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中央区の人口が急増した契機は容積率の規制緩和。バブル経済がはじけて底地買いされた土地が区内のあちこちに放置された。住宅に限り容積率を緩和させると同時に、これらの空間に次々と高層マンションがお目見え、さらに長引く不況で倒産した会社の跡地にも場所を選ばず高層住宅が建った。都心回帰の志向と重なることで人口は増えたものの、相隣紛争が増え、新たな問題として路地が機能しなくなるという街並みの調和や商業機能の立地・更新が浮上してきた。
このため区は規制緩和にブレーキをかけ、地区計画の見直し、総合設計制度に高さ制限を導入するなどの変更を検討してきた。住民の要望もふまえ都市計画案をまとめ、19日に開かれた区の都市計画審議会で次の内容を認めた。都市計画は12月中旬に決定し、建築条例は3月に制定、4月施行となる。
<住宅容積率>建築物の全部を住宅、共同住宅の用に供する場合、緩和容積率を1.2倍とする。
ただし、周辺環境に配慮し定住性の高い良質な住宅の供給が図られ、住宅関連の施設(店舗、飲食店、診療所等)を設ける建築物で区長がやむを得ないと認めるものにあたっては、基準容積率の0.2倍を限度として住宅関連施設を住宅等の用途に供する部分の容積率とみなし上記の数値に加えることができる。(第2ゾーンに適用)
<総合設計>明石町の第二種居住地域について最高限度の高さを制限する。幅員8メートル以上12メートル未満道路=60メートル▽幅員12メートル以上道路=80メートル▽壁面位置=敷地境界線および道路境界線の反対側から8メートル後退する。
<月島地区の総合設計>最高限度の高さを次のように制限する。幹線道路沿いの商業地域=70メートル、住宅系用途地域=70メートル▽10.9メートル以上道路=商業地域=60メートル、住宅系用途地域=45メートル▽壁面は敷地・道路境界線の反対側から8メートル後退する。
<2項道路の3項道路化>建物の建替えを容易とする。このとき幅員2.7メートルの道路または建築基準法第42条第3項道路にのみ面する敷地においては、自動車の車庫、付属自動車の車庫の用に供する建築物は建築してはならない。
原案に対しての意見や要望
都市計画の縦覧やまちづくり協議会に出された住民の主な要望・意見は次の通り。
<住宅容積率>日本橋地区は物価の下落が続いている状況にあり、容積率の引き下げは資産価値の低下を招き、事業上問題もある。日本橋地区の活気を取り戻すためには、開発意欲を損なわないよう、現在の容積率を維持し、店舗等生活支援施設の充実が必要である。
<総合設計>開発区域内の地権者・住民の発意による共同開発が制限され、居住継続など共同建替えが困難になる。一定の公的貢献等を備えた総合設計活用の建築計画については高さの制限の緩和等の但し書きを付加されたい。
<3項道路化>3項道路(地区施設)の適用を受けると3項道路(地区施設)のみに接する敷地では駐車場の立地制限が生じてしまう。
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