中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 

 この原稿を書いてる日は猛暑で、表の気温は37度位あると思われます。皆さん水分を取って熱中症にはお気を付け下さいね。

 

 さて、前回に少しお話しましたが世の中の産業は大別すると「受注型」と「見込型」の二つに分ける事が出来るとお話しましたが、もう一つ「装置型産業」というのがあります。これは旅館とか遊園地とか施設を作って集客する産業です。当初に結構大きな設備投資が必要なので経営計画がとても重要ですし、神は細部に宿ると言う位ですから細かいところまで気を使う必要があります。余談ですが私は若い頃にリゾートホテルや動物園等の立上げの計画にチームの一員として加わった事があります。述べ200枚程に亘る計画書を作るのですが、あるリゾートホテルの計画でその分厚い計画書の最後に「本計画は収益性の面から見てとても収益が取れるとは思わず、計画を中止する事も検討されたし。」と具申したのですが、この1行がクライアントの怒りを買って、お金をもらえないという事態になり大騒ぎになりました。それだけ装置産業は計画が難しいのですが、この話は何れと言う事にして、今日は受注と見込みに絞ってお話しますね。


 受注産業というのは読んで字の如く主に受注、注文を受けてから商品を作る産業です。私の身近では印刷業などは受注型が多いですね。特長はまず納期がとても重要です。次に「見積」を出します。注文されてから作るので在庫の心配があまりありません。但し見積もりを出すという事は価格の決定権をお客様が持っています。見積もりを出した後に交渉が入ります。「1部100円では高いから80円にならないか?だってB社は79円でもいいって言ってるよ。青木ちゃん、ここは頼むよ!」なんて言われて泣く泣く80円にしたなんて経験ありますでしょう。数量もお客様が決めます。カタログを5000部と言われたのに勝手に50,000部作る事は通常出来ません。価格も数量もお客様が決めます。故にお客様の業績の良し悪しが自分の会社の業績にも影響します。


 片や見込み産業はどういう業種かというと、アパレルなどが代表的な例ですかね。マンション販売などもそうですね。価格も数量も商品企画もほぼ自分で決める事が出来ます。その結果、馬鹿売れして大儲けの反面、売上機会損失になる事もありますし、全然売れずに在庫の山となりこれが経営の足を引っ張る事もありえます。通常見積もりは必要ありません。世の中の景気全般の良し悪しに影響を受けます。


 受注、見込み其々に特徴がありますが、貴方の会社はどちらでしょうか。もし貴方の会社が受注型であるとすれば、少しでもいいので見込みの要素を取り入れてみたらどうでしょう。印刷業であれば、自社でキャラクターシールを作って売る、本を出版する、工業用機械を受注しているのであれば家庭で使える汎用品を作って売ってみるとか…。この受注型の会社が見込商品を作って少しでも成功すると会社の空気が変わります。今まで眠っていた企画力や想像力を使うのですから、わくわくしたりどきどきしたりします。製造数量を1万個にするか、10万個にするか決める時なんて不安でどうしようもないです。だって今までそういうのを決めた事がないんですから!利益率だって変わります。このわくわくどきどきを楽しみながらやる。これが成功の秘訣です。


 見込み産業の会社は逆に受注の要素を取り入れてみる。マンションであれば建てる前に何かしらの方法で販売をして建設段階からお客様を巻き込んでいく。ここの植樹をどうするか、管理はどうするかとか、部屋のキッチンはどんな形にするとか、壁紙もお客様に決めてもらう。こうすれば受注型に近いですよね。アパレルだって、仕立て服があるのだから考えれば出来ない事はないです。もし受注生産で出来ればその商品は不良在庫の心配がないです。こういう経験をすると、会社経営に手堅さが加わります。
いかがですか。貴方の会社にあてはめて出来そうですか?とにかくやってみる事が大切です。だめだったらその仕事止めればいいんですから。行動して結果を計測してまた行動する。やらないと何も変わりません。走りながら考えてもいいんですから。一歩前へ!


 先日、もう松茸の土瓶蒸しを頂きました。暑い中でもちょっとほっとした味で、身体も心もリフレッシュした感じです。まだまだ暑い日が続きます。どうぞお身体語ご自愛の上元気に夏をお過ごし下さい。貴方と貴方の大切な方に企画力や想像力の神様が降りてきますように。

 

平成27年 葉月 =盛夏=

 

  
 
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