中央区 花と緑のまちづくり 第3回
四季が彩る屋上庭園「東京穀物商品取引所」

近年、まちの緑を増やす方法として、屋上緑化が注目され、事例も増加しています。中央区でも屋上緑化を広く推進しています。今回は、都心の屋上緑化事例として、東京穀物商品取引所をご紹介します。


東京穀物商品取引所の屋上庭園

水天宮参りなど、多くの人で賑わう日本橋人形町の甘酒横丁交差点から兜町方向へ歩いてゆくと、見事な御影石の列柱を持つ東京穀物商品取引所の建物が見えてきます。

東京穀物商品取引所では、平成15年に中央区の助成を受けて屋上緑化を実施しました。

東京穀物商品取引所は、大豆、大豆ミール(大豆粕)、小豆、とうもろこし、砂糖(粗糖および精糖)、アラビカコーヒー生豆、ロブスタコーヒー生豆の先物取引とオプション取引を行う、日本を代表する商品先物取引所です。

この地は、江戸時代は西郷隆盛屋敷があった歴史のあるところです。ここに先物取引市場が開かれたのは1874(明治7)年のことで、当時は米の先物取引を中外商行会社が行っていました。その後、取引所法(1893年)により東京米穀取引所が誕生し、商品取引所法(1950年)の制定によって現在の東京穀物商品取引所が1952年に設立されました。

明治7年開設時の建物 洋風建築の粋を集め、数多くの名所図会、錦絵に描かれた。(中央区立京橋図書館所蔵)

大正4年完成の建物 辰野金吾 葛西萬司設計、清水組施工。大正12年の関東大震災により、わずか8年間で倒壊。

◆東京穀物商品取引所の白石総務部次長にお話をうかがいました

屋上緑化のきっかけは?


談話室から見える屋上庭園

現在の建物が建設された昭和61年は、都心の緑化推進が盛んであったこともあり、新築の際に屋上庭園を設置しました。

築後15年が経過し、経年劣化による屋根防水の修繕に伴ない、建物完成当時からの植栽を全て撤去し、新しく作り変えました。

改修にあたり、行政からの緑化助成を検討し、担当設計事務所の調査により、中央区の助成制度に申請しました。

この屋上庭園の特徴は?

以前の植栽は緑が中心で、彩りが少なかったが今回は一年を通じて季節の花を植えています。

また、工夫したところは、庇の出が長くなっていますので、建物近くの植栽は、北向きは日照不足、南向きは照り返しが激しく夏場には散水した水が熱されてしまい、どちらも枯れやすかったので、今回は建物周りには玉砂利を敷き、植栽はなるべく外に向かって配置しました。

昭和4年の建物の柱頭は以前の庭園からモニュメントとして置いていました、夕刻からはライトアップされて、とても綺麗です。


庭園

柱頭


クルメツツジ 4月

サルスベリ 7〜9月

ツワブキ 10〜11月

維持管理はどのようにされていますか?


散水はタイマーを使用し、穴空きパイプを配して自動散水しています。剪定は年に2回、6と10月くらいに行っています。これまで自動散水の不具合や、植栽の枯れなどはありません。

社も以前からあるもので、背後に中木を植え、こんもりとした茂みになることを想定しています。

屋上緑化を行うことによって得られた効果はありますか?

屋上から緑が撤去されたのがちょうど夏季であったため、通常の年よりも冷房費がかかりました。屋上緑化によって空調費削減の効果があるということは聞いていましたが、そのことを改めて実感しました。

工事概要

工期:平成15年5月〜9月(5ヶ月間)
設計:INZX
施工:アルタ(建物の元設計を担当した設計者より紹介)

工事中は、材料の搬入のみ休日にクレーンにて行い、工事は平日に実施。


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