中央区の通りを歩く 第25回日本橋川沿い


豊海橋から日本橋川上流を望む

第25回では、中央区内を流れる日本橋川について、隅田川との合流地点を起点に、橋りょうや川沿いの日本橋箱崎町、日本橋茅場町、日本橋兜町、日本橋小網町、日本橋室町、日本橋本石町、日本橋一丁目などをご紹介します。

日本橋川は、千代田区三崎町付近で神田川から分岐し、神田神保町、大手町などを通って中央区へ入り、区内を南東へ流れ、中央区日本橋箱崎町で隅田川に合流します。江戸時代、日本橋川流域は水運の便が良かったため、川沿いには河岸が点在していました。河岸は地方から運ばれるさまざまな商品で賑わい、同川は隅田川と並び江戸を代表する河川として日本橋の発展を支えました。
明治以降、物流が水運から鉄道や道路などの陸上交通へと移行したことから、河岸は急速に姿を消していきました。そして、昭和39(1964)年の東京オリンピック開催に合わせて、同川の上に首都高速道路が建設され、現在に至っています。


1 豊海橋界隈

今回のスタート地点は、日本橋川の最東端にあたる豊海橋です。第10回・人形町通り・水天宮通り後編・おもしろ発見その4でも訪れたこの橋は、日本橋川に架かる第一の橋。橋詰の案内板によると、はしごを横にしたような豊海橋の形状は日本に数例しかないそうです。豊海橋を離れ、上流の湊橋へ向かう川沿いの道には、小さなオフィスビルが整然と並んでいました。



白いトラスが特徴的な豊海橋


豊海橋の南側橋詰は休憩スポットになっています


豊海橋から見た永代橋
(永代橋については第22回・永代通り後編をご覧ください)


豊海橋近くの川沿いの通り

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2 湊橋界隈

次にたどり着いたのは湊橋。第22回・永代通り後編でも訪れた同橋は、日本橋川に架かる第二の橋です。江戸時代、日本橋川の下流域は「江戸湊」と呼ばれ、全国からの物流拠点でした。その江戸湊に由来して、橋の名前が付けられているそうです。橋の北側には箱崎川第一公園があり、首都高速道路の真下に園地が細長く広がっていました。


現在の湊橋は関東大震災後の復興期(昭和3年)に
再建されたもの


橋の側面には帆船のレリーフが飾られていました


橋のそばにはアーチ型をした水道管の橋もあります


箱崎川第一公園からは亀島川との分岐点・日本橋水門が見えます(日本橋水門については第22回・永代通り後編をご覧ください)

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3 茅場橋・鎧橋界隈

日本橋茅場町と日本橋兜町、日本橋小網町をつなぐのが茅場橋と鎧橋。現在の茅場橋は平成4年に架け替えられた比較的新しい橋で、第14回・新大橋通り後編でも訪れました。鎧橋は、昭和32(1957)年に旧橋の老朽化に伴って架け替えられたもの。同橋のたもとには、江戸時代からの石垣が残っています。近くに東京証券取引所があり、周辺は証券会社が多く立ち並んでいます(兜町の詳細については江戸のまちづくり・兜町界隈をご覧ください)。



平成通りを渡す鎧橋


鎧橋のたもとに残る江戸時代の石垣


周辺の川沿いの通りには使われていない古い建物の姿も


茅場橋は歩道幅が広く歩きやすい

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4 江戸橋界隈

鎧橋から江戸橋までの川沿いの通りには、長屋のような古い建物も残っており、懐かしさを感じさせる光景が見られました。しかし、川沿いをさらに進むと景色が一変。頭上には複雑に交差した江戸橋ジャンクション、その下には第4回・昭和通り後編でも訪れた江戸橋。この周辺は、人の往来も、車の交通量も非常に多いのが特徴です。


