中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

  今月のテーマは「会議」。皆さんがあまり好きじゃないと思っている、なんかうちの会社会議多いんだよな、と思ってるその会議のお話です。会議とは何をする場かご存知ですか?そりゃ意見を発表する場だろう、いや皆で話し合う為に集まるんでしょう、いやいや社長の方針を聞くんじゃない、etc 色々イメージを持たれてるかと思うのですが本当は単純です。読んで字の如く「会して議する」のです。要は集まって何かを決める場です。決める際には色々意見を言ったりもしますよね。議さないと会議ではないし、関係者が会さないとこれも会議ではないのです。


 私が知っている最悪の会議は、社長なり部長なりが皆を集めてですね、各々に意見を言わせてそれを物の見事にけなしてすかして、「何を考えてるんだ!」と撃沈するという会議で、ここの社長の愚痴は「うちの社員はろくな意見を言わん!」です。仮にろくな意見しかないとしても、社長がきちんと計画を持っていてそれを会議で周知徹底させるのであればまだいいのですが、社長自身もノーアイデアの場合は何も決まらずにとにかくお前ら頑張れで終わっちゃう事になります。これは会議とは呼びません。会議の体をなしていません。もう一つは、何を議するのか、何を決めるのかがはっきりしていない場合があります。議題が明記されていない、会議の場へ行ってみないとどのテーマが議題になるかわからない、これだと会する意味がありませんね。


 「戦略」を論じる場なのに「戦術論」で終わってしまう場合もあります。これはファシリテーターが会議をまとめきれない場合によくありがちです。余談ですが「戦略」と「戦術」の違い判りますか。「戦略」はどちらかというと方向性を決めます。とっても重要です。家電業界ですと白物家電から撤退して今後はスマホに力を入れる。これが戦略です。自動車業界ですと今後は国内販売と北米の販売に力を入れる、なんてのも戦略。富士重工がこれで今のところ業績絶好調ですね。軍隊ですと(例が悪いですが)今後は空の戦いに重点を置く、これも戦略。第2次世界大戦で日本は「海」の戦いに比重を置いたので戦艦武蔵や大和を建造しましたが、時代は空の戦いに移っていてこの両戦艦は沈められてしまいました。片や「戦術」は戦い方です。与えられた武器でどうやって戦うか。北米に力を入れるのなら販売店でこういう売り方をしよう。セールストークはこれ、キャッチコピーはこれ、という話になります。 ファシリテーターが戦術と戦略の違いを判っていないと会議がまとまりません。


 会議と間違えるのはミーティングとか打合せというやつで、これは会議と比べると少し軽いです。会して議さないでもいいので結論が出なくてもいいのです。大まかにまとめて後はやってみてからの話とか、そんな感じで目先の事を話合います。


 会議とかミーティングで最も大切なのは相手を重んじる事です。相手を否定しない。馬鹿にしたりしない。どうしても上の人は下の意見を否定したくなりますが、否定しない。これって結構重要です。否定を続けると会議がどんどん形骸化され、何も意見が出なくなる。その意見もいいけど、こういう考え方もあるよ。だったらこれもあるね。と活発に意見を言い合ってもらう。そこからファシリテーターが上手に意見を取捨選択し、議する方向へ持っていければ一番いいのです。そうすれば自由闊達に意見が出る場になり、素晴らしい意思決定の場になると思います。


 もう一つ変えてもらいたいのは稟議制度です。あの判子を一杯もらうやつです。多い会社になると数十個になるかも。一杯判子が既に押してある稟議書に対してケチはつけずらいので反対でも判を押したり、どうしても反対の場合は差し戻したりしますがあの上司は物分かりが悪いと評判を落としたりします。何より時間が掛かる。稟議書にもらう判はせいぜい3個止まりにしたらどうでしょうか。直属の上司、担当役員、社長。このスピードが重視されてる時代に判子を集めてるうちに時代が変わってしまいます。(笑)
さて、今日の家族会議は何を決めるんだっけな。晩飯のおかずと今度の連休の予定だっけ?すき焼きがいいんだけどな…。でも我が家は今「ダイエット」する戦略だからな、でも言うだけ言ってみるか?物事を決めるのに正しいか正しくないかという選択枝の他に「好きか」「嫌いか」という選び方もあるのだ。


 寒い日が続きますが、貴方と貴方の大切な方に会議の神様が降りてきて、会社全体が幸せなあ雰囲気になりますように。

 

平成26年 如月

 

  
 
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