中央区には事業所が約4万社あります。そこで働いている人は72万人に上ります。商売が上向きになればこの72万人の人が幸せになれます。私の役目は中央区の企業や働く人が幸せになるお手伝いをする事です。
起業、廃業、倒産、第2創業、バブル、事業承継、相続、これら全てを事業の現場で体験した屈指のコンサルタント「岩田剛三」が体験を通して感じた商売や生き方のコツを皆さんにお話しします。

 

 結論を先に申し上げますと正しいクレーム処理なんてありません。(笑)だって、一件一件クレームの内容も違うし、相手も違うし、スタート(クレームの受付)も違いますよね。ましてやクレームの受け止め方ってその会社で違うでしょう。ですので一括りにして正しいクレーム処理は語れません。ましてやどれが正しいかなんて無理です。結果的に丸く収まってもそれが正しいかどうかはいつ結論が出るかは判らない。あえて一つだけ言えるのは「クレーム処理を最優先する。」事です。これがクレームだと思ったら全ての仕事をほっぽってクレーム処理に当てる。仮に担当者が謝って済む事でも社長は頭の中をそのクレームに向けて置く、これが重要で唯一「正しいクレーム処理」です。その為にはクレームを隠しては駄目です。全部社長に上げないと。そして上げたクレームに関しては叱らない。これで叱ると次からクレームが上がってこなくなり、会社の中でヘドロのように溜まっていきます。そうすると何れ世間がえっ!と驚くような事件になって行きます。大切なのは情報を隠さない事です。社長も「次回から気を付けろよ。」位に怒っておけばいいのです。

 

 クレームと言っても大きく3つに分かれます。納期違いや異物混入等はっきりとこちらが悪いもの、お客様に瑕疵があるもの、何とも言えないもの、この3つです。どれにも共通して言えるのはスピードです。まずは飛んでいく事です。連絡を受けた時点ではあまり謝る必要はありません。すぐに伺います!と言って飛んで行くことです。これだけで相手の気持ちが収まってしまう事さえあります。飛んで行ったらどうするかと言うと、一番目のこちらが悪いものについては謝る事が重要ですが、それよりも相手に全て吐き出させる事がもっと重要です。言いたい事は全部言ってもらう。相手が言い足りない状態でひたすら謝ると返って逆効果です。とにかく相手に話させる。その間相槌を打ったりお気持ちは良く判りますと共感したりしながらこちらは冷静に対処します。相手が全て出しつくしたら、次に解決策を示せばいいのです。数字の話になったら落とし場所を探る事になります。その結果次の取引が決まります。お客様と上手にお話出来ればクレームのお客様が一気にその会社のファンになる事もあります。実際ありました。


 二番目はいわゆる難癖に近いもの、納期は3日って言ったじゃないか!と怒っていてもファックスの注文書は5日納品になっていたりした場合、お客様の(特に発注担当者)ミスは慌てず騒がずこちらで目一杯フォローしてあげましょう。さりげなくファックスを見せたりして(笑)。私の経験では食品に虫(蠅)が入っていたというクレームがあり、すぐに飛んで行って見ると、間違いなく蠅が付いていました。ただ、弊社の工場の中では蠅を見た事がないので困ったなあとお話しながら思案していたら、目の前を蠅が飛んでいました。しかも同じ蠅です。お客様と同時に気が付き、目があって同時に頷きました。でも、その商品は食べられませんので新しい物とお取り換えして退去しました。その会社とはその後も取引が続きました。



  何とも言えないクレーム、例えばお寿司屋さんでワインの注文があり「ございません。」と言うと「何だこの店はワインも置いてないのか!」と怒る。それで仕方ないので走ってワインを買いに行ってお出しすると「何だよ、あるなら早く出せ!」こういうお客は来なくてもいいので、買いに行かないで毅然とワインを置いてない理由を説明しましょうね。他にも最初からお金目当ての人もいますし、最近は写真を撮ってすぐにネットに載せる人もいるので、本当にクレーム処理に当たる人は大変です。クレーム専門の人がいるとしたら、何年かで陽の当たる場所へ異動しましょうね。

  もう一つ大切なのは、日頃からお客様との関係性を保つ事です。例えば謝りに行って「岩田さんが言うならしょうがないなあ!」と言ってくれればね。


貴方と貴方の大切な方にクレームが降りかからないように、いつも大きな気持でいられますように…。

 

平成27年 霜月

 

  
 
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