鎧橋から江戸橋までの川沿いの通り


日本橋本町から望む江戸橋方面


江戸橋南西の橋詰には高速道路入口があるため、歩行者は一旦地下歩道を通って橋上に出ることになります


地下歩道内の様子

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5 日本橋・西河岸橋界隈

多くの老舗や百貨店、銀行などが建ち並ぶ日本橋は、第24回・中央通り後編でも訪れました(日本橋の詳細については江戸のまちづくり・日本橋周辺をご覧ください)。日本橋から西河岸橋までの川沿いの道には、川と道路に挟まれた狭い路地に細長い建物が続いていました。西河岸橋橋詰の案内板によると、この周辺は江戸時代には西河岸と呼ばれ、日本橋魚河岸と共に賑わいを見せた場所だったそうです。


日本橋南側にある中央通りとの交差点


日本橋の橋詰で鳩も休憩


川沿いの狭い路地に立つビルはどれも細長い形



日銀通りへつづく西河岸橋

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おもしろ発見 その1
【色とりどり、アイデアそれぞれの橋詰】

西河岸橋まで川沿いを歩いて来てふと気づいたのは、日本橋川に架かる橋には、橋詰に広場が整備されていることです。広場には、緑の植栽はもとより、ベンチや花壇、歴史を伝える案内板、公衆トイレなどが設けられています。緑や公園が比較的少ない都心部ならではの橋詰の有効活用、ベンチに腰掛けて食事をしたり、ジュースを飲んだり、数人で談話していたりと、小休憩している人たちの姿を数多くを見かけました。


西河岸橋の橋詰広場



茅場橋橋詰の児童遊園


湊橋橋詰のベンチ


日本橋橋詰の噴水がある広場

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6 一石橋・常盤橋界隈

中央区八重洲と日本橋本石町を結ぶ一石橋。この辺りから川は北へ向かって曲がり、千代田区へと流れていきます。一石橋を渡ると、正面に日本銀行があります。さらに川沿いを進むと、千代田区大手町と日本橋本石町をつなぐ常盤橋があります。川沿いには常盤橋公園があり、江戸時代、この場所にあった常盤橋門跡の石垣の一部が保存されています(詳細は、第7回・外堀通り前編・おもしろ発見その1をご覧ください)。同公園には花壇やベンチが設けられ、川面から吹いてくる風が気持ちいい場所でした。


西河岸橋から一石橋へ向かう通り沿い


一石橋から日本橋本石町方面を望む。
首都高速道路の奥にあるのが日本銀行


旧常磐橋から常盤橋を望む。
常盤橋の右手に見えるのが常盤橋公園


常盤橋公園にある常盤橋門跡の石垣の一部

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おもしろ発見 その2
【人も鳥も、心やすまる木陰の休憩スポット】

一石橋から常盤橋方面へ歩いて行く途中に、大きな木々が茂る緑いっぱいの広場を見つけました。広場と繋がるようにしてオフィスビルが建ち並んでいることから、一見ビルの私有地かなと思い、ドキドキしながら足を踏み入れましたが、「常盤橋小公園」という看板を見つけてホッとしました。公園内はとてもきれいに整備されていて、涼しい木陰ではサラリーマンやOLが休んでいたり、時折ハトも飛んできて羽を休めたりするなど、人も鳥もひと休みできる都会のオアシスのような場所でした。


一石橋と常盤橋の間にある常盤橋小公園


公園入口では鳩もひと休み

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7 旧常磐橋・新常盤橋界隈

常盤橋の少し上流には、第7回・外堀通り前編でも訪れた旧常磐橋があり、さらにその北に新常盤橋があります。新常盤橋の上を山手線や京浜東北線、東北・上越新幹線などの鉄橋が走り、さらにその上に首都高速道路の高架が重なっています。新常盤橋を越えて川沿いをしばらく歩くと、日本橋川は千代田区へ。中央区日本橋本石町四丁目と千代田区内神田二丁目の区界が、日本橋川沿いの旅の終着点となりました。


常盤橋から見た旧常磐橋


新常盤橋北側にある江戸通りと外堀通りの交差点


旧常磐橋から眺めた新常盤橋


中央区と千代田区の区界から新常盤橋方面を望む

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