すると、量にして約82万トン。率にして約19%と大きく減少している。
(3)特別区財政を取り巻く環境は、先行きが不透明な経済情勢が続く中、きわめて厳しい状況になっている。
また、国庫補助への厳しい精査、国がごみ処理施設の集約化、広域化の推進を自治体に求めている「国の動き」にも言及している。
そこで検討されてきたものが「地域処理ブロック」で、次のように報告された。
「自区内処理の理念からすれば分割数は多い方が望ましいが、5分割以上は搬入先変更の影響度合が急増するため四分割案が適当と考える」
具体的なブロック設定にあたっては、(1)日常的な作業運営の基本となる単位とし、(2)可燃ごみの処理は各ブロック内で対応できるように設定、としている。
このように新たな方向づけが示されたものの、「苦渋の選択」を強いられた晴海清掃工場の周辺住民にすれば、千代田区や台東区が清掃工場という「産みの苦しみ」を経ないまま「地域処理」移行していくことに不満は残るし、区と一組合の適切な説明と、具体的な対応が今後求められていくと見られている。
区長会の見解
(1)23区は、工場のある区もない区も相互に協調・連携し全体の責任として、特別区の区域から排出される一般廃棄物の安定的な中間処理体制を確保することを確認する。
(2)その上で、ごみ量の減少、危機的な財政状況、中間処理をめぐる諸課題等の状況変化を踏まえるならば、今新たな清掃工場の必要性はない。そこで、清掃一部事務組合に対しては、この視点に立って施設整備計画の見直しに取り組むよう回答する。
(3)今後の特別区における中間処理のあり方については、平成六年の「協議案」にとらわれることなく、改めて区長会で協議することとする。
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