日本橋茅場町周辺

永代通りを挟み、北側の日本橋兜町と日本橋茅場町は、証券会社が軒を連ねる一帯。一方、南側には、警察署や消防署、区民館、小学校、幼稚園など、公共施設が建ち並んでいます。その一角には、明治22年、東京初の市街地小公園の先駆けとして開園した坂本町公園があり、サラリーマンやOLのランチ場所、休憩スポットとして親しまれています。

新大橋通りとの交差点

交差点の角に大きな緑が植えられており、オフィスビルが続く通り沿いに色彩の変化を与えています。永代通りから一歩裏道へ入れば、そこには証券会社と小さな飲食店が建ち並び、昼時には多くの人で賑わいます（新大橋通りの詳細については、第14回・新大橋通り後編をご覧ください）。

日本橋茅場町から新川一丁目へ向かう途中、亀島川にかかる霊岸橋を渡りました。「霊岸」という聞き慣れない橋の名前は、江戸時代初期に霊巌上人が、海だったこの辺りを陸地にして霊巌寺を建立、その後、周辺が霊岸島と呼ばれたことに由来しています。 霊岸島は、埋め立て直後は地盤が非常に柔らかかったことから、「こんにゃく島」とも呼ばれていたそうです。霊岸島という地名は、昭和46年の住居表示制度改正によりなくなってしまいましたが、橋名や交差点名として残り、今にその歴史を伝えています。

霊岸橋前	霊岸橋上から亀島川を臨む
霊岸橋北側には日本橋川と亀島川を区切る日本橋水門があります	霊岸橋の東橋詰には児童遊園もあります

新川一丁目界隈

霊岸橋を渡ると、永代通りは新川一丁目交差点で箱崎湊橋通りと交差します。同交差点を左折し、箱崎湊橋通りを北へ進めば、日本橋川に架かる第二の橋、湊橋に至ります。周辺の永代通りは渋滞気味で、近くの歩道橋上から通りを眺めると、その混雑具合がよくわかります。

新川一丁目周辺の裏道を歩いていると、時折、お酒の問屋さんを見かけました。そういえば…と、第16回・鍛冶橋通り後編のおもしろ発見その４で「新川の跡」の記念碑を訪ねたことを思い出し、なるほど合点がいきました。 江戸時代の新川一丁目周辺は、上方から江戸へ送られてくる「下り酒」を扱う問屋街として賑わい、江戸市内の下り酒問屋のほとんどが新川にあったと言われています。
加えて、1660（万治3）年には、食用油脂に関する卸売販売業者の協同組合である現・東京油問屋市場の前身、油仲間寄合所が設立。下り油の売買所として定められ、以後、油問屋も多数軒を連ねていったそうです。 現在の新川周辺に、酒造や醸造、食用油の会社があるのはこうした歴史を受け継いでのこと。しかし、最近ではオフィスビルやマンションも多く建ち並び、往時の面影はごくわずかとなっています。

永代橋

永代橋は、江東区と中央区を結ぶ交通の要所。橋上の道路は終日混雑しています。永代橋上には５車線あり、基本的に江東区へ向かう車線が２つ、中央区へ向かう車線が３つ。渋滞の状況によって、江東区へ向かう車線が３つに変更されるときもあるそうです。

永代橋西交差点	永代橋
永代橋橋上の歩道	橋の江東区側にはマンションが建ち並びます